542 / 843
日常
第五百十一話 ステーキ
しおりを挟む
やっと終業式だ。二学期ってなんか長く感じるんだよなあ。
「課外はあるけど、一応、終わりだなあ」
寒々しい体育館から帰りながら、咲良がすがすがしい様子で言った。風の通りがいい外廊下はとんでもなく寒いが、密閉空間にいて息苦しかったので、確かに、心地よくもある。
「あと職場体験な」
「遠足みたいなもんだろ、それは」
「遠足と同列に語るか……」
あとは各教室で担任から申し送りがあった後、解散となる。さっさと帰って、のんびりしよう。来週はもう職場体験だ。
「明日はクリスマスイブだなあ」
咲良は子どものように笑った。
「なんか予定ある?」
「何も」
「じゃあさ、どっか遊び行こうぜ。菜々世にはもう声かけてるんだ」
「まあ……別にいいけど」
「よっしゃ決まり~。じゃ、また詳しいことはあとで!」
なんとまあ楽しそうなことで。クリスマスイブって、どこもかしこも人が多そうだけどなあ。それに、二学期は長いが冬休みは短いもんだ。課題、大丈夫なんだろうか。
でも、あんなにうきうきしている咲良を見ると、それを言うのはなんか、はばかられた。
楽しいもんは、楽しい。で、いいんだなあ……
翌日、バスに乗って向かったのは、この辺でどっか遊びに行くといえばここ、というようなショッピングモール……まあ、映画見に行ったとこだった。うん、やっぱ、ここしかないよなあ。
「人多いなあ!」
到着早々、咲良が言う。
「そりゃ、クリスマスイブだもんねぇ」
と、守本は余裕そうに笑った。
「慣れてるのか」
さっそく、目の前の人だかりに辟易しながら聞けば、守本は何ともいえない笑みを浮かべた。あきらめというか、何というか。
「まあ……ちょくちょく連れまわされてるからね……嫌でも慣れる」
「菜々世んとこ、買い物好きだもんなー」
いざ人混みに踏み込みながら、咲良は笑って言った。とりあえずひとけのないところに行きたいが、この空間のどこにそんな場所があるだろうか。
咲良の言葉に、守本は頷いた。
「なんか人混みとか何でもないみたいで、びっくりするよ」
「菜々世はそうでもないのにな」
「そう、家族で俺だけね。だから、必然的に俺は荷物持ちになる。だから友達と出掛けるの、かなり気が楽。自分も楽しめるからね」
家族で行くのも悪くはないんだけどねえ、と取って付けたように言って、守本は続けた。
「まあ、月に何度も荷物持ちさせられると、ちょっとねぇ」
「でもお前、その分の駄賃はちゃんともらってんだろ」
咲良がいたずらっぽく聞くと、守本は「当然」と笑った。
「もらわなきゃやってらんないよ」
「抜け目ないな」
言えば守本は得意げに笑った。
まだ食事時ではないこともあって、飲食店街はそこまで人が多くなかった。咲良はそれを見て、俺たちを振り返って言った。
「さて、どうしようか。この人の多さだと、昼時には混むぞ、ここ。昼飯食いっぱぐれるかも」
「えっ、それは困る」
正直俺は、昼飯を目的に来たようなものだ。いやまあ店を見て回るのも嫌じゃない、むしろ新鮮で楽しいけど。とにかく、何にしても、飯が食えないなど、あってはならないことだ。
「だよなー、春都ならそう言うと思った」
咲良は笑うと、「よし」と言ってこう聞いた。
「今、腹減ってる? 俺は減ってる」
「俺も」
「割と空いてるよ」
「よーし、全員一致。んじゃ、今から飯を食おう。どっか開いてる店あるかなー」
商品一つ一つの値段が高い店も多く、まだ準備中のところもある。かといってフードコートはお茶してる人たちでいっぱいだし……お?
「ここはどうだ?」
見つけたのはステーキ屋。普段であれば素通りするのだが、今日は心躍る文字が目に入り、思わず立ち止まってしまった。
「学生限定……半額? マジか、すっげえ!」
咲良が驚いたように声を上げる。守本も興味深そうに広告をのぞき込む。
「期間限定かあ……いいな、ここ」
「じゃあ、ここにけってーい! いや、春都ナイスゥ」
「飯のことなら鼻が利く」
開店したばかりで、店内は空いていた。ボックス席に座り、もちろん、学生割の対象メニューを頼む。学生証持ってきといてよかった。
「楽しみだなー、ステーキなんていつぶりだろう」
ワクワクした様子で足をばたつかせる咲良。その隣に座る守本も少し楽しそうだ。咲良の足が、向かいの椅子にごつんと当たって荷物を揺らす。よかった、守本の向かいに座っといて。
「半額だからって、肉の量半分とかじゃないよな?」
ハッとして咲良が言ったところで、料理が運ばれてきた。どうやらそれは、杞憂だったようだな。結構がっつり、大きな肉が、鉄板の上でジュウジュウいってる。
「いただきます」
どこからナイフを入れればいいだろう。とりあえず……サラダを食う。
おっ、なんだこのドレッシング。すげぇうまい。玉ねぎたっぷりで、醤油ベースかな。結構しっかり目の味わいだ。レタスに合うなあ。
さて、それじゃあ肉、いってみよう。おお、やわらかい。
「見た目の割にやわらかいな」
守本も同じことを思ったようで、器用に肉を切り分けながら言った。
「ほーだな。んまい」
咲良は早くも肉をほおばり、幸せそうだ。
よし、こんなもんか。特製のステーキソースをかけて、いただく。
ちゃんと歯ごたえもありながら、筋はなく、やわらかい。焼き加減も程よくて、香ばしさとスパイス、肉のうま味がバランスよく味わえる。ステーキソースはドレッシングと同じように醤油ベースだが、香味野菜の風味がより効いていて、肉に合う味付けとなっている。
皿に盛りつけられたご飯にのせて食う。肉と白米って間違いねえよなあ。ステーキソースのちょっとした辛さが白米の味を引き立て、白米が肉の味を押し上げる。お互いがお互いのうまいところを引き立てて、それはもう、最高にうまい。
野菜と一緒に食べるとちょっとすっきりする。
それにしてもまさか、ステーキが食えるなんてなあ。しかも、この値段で、このうまさ。学生でよかったと心から思う。
半分ほど食べたら、今度は付け合わせのマッシュポテトも一緒に食ってみる。この組み合わせ、ローストビーフでも見たなあ。
まろやかなマッシュポテトの口当たりと、ジャガイモやバターの味わいが、肉やソースのがっつりした風味をうまく包み込む。またうま味が変わっていいなあ。それに、食べ応えも増すから、腹にがっつりたまる。
なるほど、ジャガイモと肉って相性がいいんだな。肉じゃがとかビーフシチューとか、カレーとかもそうだもんな。
ああ、もう最後の一切れか。これはソースだけでいただくとしよう。
食った食った。このまま昼寝をしたくなるくらいに満たされた。
しかしそうもいかない。人が増えて来た。とっとと店を出ないとな。
さて、腹ごなしに、あちこち回るとしますかねえ。
「ごちそうさまでした」
「課外はあるけど、一応、終わりだなあ」
寒々しい体育館から帰りながら、咲良がすがすがしい様子で言った。風の通りがいい外廊下はとんでもなく寒いが、密閉空間にいて息苦しかったので、確かに、心地よくもある。
「あと職場体験な」
「遠足みたいなもんだろ、それは」
「遠足と同列に語るか……」
あとは各教室で担任から申し送りがあった後、解散となる。さっさと帰って、のんびりしよう。来週はもう職場体験だ。
「明日はクリスマスイブだなあ」
咲良は子どものように笑った。
「なんか予定ある?」
「何も」
「じゃあさ、どっか遊び行こうぜ。菜々世にはもう声かけてるんだ」
「まあ……別にいいけど」
「よっしゃ決まり~。じゃ、また詳しいことはあとで!」
なんとまあ楽しそうなことで。クリスマスイブって、どこもかしこも人が多そうだけどなあ。それに、二学期は長いが冬休みは短いもんだ。課題、大丈夫なんだろうか。
でも、あんなにうきうきしている咲良を見ると、それを言うのはなんか、はばかられた。
楽しいもんは、楽しい。で、いいんだなあ……
翌日、バスに乗って向かったのは、この辺でどっか遊びに行くといえばここ、というようなショッピングモール……まあ、映画見に行ったとこだった。うん、やっぱ、ここしかないよなあ。
「人多いなあ!」
到着早々、咲良が言う。
「そりゃ、クリスマスイブだもんねぇ」
と、守本は余裕そうに笑った。
「慣れてるのか」
さっそく、目の前の人だかりに辟易しながら聞けば、守本は何ともいえない笑みを浮かべた。あきらめというか、何というか。
「まあ……ちょくちょく連れまわされてるからね……嫌でも慣れる」
「菜々世んとこ、買い物好きだもんなー」
いざ人混みに踏み込みながら、咲良は笑って言った。とりあえずひとけのないところに行きたいが、この空間のどこにそんな場所があるだろうか。
咲良の言葉に、守本は頷いた。
「なんか人混みとか何でもないみたいで、びっくりするよ」
「菜々世はそうでもないのにな」
「そう、家族で俺だけね。だから、必然的に俺は荷物持ちになる。だから友達と出掛けるの、かなり気が楽。自分も楽しめるからね」
家族で行くのも悪くはないんだけどねえ、と取って付けたように言って、守本は続けた。
「まあ、月に何度も荷物持ちさせられると、ちょっとねぇ」
「でもお前、その分の駄賃はちゃんともらってんだろ」
咲良がいたずらっぽく聞くと、守本は「当然」と笑った。
「もらわなきゃやってらんないよ」
「抜け目ないな」
言えば守本は得意げに笑った。
まだ食事時ではないこともあって、飲食店街はそこまで人が多くなかった。咲良はそれを見て、俺たちを振り返って言った。
「さて、どうしようか。この人の多さだと、昼時には混むぞ、ここ。昼飯食いっぱぐれるかも」
「えっ、それは困る」
正直俺は、昼飯を目的に来たようなものだ。いやまあ店を見て回るのも嫌じゃない、むしろ新鮮で楽しいけど。とにかく、何にしても、飯が食えないなど、あってはならないことだ。
「だよなー、春都ならそう言うと思った」
咲良は笑うと、「よし」と言ってこう聞いた。
「今、腹減ってる? 俺は減ってる」
「俺も」
「割と空いてるよ」
「よーし、全員一致。んじゃ、今から飯を食おう。どっか開いてる店あるかなー」
商品一つ一つの値段が高い店も多く、まだ準備中のところもある。かといってフードコートはお茶してる人たちでいっぱいだし……お?
「ここはどうだ?」
見つけたのはステーキ屋。普段であれば素通りするのだが、今日は心躍る文字が目に入り、思わず立ち止まってしまった。
「学生限定……半額? マジか、すっげえ!」
咲良が驚いたように声を上げる。守本も興味深そうに広告をのぞき込む。
「期間限定かあ……いいな、ここ」
「じゃあ、ここにけってーい! いや、春都ナイスゥ」
「飯のことなら鼻が利く」
開店したばかりで、店内は空いていた。ボックス席に座り、もちろん、学生割の対象メニューを頼む。学生証持ってきといてよかった。
「楽しみだなー、ステーキなんていつぶりだろう」
ワクワクした様子で足をばたつかせる咲良。その隣に座る守本も少し楽しそうだ。咲良の足が、向かいの椅子にごつんと当たって荷物を揺らす。よかった、守本の向かいに座っといて。
「半額だからって、肉の量半分とかじゃないよな?」
ハッとして咲良が言ったところで、料理が運ばれてきた。どうやらそれは、杞憂だったようだな。結構がっつり、大きな肉が、鉄板の上でジュウジュウいってる。
「いただきます」
どこからナイフを入れればいいだろう。とりあえず……サラダを食う。
おっ、なんだこのドレッシング。すげぇうまい。玉ねぎたっぷりで、醤油ベースかな。結構しっかり目の味わいだ。レタスに合うなあ。
さて、それじゃあ肉、いってみよう。おお、やわらかい。
「見た目の割にやわらかいな」
守本も同じことを思ったようで、器用に肉を切り分けながら言った。
「ほーだな。んまい」
咲良は早くも肉をほおばり、幸せそうだ。
よし、こんなもんか。特製のステーキソースをかけて、いただく。
ちゃんと歯ごたえもありながら、筋はなく、やわらかい。焼き加減も程よくて、香ばしさとスパイス、肉のうま味がバランスよく味わえる。ステーキソースはドレッシングと同じように醤油ベースだが、香味野菜の風味がより効いていて、肉に合う味付けとなっている。
皿に盛りつけられたご飯にのせて食う。肉と白米って間違いねえよなあ。ステーキソースのちょっとした辛さが白米の味を引き立て、白米が肉の味を押し上げる。お互いがお互いのうまいところを引き立てて、それはもう、最高にうまい。
野菜と一緒に食べるとちょっとすっきりする。
それにしてもまさか、ステーキが食えるなんてなあ。しかも、この値段で、このうまさ。学生でよかったと心から思う。
半分ほど食べたら、今度は付け合わせのマッシュポテトも一緒に食ってみる。この組み合わせ、ローストビーフでも見たなあ。
まろやかなマッシュポテトの口当たりと、ジャガイモやバターの味わいが、肉やソースのがっつりした風味をうまく包み込む。またうま味が変わっていいなあ。それに、食べ応えも増すから、腹にがっつりたまる。
なるほど、ジャガイモと肉って相性がいいんだな。肉じゃがとかビーフシチューとか、カレーとかもそうだもんな。
ああ、もう最後の一切れか。これはソースだけでいただくとしよう。
食った食った。このまま昼寝をしたくなるくらいに満たされた。
しかしそうもいかない。人が増えて来た。とっとと店を出ないとな。
さて、腹ごなしに、あちこち回るとしますかねえ。
「ごちそうさまでした」
23
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
Husband's secret (夫の秘密)
設樂理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
夫のカノジョ / 垣谷 美雨 さま(著) を読んで
Another Storyを考えてみました。
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
【本編完結】繚乱ロンド
由宇ノ木
ライト文芸
番外編更新日 12/25日
*『とわずがたり~思い出を辿れば~1 』
本編は完結。番外編を不定期で更新。
11/11,11/15,11/19
*『夫の疑問、妻の確信1~3』
10/12
*『いつもあなたの幸せを。』
9/14
*『伝統行事』
8/24
*『ひとりがたり~人生を振り返る~』
お盆期間限定番外編 8月11日~8月16日まで
*『日常のひとこま』は公開終了しました。
7月31日
*『恋心』・・・本編の171、180、188話にチラッと出てきた京司朗の自室に礼夏が現れたときの話です。
6/18
*『ある時代の出来事』
6/8
*女の子は『かわいい』を見せびらかしたい。全1頁。
*光と影 全1頁。
-本編大まかなあらすじ-
*青木みふゆは23歳。両親も妹も失ってしまったみふゆは一人暮らしで、花屋の堀内花壇の支店と本店に勤めている。花の仕事は好きで楽しいが、本店勤務時は事務を任されている二つ年上の林香苗に妬まれ嫌がらせを受けている。嫌がらせは徐々に増え、辟易しているみふゆは転職も思案中。
林香苗は堀内花壇社長の愛人でありながら、店のお得意様の、裏社会組織も持つといわれる惣領家の当主・惣領貴之がみふゆを気に入ってかわいがっているのを妬んでいるのだ。
そして、惣領貴之の懐刀とされる若頭・仙道京司朗も海外から帰国。みふゆが貴之に取り入ろうとしているのではないかと、京司朗から疑いをかけられる。
みふゆは自分の微妙な立場に悩みつつも、惣領貴之との親交を深め養女となるが、ある日予知をきっかけに高熱を出し年齢を退行させてゆくことになる。みふゆの心は子供に戻っていってしまう。
令和5年11/11更新内容(最終回)
*199. (2)
*200. ロンド~踊る命~ -17- (1)~(6)
*エピローグ ロンド~廻る命~
本編最終回です。200話の一部を199.(2)にしたため、199.(2)から最終話シリーズになりました。
※この物語はフィクションです。実在する団体・企業・人物とはなんら関係ありません。架空の町が舞台です。
現在の関連作品
『邪眼の娘』更新 令和6年1/7
『月光に咲く花』(ショートショート)
以上2作品はみふゆの母親・水無瀬礼夏(青木礼夏)の物語。
『恋人はメリーさん』(主人公は京司朗の後輩・東雲結)
『繚乱ロンド』の元になった2作品
『花物語』に入っている『カサブランカ・ダディ(全五話)』『花冠はタンポポで(ショートショート)』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる