49 / 96
第四章 オリヴェルの章(オリヴェルEDルート)
49. 嫉妬したんだ
しおりを挟む
熱戦に沸き立つ競技場。
なのにどうして、ここには冷気が立ちこめる。
先ほどから黙して語らないオリヴェルに、パウラはとても居心地が悪い。
間がもたない困惑に、やはり黙りこくるしかない。
いい加減にしてほしいと、そろそろ思い始めていた。
オリヴェルは白いシャツに黒のパンツ姿で、シルクの仮面を手にしている。
いかにもどこかの大店のご子息風だが、いかんせんにじみ出る高貴の気配は隠せない。
そのうえに不機嫌オーラをゆらゆらと出されては、話しかけることさえ難しい。
いったい私が何をした?
聖女オーディアナ候補として、課題に「それなりに」取り組んだだけだ。
こんな気まずい空気を醸し出される、そんな覚えはない。
断じてない。
そう思えば、がぜん腹が立った。
どうして私が、こんないたたまれない思いに耐えなくてはならない。
「オリヴェル様、私が何かいたしましたか?」
抗議の思いでそう問えば、さらに腹が立ってきた。
「ごめん。
パウラは何も悪くないよ」
視線は変わらず競技場に向けたまま、オリヴェルはそう応えた。
「今回の聖女候補、どうして二人だか、パウラは知ってるかい?」
話題転換の角度が急すぎる。
突然というか、いきなりというか。
「ヘルムダールの聖紋もちの公女が、代々継いできたものだよね。
そもそも聖女オーディアナになるのに、試験なんて普通はしない。
でも今回はエリーヌにも、最近になって聖紋が出た。
二人の聖女候補、ごく稀にあるんだけど。
これって偶然だと思うかい?」
思わず周囲を見回した。
貴賓席用のバルコニーには、オリヴェルとパウラの他誰もいない。
「大丈夫、誰もいないよ。
パウラが席に着いたら下がるように、言っておいたからね」
護衛騎士まで下げたのか。
少し離れた扉の外にはいるのだろうが。
「エリーヌだけどね、誰が見たってわかるだろう?
あれじゃ無理だよ。
聖女オーディアナになんかなったら、この世が滅びてしまう」
横顔を向けたまま、オリヴェルは苦笑した。
「わかってて、黄金竜はエリーヌを呼んだんだろうね。
わたしたち聖使のために……さ」
くすりとオリヴェルは笑う。
陰鬱な目をして。
「わたしの任期はどうも長いらしくてね。
数千年は覚悟する必要があるってさ。
他の3人も、まぁ似たりよったりかな。
そうなると……、なにかしらの楽しみを与えなきゃと思ったんだろうね」
省かれた主語は、黄金竜オーディ。
だがそんなことはどうでも良い。
「楽しみと、そうおっしゃいまして?」
エリーヌのための怒りではない。
誰かの楽しみのために、パウラ自身も試練の儀に耐えていると言われたのだ。
本来なら必要のない試験を、黄金竜が聖使4人のために仕組んだものだと。
「ずいぶんバカにされたものですわ」
「そうだね。
でもそれは、君がではない。
わたしたち4人が、バカにされたんだよ」
振り向いたオリヴェルの緑の瞳が、沈んだ寂寞の色を映す。
「あれくらいで良いだろうと、そう思われたんだ。
女日照りのわたしたちには、あれで十分だってさ。
ふざけた話さ。
極上の本命を隣りに置けば、どちらがわたしたち用かなんて、誰にだってわかる」
聖使の任期は通常数百年だが、現在の4人に限って言えば数千年は楽に超えたようにパウラも記憶している。
前世ではセスランがエリーヌと結ばれて、任期が果てた後、共に黄金竜の泉地を去った。
ではそれこそが、オリヴェルの言う「楽しみ」ということか。
止まったままの時間を共に生きてくれる特別な女を用意して、目の前におくこと。
彼女には初めから聖女オーディアナとしての期待はしていないのだから、能力など問題ではない。
美しく愛らしく、男たちの心をそそる魅力さえあればそれで良い。
けれどエリーヌが、愛らしいか?
控えめに言っても、相当な根性悪だ。
表裏が激しくて、図々しく品がない。
自分が努力することはせず、他人を貶めて上にゆこうとする。
短い時間ならダマせても、少しでも長く付き合えばすぐにバレるのではないか。
「黄金竜の趣味が悪いということですわね」
思わずぽろりと本音がこぼれて、パウラははっと口元を押さえた。
悪口、陰口は見苦しいから、極力エリーヌに対するコメントを避けてきたというのに、つい。
ぷ……。
こちらも思わずといった風に、オリヴェルがふきだした。
「言うね、パウラ。
でもそうか。
黄金竜の趣味が、そもそも悪いんだ」
思い当たるフシでもあるのか、オリヴェルが軽く頷いた。
「黄金竜の郷にある風竜がね、前に言ってたよ。
今の竜后は、あまり関わりたくない方だってね。
それ以上のことは言わないし、わたしも聞かなかったけれど」
ふっと力が抜けたように笑って、オレンジ色の頭をオリヴェルは傾ける。
「どうもわたしは、マイナス思考の癖が抜けなくてね。
ありがとう、パウラ」
お礼を言われるようなことを言ったつもりはないが。
けれど確かにオリヴェルには、マイナス思考の傾向がある。
前世のパウラは、全く気が付かなかった。
それほど近い距離にいなかったからか、パウラ自身に余裕がなかったからか。
いつも陽気で粋で、気さくな青年だとしか思わなかった。
「だけどエリーヌが、わたしたち用に呼び出されたってことはホントだろう。
そしてね、それをセスランもアルヴィドも、シモンも気づいてる。
気づいていてなお、見ている相手はエリーヌじゃない。
パウラもわかってるよね?」
「エリーヌと比べたらマシってことですわね?」
苦しい逃げ口上なのは自覚していた。
アルヴィドやオリヴェルはそれほどでもないが、セスランやシモンの好意はあからさま過ぎるくらいだったから。
それでも認めるわけにはいかない。
好かれるのは良い。
けれど好かれ過ぎてはならないと、それが最初からパウラの目標だった。
「パウラはそうして距離をとるよね。
これ以上は近づくな……かな?」
白いシャツの右腕が伸びて、パウラの肩を抱く。
左手の指がパウラの頬を捕らえて、そっと撫でた。
「嫉妬だよ」
低い声は怒っているようで。
身をかわしたいのに、強い視線に縛られてまるで身動きできない。
これ以上は危険だ。聞いてはならないとアラームが鳴るのに、遮ることもできない。
「不機嫌の理由、パウラ聞いたよね?
嫉妬したんだ。
戦うパウラに見惚れていたあいつらを見て。
競技場ごと吹き飛ばしてやろう、本気で思った」
いきなりきた。
オリヴェルはまだ大丈夫だと思っていたのに。
防御の準備ができていないから、いきなり攻め込まれると弱い。
どうしよう、どう答える?
表情を取り繕う余裕なんて、まるでない。
右の頬が熱い。
オリヴェルの指が触れるその箇所だけが、かぁっと熱をもって火傷をしたように。
これが経験不足からくる反応か、もっと違う原因からくるものなのか。
いや、でも。
好意をもつほど、オリヴェルと仲良くしてはいないと思うし。
ぐちゃぐちゃこんがらがった思考の渦の中、オリヴェルの言葉が嫌ではないということだけは、パウラにもわかっていた。
なのにどうして、ここには冷気が立ちこめる。
先ほどから黙して語らないオリヴェルに、パウラはとても居心地が悪い。
間がもたない困惑に、やはり黙りこくるしかない。
いい加減にしてほしいと、そろそろ思い始めていた。
オリヴェルは白いシャツに黒のパンツ姿で、シルクの仮面を手にしている。
いかにもどこかの大店のご子息風だが、いかんせんにじみ出る高貴の気配は隠せない。
そのうえに不機嫌オーラをゆらゆらと出されては、話しかけることさえ難しい。
いったい私が何をした?
聖女オーディアナ候補として、課題に「それなりに」取り組んだだけだ。
こんな気まずい空気を醸し出される、そんな覚えはない。
断じてない。
そう思えば、がぜん腹が立った。
どうして私が、こんないたたまれない思いに耐えなくてはならない。
「オリヴェル様、私が何かいたしましたか?」
抗議の思いでそう問えば、さらに腹が立ってきた。
「ごめん。
パウラは何も悪くないよ」
視線は変わらず競技場に向けたまま、オリヴェルはそう応えた。
「今回の聖女候補、どうして二人だか、パウラは知ってるかい?」
話題転換の角度が急すぎる。
突然というか、いきなりというか。
「ヘルムダールの聖紋もちの公女が、代々継いできたものだよね。
そもそも聖女オーディアナになるのに、試験なんて普通はしない。
でも今回はエリーヌにも、最近になって聖紋が出た。
二人の聖女候補、ごく稀にあるんだけど。
これって偶然だと思うかい?」
思わず周囲を見回した。
貴賓席用のバルコニーには、オリヴェルとパウラの他誰もいない。
「大丈夫、誰もいないよ。
パウラが席に着いたら下がるように、言っておいたからね」
護衛騎士まで下げたのか。
少し離れた扉の外にはいるのだろうが。
「エリーヌだけどね、誰が見たってわかるだろう?
あれじゃ無理だよ。
聖女オーディアナになんかなったら、この世が滅びてしまう」
横顔を向けたまま、オリヴェルは苦笑した。
「わかってて、黄金竜はエリーヌを呼んだんだろうね。
わたしたち聖使のために……さ」
くすりとオリヴェルは笑う。
陰鬱な目をして。
「わたしの任期はどうも長いらしくてね。
数千年は覚悟する必要があるってさ。
他の3人も、まぁ似たりよったりかな。
そうなると……、なにかしらの楽しみを与えなきゃと思ったんだろうね」
省かれた主語は、黄金竜オーディ。
だがそんなことはどうでも良い。
「楽しみと、そうおっしゃいまして?」
エリーヌのための怒りではない。
誰かの楽しみのために、パウラ自身も試練の儀に耐えていると言われたのだ。
本来なら必要のない試験を、黄金竜が聖使4人のために仕組んだものだと。
「ずいぶんバカにされたものですわ」
「そうだね。
でもそれは、君がではない。
わたしたち4人が、バカにされたんだよ」
振り向いたオリヴェルの緑の瞳が、沈んだ寂寞の色を映す。
「あれくらいで良いだろうと、そう思われたんだ。
女日照りのわたしたちには、あれで十分だってさ。
ふざけた話さ。
極上の本命を隣りに置けば、どちらがわたしたち用かなんて、誰にだってわかる」
聖使の任期は通常数百年だが、現在の4人に限って言えば数千年は楽に超えたようにパウラも記憶している。
前世ではセスランがエリーヌと結ばれて、任期が果てた後、共に黄金竜の泉地を去った。
ではそれこそが、オリヴェルの言う「楽しみ」ということか。
止まったままの時間を共に生きてくれる特別な女を用意して、目の前におくこと。
彼女には初めから聖女オーディアナとしての期待はしていないのだから、能力など問題ではない。
美しく愛らしく、男たちの心をそそる魅力さえあればそれで良い。
けれどエリーヌが、愛らしいか?
控えめに言っても、相当な根性悪だ。
表裏が激しくて、図々しく品がない。
自分が努力することはせず、他人を貶めて上にゆこうとする。
短い時間ならダマせても、少しでも長く付き合えばすぐにバレるのではないか。
「黄金竜の趣味が悪いということですわね」
思わずぽろりと本音がこぼれて、パウラははっと口元を押さえた。
悪口、陰口は見苦しいから、極力エリーヌに対するコメントを避けてきたというのに、つい。
ぷ……。
こちらも思わずといった風に、オリヴェルがふきだした。
「言うね、パウラ。
でもそうか。
黄金竜の趣味が、そもそも悪いんだ」
思い当たるフシでもあるのか、オリヴェルが軽く頷いた。
「黄金竜の郷にある風竜がね、前に言ってたよ。
今の竜后は、あまり関わりたくない方だってね。
それ以上のことは言わないし、わたしも聞かなかったけれど」
ふっと力が抜けたように笑って、オレンジ色の頭をオリヴェルは傾ける。
「どうもわたしは、マイナス思考の癖が抜けなくてね。
ありがとう、パウラ」
お礼を言われるようなことを言ったつもりはないが。
けれど確かにオリヴェルには、マイナス思考の傾向がある。
前世のパウラは、全く気が付かなかった。
それほど近い距離にいなかったからか、パウラ自身に余裕がなかったからか。
いつも陽気で粋で、気さくな青年だとしか思わなかった。
「だけどエリーヌが、わたしたち用に呼び出されたってことはホントだろう。
そしてね、それをセスランもアルヴィドも、シモンも気づいてる。
気づいていてなお、見ている相手はエリーヌじゃない。
パウラもわかってるよね?」
「エリーヌと比べたらマシってことですわね?」
苦しい逃げ口上なのは自覚していた。
アルヴィドやオリヴェルはそれほどでもないが、セスランやシモンの好意はあからさま過ぎるくらいだったから。
それでも認めるわけにはいかない。
好かれるのは良い。
けれど好かれ過ぎてはならないと、それが最初からパウラの目標だった。
「パウラはそうして距離をとるよね。
これ以上は近づくな……かな?」
白いシャツの右腕が伸びて、パウラの肩を抱く。
左手の指がパウラの頬を捕らえて、そっと撫でた。
「嫉妬だよ」
低い声は怒っているようで。
身をかわしたいのに、強い視線に縛られてまるで身動きできない。
これ以上は危険だ。聞いてはならないとアラームが鳴るのに、遮ることもできない。
「不機嫌の理由、パウラ聞いたよね?
嫉妬したんだ。
戦うパウラに見惚れていたあいつらを見て。
競技場ごと吹き飛ばしてやろう、本気で思った」
いきなりきた。
オリヴェルはまだ大丈夫だと思っていたのに。
防御の準備ができていないから、いきなり攻め込まれると弱い。
どうしよう、どう答える?
表情を取り繕う余裕なんて、まるでない。
右の頬が熱い。
オリヴェルの指が触れるその箇所だけが、かぁっと熱をもって火傷をしたように。
これが経験不足からくる反応か、もっと違う原因からくるものなのか。
いや、でも。
好意をもつほど、オリヴェルと仲良くしてはいないと思うし。
ぐちゃぐちゃこんがらがった思考の渦の中、オリヴェルの言葉が嫌ではないということだけは、パウラにもわかっていた。
0
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
第二部の悪役令嬢がシナリオ開始前に邪神の封印を解いたら闇落ち回避は出来ますか?~王子様との婚約解消はいつでも大歓迎です~
斯波
恋愛
辺境伯令嬢ウェスパルは王家主催のお茶会で見知らぬ令嬢達に嫌味を言われ、すっかり王都への苦手意識が出来上がってしまった。母に泣きついて予定よりも早く領地に帰ることになったが、五年後、学園入学のために再び王都を訪れなければならないと思うと憂鬱でたまらない。泣き叫ぶ兄を横目に地元へと戻ったウェスパルは新鮮な空気を吸い込むと同時に、自らの中に眠っていた前世の記憶を思い出した。
「やっば、私、悪役令嬢じゃん。しかもブラックサイドの方」
ウェスパル=シルヴェスターは三部作で構成される乙女ゲームの第二部 ブラックsideに登場する悪役令嬢だったのだ。第一部の悪役令嬢とは違い、ウェスパルのラストは断罪ではなく闇落ちである。彼女は辺境伯領に封印された邪神を復活させ、国を滅ぼそうとするのだ。
ヒロインが第一部の攻略者とくっついてくれればウェスパルは確実に闇落ちを免れる。だがプレイヤーの推しに左右されることのないヒロインが六人中誰を選ぶかはその時になってみないと分からない。もしかしたら誰も選ばないかもしれないが、そこまで待っていられるほど気が長くない。
ヒロインの行動に関わらず、絶対に闇落ちを回避する方法はないかと考え、一つの名案? が頭に浮かんだ。
「そうだ、邪神を仲間に引き入れよう」
闇落ちしたくない悪役令嬢が未来の邪神を仲間にしたら、学園入学前からいろいろ変わってしまった話。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる