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日常
番外編 井上咲良のつまみ食い⑪
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「ふぁ……」
ねっむ……昨日夜更かししすぎたな、今何時だ……えーっと、スマホスマホ。
「う、げぇ」
やばい、遅刻だ。
夏休みだからって油断した。あー、もう、なんで誰も起こさないんだよ。今日は何の授業があったっけ……
着替える前にカレンダーを確認する。あれ、時間割りが何も書いてない。なんで?
「あ、あー、そっか」
今日から学校、休みだわ。なーんだ、焦って損した。そうだよ、そうそう。今日から休みだからって、昨日はしこたま夜更かししたんだった。
「はー、なんかどっと疲れた……」
再び、ベッドにダイブする。でも一回覚醒した頭はなかなか二度寝する方向に向いてくれない。しゃーなし、起きるかあ。
オーバーサイズのTシャツにカーゴパンツ。夏の定番スタイルに着替え、下に降りる。
「あ、起きてきた。おかーさーん、お兄ちゃん起きたー」
ちょうど廊下に出てきた鈴香が気だるげにそう言った。
「おはよ、兄ちゃん」
「ああ、おはよう」
「どーせ、昨日夜更かししたんでしょ。それで起きるの遅いんだー」
「うっせ」
あー、夏休みめんどい……。こいついると、自由きかねーんだよな。
「それより鈴香、お前、どっか出かける用事とかないわけ」
「今日は一日家にいます~。兄ちゃんこそどっか出かけたら?」
鈴香は少々腹の立つような言い方をする。
「ほら、いつも一緒にいる、あの人とさ」
「あー……」
「兄ちゃん、機嫌よくなるからいいんだよねー」
何だそれは。兄を何だと思っている。犬か何かか。
「今日は無理」
「えー?」
だって春都、今いないもん。
炊き立てのご飯とオクラとトマトのみそ汁、それに目玉焼きとウインナー。あー、これも夏休みの朝ならではの光景だなー、なんて思う。
「いただきまーす」
トマトのみそ汁って、最初はどうなんだと思ったけど、合うんだよな。味噌と、出汁と、トマトって。甘さが増すし、爽やかな酸味がさっぱりする。オクラはねばねばで、種がはじける感じが面白い。
目玉焼きには醤油。程よく半熟の黄身に、ウインナーをつけて食べる。卵の風味とまろやかさが、何ともいえない香ばしさを出している。
今日は天気もいいことだし、何かやれそうだけど、何も思いつかない。
飯食って、それから、何をしようか。
「ごちそうさま」
茶碗を片付けて部屋に戻ると、さっきまで俺が座っていたところにちっこい何かがいた。アンデスだ。
「わんっ」
「なんだあ、アンデス。遊ぶか?」
「わんっ!」
最近はあんまり遊べてなかったもんな。よし、決めた。
「今日はいっぱい遊んでやるからな!」
俺のやる気に、アンデスは首をかしげていた。
場所を居間に移し、ボールを手に取る。アンデスはピコピコとしっぽを振った。
「いくぞー、それっ」
ボールを放り投げると、アンデスはそれを追いかける。追いついたらボールにかみついて……ありゃ、コロンと転げた。へへ、かわいいなあ。
「アンデスー」
ボールを持って来てほしくて名前を呼ぶと、アンデスは身一つでこっちに駆けてきた。
「わんっ!」
今、名前を呼びましたね! と言わんばかりの笑顔……に見える。
「うーん、違うんだけど……なあ、アンデス。ボールも持ってこないか?」
「わん」
アンデスは少しじたばたと足踏みをしてから、ボールに向かって行く。そうそう、そうやって持ち上げて……頑張れ。
「よーしいい子だ」
「わん!」
それから、アンデスとしこたま遊び倒しているうちに、時間はあっという間に過ぎて言った。
遊び疲れたアンデスが、膝の上で寝てしまった。
「すげー走ってたからなあ」
それを眺めながら、昼飯だ。俺も遊びまくって腹減った。
昼飯は各々好きに食べる。俺は……まあ、カップ麺と朝の残りのご飯だ。
「いただきます」
カップラーメンって、ときどき無性に食いたくなる。
この塩気と風味は、カップラーメンにしかないよなあ。濃い醤油の味にぴらぴらの麺、ジュワッと甘い卵と、風味の強い肉。
学校じゃなかなか食えないし、今だけの楽しみともいえる。だからつい、大盛りサイズを買ってしまった。結構な量である。
ご飯はラップにくるまっていたから、レンチンした。ちょっとやわらかくなった気がする。
こういう飯食うと、休みだなあ、となんとなく思うのだ。
そろそろ食べ終わるかなというところで、手元のスマホが鳴った。
「んー?」
あ、春都だ。
なんだろう、これ。アイス?
『ミルクセーキ食った』
「へーっ、ミルクセーキ!」
なにこれ、うまそう。
「俺も食べたい! っと」
そう送ると、春都は、どや顔のスタンプを送ってきた。
へー、そんなんあるんだ。一回食べてみたいなあ。
なんか俺も、甘いもの食べたくなってきたな。そういや、冷凍庫にアイスあったっけ。後で食べよう。
でもちょっとだけ、ゆっくりしてからにしよう。アンデスも寝ているし、春都からもメッセージ来てるし。
麺の最後のひとすすりは、スープと一緒に。
はあ、うまかった。
「ごちそうさまでした」
ねっむ……昨日夜更かししすぎたな、今何時だ……えーっと、スマホスマホ。
「う、げぇ」
やばい、遅刻だ。
夏休みだからって油断した。あー、もう、なんで誰も起こさないんだよ。今日は何の授業があったっけ……
着替える前にカレンダーを確認する。あれ、時間割りが何も書いてない。なんで?
「あ、あー、そっか」
今日から学校、休みだわ。なーんだ、焦って損した。そうだよ、そうそう。今日から休みだからって、昨日はしこたま夜更かししたんだった。
「はー、なんかどっと疲れた……」
再び、ベッドにダイブする。でも一回覚醒した頭はなかなか二度寝する方向に向いてくれない。しゃーなし、起きるかあ。
オーバーサイズのTシャツにカーゴパンツ。夏の定番スタイルに着替え、下に降りる。
「あ、起きてきた。おかーさーん、お兄ちゃん起きたー」
ちょうど廊下に出てきた鈴香が気だるげにそう言った。
「おはよ、兄ちゃん」
「ああ、おはよう」
「どーせ、昨日夜更かししたんでしょ。それで起きるの遅いんだー」
「うっせ」
あー、夏休みめんどい……。こいついると、自由きかねーんだよな。
「それより鈴香、お前、どっか出かける用事とかないわけ」
「今日は一日家にいます~。兄ちゃんこそどっか出かけたら?」
鈴香は少々腹の立つような言い方をする。
「ほら、いつも一緒にいる、あの人とさ」
「あー……」
「兄ちゃん、機嫌よくなるからいいんだよねー」
何だそれは。兄を何だと思っている。犬か何かか。
「今日は無理」
「えー?」
だって春都、今いないもん。
炊き立てのご飯とオクラとトマトのみそ汁、それに目玉焼きとウインナー。あー、これも夏休みの朝ならではの光景だなー、なんて思う。
「いただきまーす」
トマトのみそ汁って、最初はどうなんだと思ったけど、合うんだよな。味噌と、出汁と、トマトって。甘さが増すし、爽やかな酸味がさっぱりする。オクラはねばねばで、種がはじける感じが面白い。
目玉焼きには醤油。程よく半熟の黄身に、ウインナーをつけて食べる。卵の風味とまろやかさが、何ともいえない香ばしさを出している。
今日は天気もいいことだし、何かやれそうだけど、何も思いつかない。
飯食って、それから、何をしようか。
「ごちそうさま」
茶碗を片付けて部屋に戻ると、さっきまで俺が座っていたところにちっこい何かがいた。アンデスだ。
「わんっ」
「なんだあ、アンデス。遊ぶか?」
「わんっ!」
最近はあんまり遊べてなかったもんな。よし、決めた。
「今日はいっぱい遊んでやるからな!」
俺のやる気に、アンデスは首をかしげていた。
場所を居間に移し、ボールを手に取る。アンデスはピコピコとしっぽを振った。
「いくぞー、それっ」
ボールを放り投げると、アンデスはそれを追いかける。追いついたらボールにかみついて……ありゃ、コロンと転げた。へへ、かわいいなあ。
「アンデスー」
ボールを持って来てほしくて名前を呼ぶと、アンデスは身一つでこっちに駆けてきた。
「わんっ!」
今、名前を呼びましたね! と言わんばかりの笑顔……に見える。
「うーん、違うんだけど……なあ、アンデス。ボールも持ってこないか?」
「わん」
アンデスは少しじたばたと足踏みをしてから、ボールに向かって行く。そうそう、そうやって持ち上げて……頑張れ。
「よーしいい子だ」
「わん!」
それから、アンデスとしこたま遊び倒しているうちに、時間はあっという間に過ぎて言った。
遊び疲れたアンデスが、膝の上で寝てしまった。
「すげー走ってたからなあ」
それを眺めながら、昼飯だ。俺も遊びまくって腹減った。
昼飯は各々好きに食べる。俺は……まあ、カップ麺と朝の残りのご飯だ。
「いただきます」
カップラーメンって、ときどき無性に食いたくなる。
この塩気と風味は、カップラーメンにしかないよなあ。濃い醤油の味にぴらぴらの麺、ジュワッと甘い卵と、風味の強い肉。
学校じゃなかなか食えないし、今だけの楽しみともいえる。だからつい、大盛りサイズを買ってしまった。結構な量である。
ご飯はラップにくるまっていたから、レンチンした。ちょっとやわらかくなった気がする。
こういう飯食うと、休みだなあ、となんとなく思うのだ。
そろそろ食べ終わるかなというところで、手元のスマホが鳴った。
「んー?」
あ、春都だ。
なんだろう、これ。アイス?
『ミルクセーキ食った』
「へーっ、ミルクセーキ!」
なにこれ、うまそう。
「俺も食べたい! っと」
そう送ると、春都は、どや顔のスタンプを送ってきた。
へー、そんなんあるんだ。一回食べてみたいなあ。
なんか俺も、甘いもの食べたくなってきたな。そういや、冷凍庫にアイスあったっけ。後で食べよう。
でもちょっとだけ、ゆっくりしてからにしよう。アンデスも寝ているし、春都からもメッセージ来てるし。
麺の最後のひとすすりは、スープと一緒に。
はあ、うまかった。
「ごちそうさまでした」
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