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4人目:彼女の話
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「ねえ隼くん、なんでそんなに聞き上手なの?人生3周目?」
隼くんの部屋を訪ねてからずっと思っていたこと。
普通の中学生ではあり得ないくらい話をちゃんと聞いてくれるし、落ち着いて答えてくれる。
仕事柄、年頃の男子と話すこともよくあったけど、大体はふざけてるか自分の話ばかりするか逆に女の人を意識しすぎて何も話してくれないかのどれかだった。
「隼くんと話してると、大人と喋ってるみたい」
私の素直な感想は声に出ていた。
「残念ながら人生は一周もしてませんよ。僕は大人の人の前で大人ぶってるだけです。友達とかといるときは普通に子供ですよ?」
「子供な隼くんを見てみたいなあ……」
自分で言った後に、何を言ってるんだろうと思った。
「あ、いや……想像できないからさ。それこそこの件で人の2面性とかに興味持っちゃって?それで…」
しどろもどろになりながら、私は咄嗟に自分の言葉を弁解する。
私としたことが、後先考えずに思ったことを漏らしてしまうなんて恥ずかしい……
「もしよかったら明日、練習試合なんですけど見に来ますか?結構大きいコートでやりますし、10校くらい集まるので応援の人たちも沢山来るので…」
「え?」
私の言い訳を聞いていた隼くんの提案に、私は一瞬自分の耳を疑った。
「外部の人って……見に行ってもいいの?」
「大丈夫ですよ。明日は何か予定があるんですか?」
「いや……特にないよ」
「だったら是非見に来てください。」
隼くんは優しく私の目を見てそう誘う。
サラリと誘われた私は、何故か恥ずかしくなっていた。
だけど隼くんの言う通り、友達とはしゃいでる姿を見てみたいとも思った。
「隼くんがいいならいいけど……バレないように遠くからしか見れないけど」
「確か優香さんもテニス経験者なんですよね?他の試合を見に来てたって言えば大丈夫な気がしますが…」
「え!なんでそれ知ってるの?」
「実は…佐伯先生に聞きました」
「あーなるほどそうだったのね」
隼くんと春馬の間で、私の話が出ているという事実にも更に恥ずかしさが増した。
だけど同時に、少し嬉しいような気もした。
「全くテニスを知らなかったらいきなり誘ったりしませんよ。」
隼くんはそう言って笑った。
笑った顔が、本当に優しくてかわいい。
隼くんの部屋を訪ねてからずっと思っていたこと。
普通の中学生ではあり得ないくらい話をちゃんと聞いてくれるし、落ち着いて答えてくれる。
仕事柄、年頃の男子と話すこともよくあったけど、大体はふざけてるか自分の話ばかりするか逆に女の人を意識しすぎて何も話してくれないかのどれかだった。
「隼くんと話してると、大人と喋ってるみたい」
私の素直な感想は声に出ていた。
「残念ながら人生は一周もしてませんよ。僕は大人の人の前で大人ぶってるだけです。友達とかといるときは普通に子供ですよ?」
「子供な隼くんを見てみたいなあ……」
自分で言った後に、何を言ってるんだろうと思った。
「あ、いや……想像できないからさ。それこそこの件で人の2面性とかに興味持っちゃって?それで…」
しどろもどろになりながら、私は咄嗟に自分の言葉を弁解する。
私としたことが、後先考えずに思ったことを漏らしてしまうなんて恥ずかしい……
「もしよかったら明日、練習試合なんですけど見に来ますか?結構大きいコートでやりますし、10校くらい集まるので応援の人たちも沢山来るので…」
「え?」
私の言い訳を聞いていた隼くんの提案に、私は一瞬自分の耳を疑った。
「外部の人って……見に行ってもいいの?」
「大丈夫ですよ。明日は何か予定があるんですか?」
「いや……特にないよ」
「だったら是非見に来てください。」
隼くんは優しく私の目を見てそう誘う。
サラリと誘われた私は、何故か恥ずかしくなっていた。
だけど隼くんの言う通り、友達とはしゃいでる姿を見てみたいとも思った。
「隼くんがいいならいいけど……バレないように遠くからしか見れないけど」
「確か優香さんもテニス経験者なんですよね?他の試合を見に来てたって言えば大丈夫な気がしますが…」
「え!なんでそれ知ってるの?」
「実は…佐伯先生に聞きました」
「あーなるほどそうだったのね」
隼くんと春馬の間で、私の話が出ているという事実にも更に恥ずかしさが増した。
だけど同時に、少し嬉しいような気もした。
「全くテニスを知らなかったらいきなり誘ったりしませんよ。」
隼くんはそう言って笑った。
笑った顔が、本当に優しくてかわいい。
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