青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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僕は驚いて顔を上げた。


そこには、僕と同じく少し驚いたような顔をした美しい女性が立っていた。


「君、さっきから公園の方をずっと見てたよね？そこの小学校の子かな？」


ビー玉を転がしたような可憐な声を出しながら、彼女は僕の顔をのぞき込んだ。


「……そこの小学校の5年生です。…少しだけ、公園の絵を描きたくて…」


僕は初対面の人と話すのが苦手だ。

自分が思っている以上に小さな声だっただろうが、僕の言葉を聞いた彼女は優しく笑った。


「もう遅い時間だから、少しだけだよ。描いたらすぐにお家に帰ろうね？」


僕は頷いた。

僕が持つスケッチブックへ向けられた彼女の眼差しがとても優しかった。






「君の名前は何ていうの？」

「醍醐隼です」

「隼くんね。いつもここで絵を描いてるの？」

「ここで絵を描くのは初めてです。…今日は、特に夕日がキレイだろうなと思ったから…」

「確かに、とってもキレイね」



僕が色鉛筆を動かしている間、彼女は隣に立って声をかけてくれていた。

僕の読み通り、今日の夕日はいつもの100倍美しい。


淡いオレンジ色はまるで薄いピンクのよう。

公園を囲む木々の隙間から、優しく地面を照らしている。

柔らかくて暖かくて優しくて少し切ない……


そんな色をした、はじめての夕焼けだった。