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7人目:とある刑事の話

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「これで証拠になりましたね。藤井海吏くんが無実の罪を着せられているということも……あなたが未成年の隼くんに手を出したことも」



俺の犯した罪を淡々と宣告する弁護士の後ろでは、何も言わずに隠れるようにして俺を見ている醍醐がいた。


「醍醐……お前……わざとだろう……?わざと俺を嵌めて、誘惑して、全てを話させたな……?」


俺が醍醐へ距離を詰めると、サッと弁護士が醍醐の前に出る。

「なあ?お前……わざと俺に犯されたんだろう?おい……!!」


最早、刑事としての立場などはもうどうでもよかった。

俺はただ、目の前の醍醐隼を嵌めるつもりが嵌められて、俺の思い通りに事を運ぶつもりが裏をかかれたということに、腸が煮えくり返りそうだった。



「おい!!何とか言えよ!!」


思わず大声を出してしまう。

弁護士は冷酷な目で俺を見下し、醍醐は弁護士の後ろで少し震えながらも俺を見てた。






「……あの事件について、何か証拠となる発言があればいいなと思って録音したのはその通りです」



しばらく黙っていた醍醐が静かに口を開いた。


「だけどまさか、菜摘さんの話が出てくるとは思いませんでした。そして……刑事さんに襲われることも、想定なんてしていませんでしたよ。ましてや誘ったとか自ら犯されるように仕向けたとか…絶対にあり得ません。」



声のトーンは静かに落ち着いていて、ゆっくりと話す。

だけどハッキリと、醍醐はそう言った。


「僕のことを調べていたのも、僕に対してあんな風に思っていたのも……何も知りませんでした。ただ僕は、あの事件のことを正直に話してほしかった。愛莉さんやあなたが犯した罪を認めて、何の罪もない海吏やそのせいで苦しんでいる麻友さんを助けてほしかった。それなのに……」


醍醐は自分を守るように立っていた弁護士の前に出てきて、俺の目を捕らえるように真っ直ぐと視線を向けてくる。


醍醐の作り出す沈黙の中、俺も弁護士も、醍醐の次の言葉を待った。


醍醐は何かを決心したかのように息を置き、目を閉じて、そして口を開いた。
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