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最終章

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彼女の話をよく聞くと、旦那さんの会社の同僚かつ友達が、入院3日後にお見舞いに来てくれたそうなのだ。

その時、友達は結婚間近の彼女も連れてきていた。

そこから30分後、彼女さんは用事ができたために病室を後にした。


更にその2時間後に、今話してくれている女性が旦那さんのお見舞いに来たら……

なんと、隼くんと旦那さんの友人が隼くんのベッドで重なっているのを見てしまったらしいのだ。


「私の旦那は私が来たときには爆睡してた。だけど…その隙に、まさか初対面の男性を奪ってしまうとはね……」

隼くんのことを思い出しながら、その女性は目を細める。

「今日、あなたが私を病室に入れなかったのもそういう理由なんでしょう?今もまた…私の旦那は、あの子と体を重ねているのよね?」


私のしようとしていことを見抜くように、女性はまっすぐ私を見る。

「………はい……」

私は何も言い訳できず、思わず素直に頷いた。


だけどその女性は驚いたり絶望したりする様子もなく、ただ静かに「やっぱりね」と呟いただけだった。


「あの子は…私から旦那を奪い、旦那の親友の彼女さんから親友を奪った。……人のものを奪うことで快感を得るタイプなのかしら…」

口元に微妙な笑みを浮かべて、女性は私に問いかける。

私はすぐには何も反応できず、隼くんの姿を思い浮かべていた。


確かに……

私もあの頃は、隼くんに春馬を奪われたと思っていた。

決して隼くんはわざとではないと思っていたのだけど……


これだけ連続して似たような話があるなら、ひょっとしたら隼くんは……


「まあ…私はあの子に勝てなくても、もう戸籍の上では旦那の隣にいるから…彼らにはどうすることもできないんだけどね」


彼女は強がるように悔しさを滲ませながら言う。

私も春馬と結婚直前までいっていたのに、結局それを壊された……


だから、彼女の精一杯の安心の理由は、必ずしも保証されるものではない……。


口には出さずにそう思っていたが、同時に私は試したくなった。

私の今の彼氏を、隼くんに合わせたらどうなるのだろう……


少なくとも隼くんは、私がこの病院にいることを知っている。

そんな私の彼氏も、また奪われるのだろうか…



気づいたら私はこの好奇心を抑えられずにいた。
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