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12ー12、カメ、現場を検証する

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 職員室にはない薬品の匂いがした。とりあえず、リング先生の机を探す。だが、その席には誰もいなかった。動かされた形跡がある。あのスリルマッチョを抱え上げて移動させたとしたら、体育教師のあのゴリラくらいしか思い当たらない。彼は見た目に反して穏やかな気質なので、運んだとしたら休憩室だろう。そう思って、休憩室にレイカは向かった。
休憩室は職員室からしか行けない作りになっている(窓からの侵入は別扱い)。ドアノブを回して開けようとするが、開かない。試しに引いてみたが、今度はドアがそちらには開かないよと言った。仕方がないので、一度外に出て窓から覗きみることにした。
「!!!ッ」
そこは全て赤で染まっていた。塗り残しもあるところが実に生々しい。落ちているパーツを組み立てている暇はなかったが、それでも赤の中で黒は映える。赤い液体を被っているにも関わらず、その黒髪は目立っていた。ベッドの上に置かれた生首は今にも動き出しそうで・・・・・・。出そうになった声を止めてくれたのはレイカの手ではなかった。
「ごめんなさい。ちょっと遅れたかな」
「リトア先輩?!」
「しー、レイカちゃん、抑えて」
「せやった」
理性がガリガリと削れそうだが、情報収集のためにももう一度レイカは窓から部屋を覗いた。真っ赤に血塗られた部屋。床に転がる手足だった物体。ベッドに乗っている首から上。正気の沙汰ではない光景はレイカの平常心をさらにガリガリと削った。
「これ、いつ起きたんどす?」
「壁の血が乾ききってないから、時間は経ってないんじゃないかな」
「魔法か、武器かはわからはります?」
「武器かな。刃物で切られたんだと思うよ」
「風魔法の可能性はあらはります?」
「うーん、ない訳ではないけれど、これだけ切断して壁に傷一つつけないのは熟練さんでも難しいかな」
となると、凶器がどこかにあるはず、とレイカは見渡したが、見える範囲には見つからなかった。
「この窓割って入れまへんか?」
「現場保存の法則、調査学であったと思うけど?」
「あらはりました」
リング先生の幽霊を呼び出すためにも現場に入らないといけない。レイカがこの場でできることはやりつくした。
「あのリング先生を・・・・よっぽど親しい人だったのかな?」
「えっと・・・・・・」
これはどこまで教えていいのだろうか?レイカが言い淀んでいると、リトアが軽く肩を叩いてきた。視線を上げると、茂みの中で手招きしているロイズ(ロボット)が見つかった。できるだけ音を立てずに彼の元に向かう。
「馬鹿、第一発見者ニナル気ガナイナラ現場ニイツマデモトドマルナ」
「な、なぁ、ロイズはん、リトア先輩、イスカはん無事やろか?」
「泣イテイル場合ジャナイダロ」
「人が来るかな」
「アイツダッタ場合ガヤバイナ。れいか、ココニ入レ」
カパッと頭部を外し、内部に入るように指示された。魔力感知されても困るし、中の部品を取り出すのも悪いのでレイカは少女の姿に戻った。小学生にしか見えないその姿はロイズの胴部に楽々入った。頭をかぶせなおし、留め金を止める。

続く
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