40 / 217
6頁
8
しおりを挟む
「隼くんって、不思議な子ね……。」
2人でお粥を食べて、菜摘さんが少し落ち着いた頃。
僕が昨日買ってきたアイスを食べながら、菜摘さんが唐突にそんなことを言った。
「不思議ですか?」
「うん。小学生なのにすごく落ち着いてるし、大人みたいにしっかりしてる。だけどたまに元気で無邪気な子供らしさを出すこともあって、可愛い弟みたいでもある。……けど、さっきみたいに……お父さんみたいな包容力もあるし……本当に不思議。」
「……僕はそんなにしっかりしてませんよ。」
「してるよ~~。今まで見てきた小学生の中で一番。」
「……そんなこと……」
菜摘さんが僕を褒めてくれる度に、僕の鼓動は速まるばかり。
まるで耳から脳を通って、全身の血管へその甘くて気恥ずかしいような感情が送られていくように…
僕の全身を、その細胞の一つも取り零すことなく、淡い色で少しずつ塗り潰していくように…
今まで感じたことのない嬉しさがこみ上げて来る。
次の言葉に窮すること。
こんなことも、今までは一度もなかった。
だけど菜摘さんを目の前にすると、どうしても自分の言葉を頭の中で一度推敲してしまう。
変なことを言いたくない。引かれたくない。
そしてそんな気持ちが増せば増すほど、脳の回転と心臓の動きが轟き合うのだ。
この不思議な気持ちは、何なのだろう。
どうして菜摘さんの前では、普段の僕じゃいられないんだろう。
その答えはきっと、菜摘さんが知っているはず……
僕はそう思って、夕日に反射する橙の瞳を向けて僕の言葉を待っていた菜摘さんに聞いてみることにした。
2人でお粥を食べて、菜摘さんが少し落ち着いた頃。
僕が昨日買ってきたアイスを食べながら、菜摘さんが唐突にそんなことを言った。
「不思議ですか?」
「うん。小学生なのにすごく落ち着いてるし、大人みたいにしっかりしてる。だけどたまに元気で無邪気な子供らしさを出すこともあって、可愛い弟みたいでもある。……けど、さっきみたいに……お父さんみたいな包容力もあるし……本当に不思議。」
「……僕はそんなにしっかりしてませんよ。」
「してるよ~~。今まで見てきた小学生の中で一番。」
「……そんなこと……」
菜摘さんが僕を褒めてくれる度に、僕の鼓動は速まるばかり。
まるで耳から脳を通って、全身の血管へその甘くて気恥ずかしいような感情が送られていくように…
僕の全身を、その細胞の一つも取り零すことなく、淡い色で少しずつ塗り潰していくように…
今まで感じたことのない嬉しさがこみ上げて来る。
次の言葉に窮すること。
こんなことも、今までは一度もなかった。
だけど菜摘さんを目の前にすると、どうしても自分の言葉を頭の中で一度推敲してしまう。
変なことを言いたくない。引かれたくない。
そしてそんな気持ちが増せば増すほど、脳の回転と心臓の動きが轟き合うのだ。
この不思議な気持ちは、何なのだろう。
どうして菜摘さんの前では、普段の僕じゃいられないんだろう。
その答えはきっと、菜摘さんが知っているはず……
僕はそう思って、夕日に反射する橙の瞳を向けて僕の言葉を待っていた菜摘さんに聞いてみることにした。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる