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小学五年生にもなると、クラスの人たちが恋愛について語り合い、盛り上がっている場面を見かけることも増えてきた。

「ねえねえ聞いてよ。昨日○○くんと帰ったんだけどね、そのときに『明日も明後日も一緒に帰りたい』って言ってくれたの!これって脈アリ?」

「絶対脈アリでしょ!ていうか、△△先輩!いつの間にか彼女できてた…」

「うわーまじか。あんたは失恋したね」

「もーー最悪!このクラスの男子はみんなガキだから誰も恋愛対象になんて思えないのに~」

「わかる~。みんな下ネタばっかり言うし、すごい下品なんだよね。」

「カッコいい人もいないし、子供っぽいし!……ねえ、ほら、見てあれ。」

「……うわー。あいつが一番ないわ。」

「……ねえ。そこで何してんの?」

「…え?」

「え?じゃなくて。邪魔なんだけど。」

「ごめん……。掲示物の貼り替えを頼まれてたから…」

「邪魔だから早くどいてよ。」

さっきまで恋愛話しに花を咲かせていたはずの女子たちが、いつの間にか教室の後ろ側で黙々と作業していた僕の近くに来ていた。

僕は彼女たちに言われるがまま、高い位置に貼ろうとしていた掲示物とそれを貼るための椅子を横にずらして、狭い通路を塞がないようにした。


「…ねえ、あんたさ。好きな人いるの?」

「えっ?」

「何聞いてんのあんた!」

「何となく気になっただけ。……いるの?」

「え、いや……」


恋愛トークをしていた女子3人のうち、一番目立つ女子が何故か僕に恋愛しているかどうかを聞いてきた。

普段、僕を嫌う男子たちと一緒になって僕に対して無視したりゴミを投げてきたりするのに……。


こんな風に普通に話しかけられると、どう答えて良いか分からなかった。

「いるの?いないの!?」

「わかんない……。考えたこともなかった…。」

「はぁーつまんな。」

「てか、こいつに好きな人いたところで誰もオッケーなんかしないでしょ。」

「それな?好かれた人がかわいそう。」

「確かにそれもそうだね。なんだー、好きな人いたらバラしてやろうかと思ったのに。」


そう言って僕の元から去って行く三人の後ろ姿を見て、咄嗟に答えた内容が正解だったことに安堵する。

だけどさっき彼女らに告げたのは、咄嗟に出した答えとはいえ、僕の本当の気持ちでもあった。

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