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嵐の夜2

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「ところで隼。今日は本当に泊まってもいいのか?」

俺はそんな自分の気持ちを打ち消すように、俺の隣に座り冷たい麦茶を飲む隼に聞いた。

「いいよ!今日は梨々も帰ってこないし」

「そうか。」

雨宮は今日、実家での法事があるために帰省しているようだ。

「あと、この課題についてちょっとアドバイスがほしくて………」


隼はテーブルの横に置いてあったファイルを漁り、中からレポートの要項が書かれてあるA4の紙を取り出した。

「経済の授業か?」

「いや……どちらかというと金融の話かな。経済なら何となく得意なんだけど、金融ってなると優のほうが詳しいかなと思って…」

「貸してみろ」

俺は隼からプリントを受け取る。

「……まあ、この講義は俺も来年受ける予定だ。金融は複雑だがわかると面白いぞ」

「まだ面白いとか思えたことないよ……早くその域まで達したい」

「雨宮には聞かなかったのか?」

「梨々もこういうのは苦手なんだって。数字に強いのに不思議だよね」

「数学や化学の数字と金融や経済の数字は恐らくまた性質が違うからな。」

「やっぱりそうなのかー……」

「まあ、俺もそこまで詳しくはないが、この内容ならアドバイスくらいは出来そうだ。」

「本当!?ありがとう!」

俺の言葉に心底嬉しそうに目を輝かせて礼を言う隼。

雨宮がいなくて、行き詰まっている課題がある……

だから隼は、今日俺を呼んでくれたのだ。

喜んでいいのか悲しむべきなのか分からないこの状況に俺は何も言えないまま、隼と一緒にそのレポートを片付けた。


「んあー!やっと終わった!」

時計を見ると午後11時。

俺と隼は、約4時間もレポートに向き合っていたことになる。

パソコンからプリンタへの印刷のボタンを押した途端、隼は達成感を隠さないで大きく伸びながらそう言った。

「ほんとにありがとね優!助かったよ!」

隼はプリンタから出てきたA4用紙5枚分のレポートを確認し、俺に礼を言う。

「役に立てて良かった。」

俺はそう答え、心底安心している隼の様子を眺めていた。

「ねえ優!お礼させてよ!」

嬉しそうな隼を眺める俺の目を見て、隼はそう言った。
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