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4-37、ロボット、破棄す

エターナニル魔法学園特殊クラス

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「アア、イヨイヨばかニナッテキヤガッタ」
「レイカはどうしてるの?」
「言ッタダロ、先輩ノ元デッテ。今ハ従姉モイル。アイツハ戦闘面ガ弱イカラナ」
成程と納得した二人は自分達が推理面で弱いと言われていることに気が付いていない。
「そちらのテストも終了したのなら、何故止めないのですか?」
「お前ハ質問バカリダナ。簡単ナコトダ。ぞんびヲ用意シタノガ先生デナイ、ソレダケダ」
「それじゃあ、手動停止手段は」
「サッキろんガ爆破シタナ」
「あらら、それじゃあ各個撃破するしかないじゃない」
「ホラヨ」
ロイズが投げてよこしたのをイスカは慌てて受け取った。それはストップウォッチみたいな形状をしている。画面には243と表記されており、その数字が徐々に不規則に減っていく。
「なにこれ?」
「敵かうんと装置ダ。今回ハゾンビニ合ワセテアル」
「ふ~ん、残りこれだけね。あ、ゴソッと減った」
「・・・・・」
「ロイズ先輩?」
点滅していたモノアイが完全に色を失い、機体が沈黙した。イスカが叩いてもうんともすんとも言わなくなった。それどころか、
  ボキ、ゴトン
首がとれてしまった。
「うわー!」
「あーあ、やっちゃった」
「どどどうすんだ!?」
「やるしかないでしょ、って、ちょっと目を離した間に180になってるわ」
魔法を使わないゾンビ相手にレイカが奮闘できるとは思えない。ユーキの能力は未知数だが、相当な実力者であることはすでに二人は知っていた。彼女と一緒にいる先輩が倒しまくっているのだろう。
「さっさとしないとテストの点数下がってしまうね」
イスカが魔導歌を唱え出すとあたりの空気が変わった。火の魔導歌なはずなのに上がるどころか、急激に低下していく。15、10、5度。息が白くなり、肌に当たる空気が痛く感じる。
「どうなってるんだ?」
「わかんないわよ」
木々を薙ぎ倒しながら現れたのは巨大なゾンビだった。ただのゾンビではない。ゾンビ同士が幾重にも重なって巨大化した姿だ。声が出ないところを見ると、本物のドラゴンゾンビではないらしい。
「落ちてきたゾンビの塊か?」
「そう認識していい」
ボタボタと下たる腐肉が嫌な臭いをたてる。
「弱点は火だ、フレアアロー」
「了解、フレアアロー」
2人が右足に向けて放った火の矢は落とされた腐肉によって消化されてしまった。
「げ、なにあれ」
「水分が多すぎるんだ」
「もっと、火力のある技はないのか」
「あ、あれなら、暁の壁よ、立ち昇れ、ファイヤーウォール!」
眩い光の柱がゾンビを包み込む。腐肉の焼ける香ばしくない臭いが鼻に着く。灰化した部分が風に乗って飛んでいく。コトリと小さい何かが地面に落ちた。
「どうよ」
「中々だな」
「ふふーん、素直に褒めなさい」
「あれは何でしょうか?黒焦げで原型がほとんどわかりませんが」
「魔力から察するに例の人形の頭だな。あれが核だとするならもう一体いることになるか。ゾンビの残数は?」
「残り100だそうです」
「げ、あともう一匹いるの!?」
「そうだ」
心配して駆けつけてくれたのだろうか、ロイズ(生身)が現れた。
「ああ、しかもこれよりでかいものだ。イスカ、移動中に演唱しておけ」
「は~い」
「ザリは使える魔法を教えてくれ」
「えっとですね・・・・こんな感じです」
「なら、これだな。同じようにやっとけ」
ボフンとロボットの排気口から黒い空気が出る。この機体も限界が来た。おそらく魔法一発でも打てば音を立てて崩れていくだろう。そうなる前にチョットした細工を施し、ロイズは携帯と測定器を取り出した。数値がジワジワ減っていっていることから誰かが戦っているのだろう。あり得る人物に電話をかける。相手はすぐに出てくれた。
ただし、出る余裕はあるが、放す余裕はないようで、常に呪文が受話器から流れてくる。大砲を空に向けて数発撃つ。携帯から聞こえた音の大きさと時差で距離と方向を割り出す。校舎の裏らしい。
「行くぞ、こっちだ」
イスカとザリが口を結んで首を大きく縦に振った。


                            続く
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