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最終章
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「まさか二人がね…おめでとう…!」
「ありがとうございます!」
「ありがとね隼くん。あの日、隼くんが私の話を聞いてくれたおかげだよ。あそこから全部、今に繋がってるから…」
麻友は過去を思い出すように、目線を空の方へと投げた。
「二人が幸せになれて、本当に良かった。」
そう言って微笑む隼先輩の笑顔は、夕陽に照らされて余計に美しい。
「……ったくもー。海吏ってば、私と結婚間近だっていうのに、未だに隼くん隼くんうるさいの!今だって、仕事中なのに隼くんの家に居座ってたって事でしょ??」
「それは仕方ないだろ?隼先輩との感動の再会を噛み締めてたんだから。」
「はぁ~……。もう……今日は許すけど、結婚してからもこうだと、流石に私も悲しむからね?」
「安心しろって。俺は隼先輩の事が大好きだけど……結婚したいと思うのは麻友だけだから。」
「……っ!……もう!ばか……」
俺の言葉に麻友が顔を赤くしてうつむいた。
隼先輩は、それをニヤニヤして見ている。
「結婚したら、海吏と会うのは麻友さんがいる時だけの方がいいかな~。」
「ええ何でですか先輩!」
「なんで不満そうなのよ!あんたと隼くんが二人でいたら、一体何しでかすか分かんないから当然でしょ?」
女の勘というものは恐ろしい。
隼先輩も同じことを考えギクリとしたのだろう。
俺と隼先輩の視線が不意にぶつかったのだった。
俺は麻友に助けられたあの頃から、まるでそれまでの立場が逆転したかのように麻友の尻に敷かれている。
昔はあんなに泣き虫で気が弱くて何でも俺に頼っていたのに……。
今では昔みたいに論破しようものなら、しばらく口を利いてもらえなくなる。
そんな風に逞しく成長した麻友を、俺はいつの日にか愛おしく思っていたのだった。
俺を間違った自己陶酔から目を覚まさせ、暗いトンネルから引っ張り出してくれた。
だからこそ麻友を二度と泣かせたくないと思ったし、そんな行動力を他の人の為に使われるのは絶対に嫌だと思うようになった。
高校を卒業した頃にそんな自分の独占欲に気づき始め戸惑っていた俺に、既に大学生になっていた麻友が告白してきた。
幼い頃からずっと俺を想ってくれていたということも、そこで知った。
そんなに長い間、すぐ近くで俺を見てくれていた人がいたなんて、全く気づかなかった。
事件を起こす前の自己評価が低くて毎日無力感に苛まれていた自分に教えてあげたくなった。
でも、だからこそ、俺はもう近くの大事なものを見逃したくないと思った。
そして25歳になり立派な小学校教諭になった麻友は、優しそうな柔らかい雰囲気を残しながら、本来持っていた気の強さを目に宿して俺の隣にいるのだった。
「ありがとうございます!」
「ありがとね隼くん。あの日、隼くんが私の話を聞いてくれたおかげだよ。あそこから全部、今に繋がってるから…」
麻友は過去を思い出すように、目線を空の方へと投げた。
「二人が幸せになれて、本当に良かった。」
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「……ったくもー。海吏ってば、私と結婚間近だっていうのに、未だに隼くん隼くんうるさいの!今だって、仕事中なのに隼くんの家に居座ってたって事でしょ??」
「それは仕方ないだろ?隼先輩との感動の再会を噛み締めてたんだから。」
「はぁ~……。もう……今日は許すけど、結婚してからもこうだと、流石に私も悲しむからね?」
「安心しろって。俺は隼先輩の事が大好きだけど……結婚したいと思うのは麻友だけだから。」
「……っ!……もう!ばか……」
俺の言葉に麻友が顔を赤くしてうつむいた。
隼先輩は、それをニヤニヤして見ている。
「結婚したら、海吏と会うのは麻友さんがいる時だけの方がいいかな~。」
「ええ何でですか先輩!」
「なんで不満そうなのよ!あんたと隼くんが二人でいたら、一体何しでかすか分かんないから当然でしょ?」
女の勘というものは恐ろしい。
隼先輩も同じことを考えギクリとしたのだろう。
俺と隼先輩の視線が不意にぶつかったのだった。
俺は麻友に助けられたあの頃から、まるでそれまでの立場が逆転したかのように麻友の尻に敷かれている。
昔はあんなに泣き虫で気が弱くて何でも俺に頼っていたのに……。
今では昔みたいに論破しようものなら、しばらく口を利いてもらえなくなる。
そんな風に逞しく成長した麻友を、俺はいつの日にか愛おしく思っていたのだった。
俺を間違った自己陶酔から目を覚まさせ、暗いトンネルから引っ張り出してくれた。
だからこそ麻友を二度と泣かせたくないと思ったし、そんな行動力を他の人の為に使われるのは絶対に嫌だと思うようになった。
高校を卒業した頃にそんな自分の独占欲に気づき始め戸惑っていた俺に、既に大学生になっていた麻友が告白してきた。
幼い頃からずっと俺を想ってくれていたということも、そこで知った。
そんなに長い間、すぐ近くで俺を見てくれていた人がいたなんて、全く気づかなかった。
事件を起こす前の自己評価が低くて毎日無力感に苛まれていた自分に教えてあげたくなった。
でも、だからこそ、俺はもう近くの大事なものを見逃したくないと思った。
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