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「もうさ……みんなにバラしちゃえばいいんじゃない?私たちの関係。」

あっという間にゴールデンウィークに入った。

僕は昭恵さんと話したあの日から、菜摘さんとのことについて悶々と考える日々を過ごしていた。

あれから約1週間が経過したのだが、その間にも菜摘さんと何度か会っていたため、僕の様子が変なことに菜摘さんは気づいていたらしい。


ゴールデンウィーク2日目の今日、僕は午前中から菜摘さんの家で過ごしていた。


「みんなに言っちゃうの?…それって大丈夫?」

「んー…大丈夫なんじゃない?」


5月に入ったばかりだというのに、ここ数日の気温はまるで夏の到来を急かしているかのように高くなっている。

菜摘さんはそんな暑さを理由に、さっきから立て続けにアイスを3本食べている。

突飛な彼女の提案に驚く僕を横目に、サクっと涼しい音を立てながら、菜摘さんは今まさに3本目のアイスを食べ終えた。


「だって…小学生と大人だよ?恋愛関係にあることが周りの大人にバレたら大変だよ…」

「まあ法律上はそうね。…でも、隼くんのご両親が何て言うかにもかかってるんじゃないの?」

「僕の両親…?」

「そう。こういうの、厳しい人たちなの?」

「うーん…。分かんない。そこまで厳しくはないと思うけど」

「じゃあさ、今度隼くんから切り出してみてくれない?『実は僕の彼女は、僕よりうんと年上の大人なんです』って!」

「そんなにアッサリ切り出せないよ…。……まあでも正直…そろそろ怪しまれてはいると思う。僕の彼女が同じ小学校の子ではないってことは何となく察してるような気もするし。」

「でしょう?いつまでも隠しておける訳でもないし、いずれは隼くんのご両親にも納得してもらいたいのよ。だから、まずはそこからよ。それでもし隼くんの家族に認められたら、そこから他の子たちにもハッキリ言っちゃえばいいのよ。」

サッパリした色合いのアイスのように、菜摘さんはさっきからサラリと僕らの関係について提案する。

そんなにうまく事が運べばいいけど…。

「だいたい、隼くんが私に対して疑心暗鬼になっちゃうのは、他の人たちに対してはっきりと『菜摘さんは僕の彼女です!』って言えないからよ。隼くんがまさか私と付き合ってるなんて思わない子たちは、そりゃあ色々と隼くんに言ってくるわよ。」

「そうなのかな…?」

「そうよ。隼くんの一方的な片想いだと思われてるから、片想い特有の盲目さを突かれるのよ。」


菜摘さんのはっきりとした声に、僕は思わず頷きたくなる。

成程確かにそういう面もあるのかもしれない。

菜摘さんのいい所しか見ていない、他の人の意見を一切聞き入れない盲目のファンだと思われている面も確かにあるだろう。

だけど、仮に僕たちの関係を公表したところで、果たしてそれは変わるのだろうか…?

いや、根本的な解決になっていない気がする。

どちらにせよ、僕が菜摘さんの全てを知らない限りは…

嫌な部分、知りたくない部分も知ろうとしないことには…

昭恵さんに指摘されたことの解決にはならないのではないだろうか…。
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