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最終章
9-10
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「隼くんもっ!!梨々さんが悲しむでしょ?!渚から聞いてるよ?大学時代、相当遊んでたって…」
「えっ!!渚さんが…??」
「同じ大学だったんでしょ?隼くん、就職してから落ち着けばいいねって話してたのに…全然落ち着いて無さそうね」
「………ごめんなさい…」
「海吏のこと、完全に取ったら駄目だからね?」
素直に謝る先輩に、麻友は優しく戦線する。
だけどその言い方は、本気で隼先輩を敵視しているのではなく、まるで俺と隼先輩の何とも言い難い関係を見守ってくれる雰囲気も含んでいた。
「もちろんだよ!……俺も、二人には幸せになって欲しいから。」
そう言って信じられないほど美しく微笑む隼先輩の目の奥には、どこか哀しい色が宿っていた。
恐らく、これからも俺は、隼先輩と関係を持つことは辞められないのだろう。
だけどそれは、俺と麻友、隼先輩と梨々先輩のような心の交わりとはまた違う、不思議な二人の気持ち。
そしてそんな曖昧で言葉にできない関係性を、麻友も梨々先輩も実質黙認している。
何故ならそれは、隼先輩の溢れ出る魔の魅力を止める術を誰も知らないから。
隼先輩がそれを存分に発動するのは恐らく俺だけじゃなくて、昔からの大親友である優先輩や恩師の佐伯先生に対してもだと思う。
隼先輩との深い交わりを持つ者は、皆普通の生活を送りながらも、隼先輩との秘密の関係を辞められないでいる。
そして……
(あの男……また隼先輩を見てるな。次に見かけたら、声かけてとっ捕まえてやるか。)
そんな隼先輩との関係を憧れ、叶わぬ気持ちを抱き続ける奴らは、今日も出現しては懸命に隼先輩を追う。
まるで自分の人生がどうなっても構わないとでも言わんばかりに、そういう奴らは隼先輩のことしか見られなくなる。
そしてその想いが真っ直ぐであればあるほど……形を歪ませて隼先輩へと向かっていく。
俺はそんな奴らの執念から、隼先輩を守るだけ。
あの日麻友と共に俺を暗いトンネルから引っ張り出してくれた人生の恩人に、一生の忠誠を誓い、実行するだけ。
一生をかけて近くにいられるのなら、そんなことは俺にとって造作もない。
人生を捧げてでも関わっていたいと思わせる隼先輩の不思議な魅力は、きっとその命が続く限り消えてなくなることはないのだろう。
「さっ!帰って麻友の作る夕飯食べるの楽しみだな~」
「そうよ!!だから早く署に戻ってタイムカード切ってきなさい!」
「麻友さん、今日のご飯はスタミナのつくメニューにしてあげてね。」
「隼先輩何言ってんすかw」
「そのままの意味だよー?疲れた海吏の体力を回復してくれるご飯が必要ってこと!」
「へぇー……あんたたち、そんなに体力削ったんだ??」
「もーーほらっ!隼先輩余計なこと言わないで下さいよっ!」
「だって海吏、今日まで連勤だったってさっき言ってたじゃん!疲れてると思うから回復してねって意味だったんだけど…余計なお世話だった?」
「へっ?あ、いや…ありがとう…ございます?」
「…まあいいわ。とりあえず海吏、今日は早く帰ってきてね?……美味しいご飯作って待ってるから!」
そう言って笑顔を向ける麻友に、俺は口元の緩みを隠せないまま頷く。
隼先輩は相変わらず、言葉の一つ一つが純粋にそのままの意味なのか、それとも何か別の意味を含んでいるのか…分からない。
だけど、俺と麻友のやり取りを暖かく見守る隼先輩は、みんなが思っているよりもずっと純粋でずっと清らかな人だ。
やっぱり一生をかけて、その笑顔を守りたい。
そんなことを考えながら俺は一旦二人と別れ、署に戻るべくその方向へと歩き出した。
「失礼します。先程から物陰に隠れて何かを見ているようですが……あちらに何かありましたか?」
心の中でやっぱり帰りが少し遅くなりそうでごめんと麻友に謝りながら、今日も俺は隼先輩を傷つける者に容赦せず見えない鉄槌を下すのだった。
「えっ!!渚さんが…??」
「同じ大学だったんでしょ?隼くん、就職してから落ち着けばいいねって話してたのに…全然落ち着いて無さそうね」
「………ごめんなさい…」
「海吏のこと、完全に取ったら駄目だからね?」
素直に謝る先輩に、麻友は優しく戦線する。
だけどその言い方は、本気で隼先輩を敵視しているのではなく、まるで俺と隼先輩の何とも言い難い関係を見守ってくれる雰囲気も含んでいた。
「もちろんだよ!……俺も、二人には幸せになって欲しいから。」
そう言って信じられないほど美しく微笑む隼先輩の目の奥には、どこか哀しい色が宿っていた。
恐らく、これからも俺は、隼先輩と関係を持つことは辞められないのだろう。
だけどそれは、俺と麻友、隼先輩と梨々先輩のような心の交わりとはまた違う、不思議な二人の気持ち。
そしてそんな曖昧で言葉にできない関係性を、麻友も梨々先輩も実質黙認している。
何故ならそれは、隼先輩の溢れ出る魔の魅力を止める術を誰も知らないから。
隼先輩がそれを存分に発動するのは恐らく俺だけじゃなくて、昔からの大親友である優先輩や恩師の佐伯先生に対してもだと思う。
隼先輩との深い交わりを持つ者は、皆普通の生活を送りながらも、隼先輩との秘密の関係を辞められないでいる。
そして……
(あの男……また隼先輩を見てるな。次に見かけたら、声かけてとっ捕まえてやるか。)
そんな隼先輩との関係を憧れ、叶わぬ気持ちを抱き続ける奴らは、今日も出現しては懸命に隼先輩を追う。
まるで自分の人生がどうなっても構わないとでも言わんばかりに、そういう奴らは隼先輩のことしか見られなくなる。
そしてその想いが真っ直ぐであればあるほど……形を歪ませて隼先輩へと向かっていく。
俺はそんな奴らの執念から、隼先輩を守るだけ。
あの日麻友と共に俺を暗いトンネルから引っ張り出してくれた人生の恩人に、一生の忠誠を誓い、実行するだけ。
一生をかけて近くにいられるのなら、そんなことは俺にとって造作もない。
人生を捧げてでも関わっていたいと思わせる隼先輩の不思議な魅力は、きっとその命が続く限り消えてなくなることはないのだろう。
「さっ!帰って麻友の作る夕飯食べるの楽しみだな~」
「そうよ!!だから早く署に戻ってタイムカード切ってきなさい!」
「麻友さん、今日のご飯はスタミナのつくメニューにしてあげてね。」
「隼先輩何言ってんすかw」
「そのままの意味だよー?疲れた海吏の体力を回復してくれるご飯が必要ってこと!」
「へぇー……あんたたち、そんなに体力削ったんだ??」
「もーーほらっ!隼先輩余計なこと言わないで下さいよっ!」
「だって海吏、今日まで連勤だったってさっき言ってたじゃん!疲れてると思うから回復してねって意味だったんだけど…余計なお世話だった?」
「へっ?あ、いや…ありがとう…ございます?」
「…まあいいわ。とりあえず海吏、今日は早く帰ってきてね?……美味しいご飯作って待ってるから!」
そう言って笑顔を向ける麻友に、俺は口元の緩みを隠せないまま頷く。
隼先輩は相変わらず、言葉の一つ一つが純粋にそのままの意味なのか、それとも何か別の意味を含んでいるのか…分からない。
だけど、俺と麻友のやり取りを暖かく見守る隼先輩は、みんなが思っているよりもずっと純粋でずっと清らかな人だ。
やっぱり一生をかけて、その笑顔を守りたい。
そんなことを考えながら俺は一旦二人と別れ、署に戻るべくその方向へと歩き出した。
「失礼します。先程から物陰に隠れて何かを見ているようですが……あちらに何かありましたか?」
心の中でやっぱり帰りが少し遅くなりそうでごめんと麻友に謝りながら、今日も俺は隼先輩を傷つける者に容赦せず見えない鉄槌を下すのだった。
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