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7人目:とある刑事の話

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醍醐隼は、小学時代に酷いイジメに遭っていた。


小学校2年生の時に東北地方から都内に引っ越してきて、初めのうちはクラスメイトとも良好な関係を築いていた。

しかし5年生のクラス替え以降、同じクラスになった発達障害を持つある男児がクラス内でいじめられるようになった。

醍醐はそれを見てその男児を助けていた。


しかし当然、そうなるとイジメっ子たちの標的は醍醐へと切り替わる。

最初にいじめられていた発達障害の男児とその保護者はこのいじめにショックを受け、特別支援学校へと転校してしまった。

そこからは醍醐一人だけがターゲットとなり、いじめは小学校を卒業するまで続いていた。



そんな醍醐の小学時代を支えていた人物は2人いた。


1人目は、同じテニスチームに所属していた冷泉優れいぜい ゆう

学校こそ違えど、2人は練習の日だけでなく休日などもしばしば遊んでいた。


そして2人目は……


醍醐の通っていた小学校の近くに住んでいた、山内菜摘だ。

彼女は当時25歳。

大学を出て一度は中学の教員になったが、メンタルを崩してすぐに休職した。

しかしいずれはまた教職に戻ろうとしていたためこともあり、独り暮らししていたアパートの近くにあった小学校の児童たちと公園などで遊ぶことがよくあったそうだ。


近所では遊んでくれる優しいお姉さんで通っていた。


そして菜摘を慕う子供のうちの一人が、醍醐隼だった。




菜摘は美人で明るく、面倒見も良い。

子どもたちの人気者になったのは言うまでもない。


ただ、菜摘にはひとつだけ欠点があった。


それは、菜摘の姉……菜月と同じく、男関係にだらし無いことだった。


菜摘と菜月は歳がかなり離れていて仲もよくなかった。

実は、俺と菜月が離婚した理由も、菜摘がしきりに俺へ色仕掛けしてきていたからである。


愛莉が小学校に上がる頃には既に離婚していたのだ。


そこから菜摘は1人でアパートに暮らし、日々子どもたちと楽しそうに遊んでいて、しばらくは男関係の悪い話も聞かなくなっていた。


このまま順調にメンタルを回復させ、再び教職に戻れるのではないかと思っていた矢先に……

突然の交通事故で亡くなってしまったのだ。



俺はその時既に離婚していたし、菜月に来るなと言われていたのもあって、菜摘の葬式にも行っていない。仏壇を拝みに行った事もない。


だからしばらくは菜摘の話は記憶から薄れていた。


それなのに……



俺が醍醐隼を調べているうちに、生前菜摘と醍醐が深い関係にあったことが分かったのだ。



2人はただの近所のお姉さんと子供という関係ではなく、完全な恋人関係だった。


当時菜摘は25歳で醍醐は11歳。

まさかと思うかもしれないが、14歳差の恋愛だ。


しかも、純粋な恋愛ではなく……


あの菜摘のことだ。きっと醍醐に手を出すまでに、そう時間は掛からなかったのだろう。


2人は人目を忍んではデートをし、キスをし、そして行為に励んだ。

決して許されない2人の関係は、菜摘の突然死によって強制的に終わりを告げた。




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