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5人目:平凡後輩の話

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「隼先輩がいなくなっちゃったら、俺どうしよう……」


俺は本来、誰かに感謝されたり褒められたりすることのない人生を歩むべき人間だ。

それなのに2年間も隼先輩からそういう接し方をされると、つい隼先輩に甘えてしまう。

だけど、先輩が高校に入るまであと数カ月……


「いなくなることなんてないよ!中学の部活は引退しても、敷地は高等部と一緒だし、定期的に会いに行くよ?」


隼先輩は俺を安心させるように、そんなことを言ってくれる。


「ほんとに来てくださいね??来なかったら俺、もう………泣きますw」

「そんなことで泣いちゃだめw俺だって海吏に毎日会えなくなって泣くくらい寂しいのを我慢して高校生活を送るんだよ?」

「ほんとですかwそんなこと思ってくれてます?」

「ほんとほんと。だからお互い頑張って我慢しような?」



隼先輩の言葉は、魔法みたいだ。


フッと心が軽くなり、ついこちらまで嬉しさが溢れてて優しい気持ちになる。


「あーー……隼先輩みたいな先輩とか先生が沢山いればなあ……」

「ええ、学校中が俺みたいな人だらけになるの?……絶対崩壊するよ」

「しませんて!むしろすごい平和になりそう。皆優しい気持ちになって、誰も傷つかない学校になりそうですよね」

「そんなことあるかなあ…それはそれで悩みを抱える人もいると思うけどなあ…」

「そうですかね?」

「うん…環境が変わっても結局みんな、それぞれ悩むし大変な思いはすると思う」


確かに…と俺は心で頷いた。

隼先輩みたいな完璧なイケメンでも、それはそれで悩みがあるんだろう。

修学旅行でストーカーに遭うとか、隼先輩じゃなければ抱えることのない悩みだ。

だからこそ、周りから理解や共感を得られない辛さというのもあるんだと思う。
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