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事後
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あれから俺と隼は、何度も互いに体を求め合った。
隼は乳首で3回ほど、自身で2回ほどイき、俺も最後に1発口で抜いてもらった。
何度出しても冷めない理性と止まらない欲情は、若さ故なのだろうか。
俺のこいつへの気持ちを考えれば当然なのだが、一方でこいつは何故こんなにも俺を求めてくれるのか……
「隼、やっぱり溜まってたんだろ?」
事後、二人で風呂に入った。
俺のマンションの部屋は一人で過ごすには無駄に広い。
それは風呂も例外ではなかった。
浴槽に隼と二人で入っても十分なスペースがある。
俺は隼を後ろから抱きしめる形で温かい湯に浸かっていた。
「うーん…否定はできないかな」
隼は俺の顔のすぐ近くではにかむように答える。
こいつは俺よりも少し背が低い。
ちょうど俺の口元がこいつの耳に当たる。
「やはりな。あれだけ乱れてたからな」
俺はあえて耳元でそう呟く。
こいつが耳が弱いのは今日分かったことだ。
案の定、今の俺の言葉にもビクッと体を反応させた。
「……っもう、耳元で話さないでっ」
「可愛い。」
「まだそうやって揶揄うの??」
「揶揄うもんか。本音だ」
「………もういいよ…」
一般的には本能のまま求め合ったあの時間から時が経てば経つほど、互いに冷静になりそうなものだ。
しかし不思議と、俺らは緩やかな温かい雰囲気を維持していた。
ほんのりとした、心地良い二人での入浴。
先程のような官能的な気分とはまた違う気持ちよさに2人は酔いしれていた。
「で、どうなんだ?溜まってたんだろ?」
「俺……優に最低なことしたかな…」
「最低なこと?何故」
「だって………いくら自分が梨々とできないからって…俺のことを本気で想ってくれてる優とそういうことをするなんて…体目的、性欲目的なのと変わらないんじゃないかなって思って」
梨々というのは、隼の彼女である雨宮の名前だ。
目の前の隼の表情は見えない。
が、罪悪感に潰されそうな生真面目な声は、本当に俺に対して申し訳ないと思っているのだろうということが伝わってきた。
「そんなこと気にするな。そもそもは俺が無理矢理始めたことじゃないか。」
「無理矢理じゃないよ…!俺だって同意してたし」
「じゃあ互いの同意の元だ。何の問題もなかろう」
「そういうことじゃなくて…!」
続きを言おうとしたが上手く言葉が見つからなかったのか、隼は言葉を途絶えさせた。
「……優は…俺のことを好きだからああいうことしてくれたのに……俺は…好きとかというより、ただ……気持ちよくてしちゃっただけだから……」
隼が少しうつむく。
声は消え入りそうなくらい小さく、俯いた先の水面に吸収されるようだった。
隼は乳首で3回ほど、自身で2回ほどイき、俺も最後に1発口で抜いてもらった。
何度出しても冷めない理性と止まらない欲情は、若さ故なのだろうか。
俺のこいつへの気持ちを考えれば当然なのだが、一方でこいつは何故こんなにも俺を求めてくれるのか……
「隼、やっぱり溜まってたんだろ?」
事後、二人で風呂に入った。
俺のマンションの部屋は一人で過ごすには無駄に広い。
それは風呂も例外ではなかった。
浴槽に隼と二人で入っても十分なスペースがある。
俺は隼を後ろから抱きしめる形で温かい湯に浸かっていた。
「うーん…否定はできないかな」
隼は俺の顔のすぐ近くではにかむように答える。
こいつは俺よりも少し背が低い。
ちょうど俺の口元がこいつの耳に当たる。
「やはりな。あれだけ乱れてたからな」
俺はあえて耳元でそう呟く。
こいつが耳が弱いのは今日分かったことだ。
案の定、今の俺の言葉にもビクッと体を反応させた。
「……っもう、耳元で話さないでっ」
「可愛い。」
「まだそうやって揶揄うの??」
「揶揄うもんか。本音だ」
「………もういいよ…」
一般的には本能のまま求め合ったあの時間から時が経てば経つほど、互いに冷静になりそうなものだ。
しかし不思議と、俺らは緩やかな温かい雰囲気を維持していた。
ほんのりとした、心地良い二人での入浴。
先程のような官能的な気分とはまた違う気持ちよさに2人は酔いしれていた。
「で、どうなんだ?溜まってたんだろ?」
「俺……優に最低なことしたかな…」
「最低なこと?何故」
「だって………いくら自分が梨々とできないからって…俺のことを本気で想ってくれてる優とそういうことをするなんて…体目的、性欲目的なのと変わらないんじゃないかなって思って」
梨々というのは、隼の彼女である雨宮の名前だ。
目の前の隼の表情は見えない。
が、罪悪感に潰されそうな生真面目な声は、本当に俺に対して申し訳ないと思っているのだろうということが伝わってきた。
「そんなこと気にするな。そもそもは俺が無理矢理始めたことじゃないか。」
「無理矢理じゃないよ…!俺だって同意してたし」
「じゃあ互いの同意の元だ。何の問題もなかろう」
「そういうことじゃなくて…!」
続きを言おうとしたが上手く言葉が見つからなかったのか、隼は言葉を途絶えさせた。
「……優は…俺のことを好きだからああいうことしてくれたのに……俺は…好きとかというより、ただ……気持ちよくてしちゃっただけだから……」
隼が少しうつむく。
声は消え入りそうなくらい小さく、俯いた先の水面に吸収されるようだった。
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