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4人目:彼女の話

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「………あの事件以降、隼には周りを警戒するよう言っている。万一のことがあったときの為に、常にボイスレコーダーを持ち歩かせているんだ。」

「ボイスレコーダー……?なんでよ」

「お前みたいなのがいるからだよ。特に大人と話すときは警戒しておけって言ってたんだ。だからあんたがあの日、隼の部屋を訪ねに来た時の音声は残ってる」

「会話を聞いたっていうの!?それこそストーカーみたい」

「どの口が言うんだ。……とにかくあの証拠を聞けば、あんたと隼は佐伯先生の事件の話をしてすぐに解散してるということが分かる。あんたが部屋から出ていった直後に俺は隼の部屋を訪ねているから、隼が意図的にあんたとシてるシーンをカットするなどして記録を捏造したということもあり得ない。あんたが勝手に記憶を捏造しただけだ。」

「捏造って……何馬鹿なこと言ってるのよ!」


私は悔しくて仕方なかった。

いきなり出てきた隼くんの親友にわけのわからない言いがかりをつけられて、あの日の私たちがなかったことにされたのが。


あの日、隼くんと私は確かに繋がった。

隼くんは初めての経験でとても恥ずかしがっていたけど、私に触れてだんだんと本能のまま動いてくれた。

最後の方、少し申し訳なさそうにしてたことだって覚えてる。

それに……


「私にはこの子がいるのよ!?春馬とああなってから、隼くん以外としてないのに!この子ができるわけがないじゃない!!」


そう言って私は自分のお腹をさすった。
私の中にいるこの子が、何よりもの証拠よ。


「あなたみたいなポッと出の自称親友には騙されない!」


お腹の子の動きを確かめる。


「隼くんのことを私に奪われたからってこんなわけわかんない言いがかりつけないでよ!」


私が怒っているせいかな?いつもより動きが鈍い…



「ここにいるのよ!!二人が繋がった証が!」


私の感情とは裏腹に、お腹の子は無言を貫く。


「ほら!動いて!いつも私の声に答えてくれてたじゃない!!いつもみたいに動いてよ!!」


寝ているのか反抗してるのかわからないが、頑なに動かない自分のお腹につい手が強く当たる。


「動いて……!動きなさいよっっ!!あんたは、私と隼くんの子でしょぉぉおお!?!!!!」


こんな時に限って何も言わないのがムカつく。

何度擦っても叩いてもビクともしない。

両手を組んで、その手を思い切りお腹に何度もぶつける。


どうして動かないの?

どうして隼くんはここにいないの?


どうして…………



「赤松さん。落ち着いて下さい。」


どうして……?



「まずは向こうで話を聞きます。ちゃんと歩けますか?」



私はもう、誰か分からない人に声をかけられて腕を支えられて歩いている。


優くんが心から私を蔑み憐れむような顔をして私を見ている。








どうして、お腹には誰もいないの………
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