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最終章
5-2
しおりを挟む「まあ……流石に俺みたいなオッサンは相手にされるわけないっすから。逆に安全ですよ」
俺は適当に冗談を言い、オバちゃんたちを和ませる。
俺と隼がかつて教師と生徒の関係だったことは、誰も知らない。
だから俺が隼に過去にしてしまったことを知ってる者もいないのだ。
俺は本当は、今から7年前に隼を無理矢理犯してそれが学校にバレてクビになった。
しかし、そんなことを知られてしまえば、俺はせっかく長続きしているこの職場を辞めなければいけなくなるだろう。
そもそもの話、バレたくなければ隼が入ってきた時点で俺がやめればよかったのかもしれない。
その方が隼も俺に気を遣わずに済むし、俺もあの過去を思い出しては後悔と懺悔の気持ちに胸が痛くなることもない。
しかしそれでも辞められないのは、単にこの年齢で雇ってくれる職場が他に少ないからだけでなく、やっぱり俺は、あいつへの執着心を捨てきれていないからなのだ。
周りには勿論、本人にもそれは見せていないが、本当は俺の気持ちはあの頃のまま…隼へ歪に真っ直ぐ向かっている。
だけど……俺は一度、幼いあいつを傷つけた。
だからもう、二度と同じ罪を犯すまいと決めているのだ。
今は、ただのバイト先の先輩・後輩として…
あいつの成長を見守っていければそれでいいのだ。
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