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1章 転生早々、やらかしも
1-10 考え事をしていると
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ラロンという名前をもって、冒険者活動を始めてそこそこ経ったが、そろそろ別の場所にも見てまわりに行きたいという欲望が湧いてくる。
でも、このアルモストタウンで生活していたのもあって、馴染んでいた場所から離れて過ごそうとするのがちょっと怖くもあり、中々その一歩が踏み出しづらい。
「というわけで、いっそ依頼で他のところへ行けそうなのを探して受けることで、踏ん切り付けて出ていきたいけど…中々都合良い依頼ってないんだね」
「そりゃそうだろ。依頼を出す人は無数にいるが、その依頼がすべて都合のいいものじゃないのはあたりまえだ」
「ひどいときなんか、這いよる混沌昆虫グレートコッコローチとか、メガムカデェイルとか、精神的に来るような虫のモンスター討伐で一面が埋め尽くされる時があるからなぁ」
「え、そんなやばいのあるのか」
「「あるんだよ。めったにでないけど、やばいのがあったりするんだよ」」
ギルド内にある、依頼が張り出されている掲示板前で悩んでいると、他の冒険者たちがそんなことを口にした。
まじか…いやまぁ、異世界だけにあり得ないようなモンスターがいるのは納得していたけど、見た目がヤバいモンスターしかない依頼もあるのか。
でも考えたら、毎日他の冒険者たちが依頼をこなしていくけど、不人気なものほど後に残っていって、気持ち悪い相手だけが残ってしまう可能性も無きにしも非ずか。
そんなことも思いつつ、目当てのものがないならば。やりやすい依頼を選択していく。
「…それで選んだ依頼が、スイートフラワーの蜜集めっと…砂糖の500倍は甘い蜜を持つから、取り扱いには注意が必要か」
一滴だけでも大量の砂糖以上の甘さを持つという、狂気の甘味の蜜と言われるスイートフラワーの蜜。
流石に妖精の身でもこれは大量に食べたらやばいなと、なんとなく感じ取っていたようで避けていた花だったが、こうやって近くに来てみればどれだけ甘いのか匂いだけでもお腹いっぱいになるレベルの甘さを感じ取れるだろう。
「しかも、ちょっとでも乱暴に取ればあっという間に激マズの蜜に早変わりか…これはこれで恐ろしいな」
本来、人間がやる場合は一滴ずつスポイトで吸い取っていくようで、乱暴に絞ったりしての蜜の採取などには向いておらず、量もごく少量しか取れないので、技術と根気がいる作業になって冒険者たちには不人気の依頼らしい。
だが、この妖精の身であれば、サイズが小さい分より注意深く傷つけないように作業がしやすいので、技術面のほうのカバーができるだろう。
根気に関してもそこまで急ぐようなものもないし、他の依頼が張り出されるには時間がかかるのが分かっているので、ゆったり作業をするにも都合がいい。
そんなわけで、丁寧に集め…無事に、蜜を集め終わった。
「ふぅ、あとはこれを収納して、ギルドに納品すれば依頼達成かな」
あまりにも甘い匂いのため、指定された便で密封しなければ提出時にギルド内が甘い香りの大惨事にになりかねない。
だからこそ、匂いが漏れていないか確認も終えてしまい、後は帰還するだけ…その時だった。
【ギョブゲゲェェェ!!】
【ギョッゲガァァァ!!】
「ん?何の声だ?」
今、何かの断末魔が聞こえてきた。
人間ではなく魔物特有の発生音なので、何か討伐作業でもされているようだが、絶叫具合からして強い恐怖を与えられているようだ。
何事かと思い、声の下方向へ向かってみれば…そこには、魔物たちにとっての地獄の光景が広がっていた。
ガッ、バァァァン!!
【ギョブッゲェェェイ!?】
「どえっせぇぇぇい!!あと10匹!!」
…ロマン武器の一つ、パイルバンカーのような杭がついたガントレットを押し当て、ボンっと打ち出して魔物の一種であるゴブリンが爆散する。
【ギョゲゲゲゲゲ!!】
「遅い!!」
仲間の敵討ちのつもりなのか、ビビっているゴブリンたちの中で勇気をもって反撃しようと、一体のゴブリンが躍り出るも、そのパイルバンカーを持った人物はバックステップをして攻撃をかわし、すぐに地面をけり上げて接近し、再び押し当てて爆散させる。
どうやらゴブリンの群れがこの近くにいたようで、討伐しているようだが…絵面的に、ゴブリンたちが一方的に蹂躙されまくって、どっちがやばいやつなのかわからない。
よくみれば、武器を持ってゴブリンを襲っている相手は既に全身ゴブリンの返り血で真っ赤に染まっており、恐怖の光景を倍増させているようだ。
全身を隠せるようなローブを着込んでおり、その姿が良く見えないが…ゴブリンたちにとっては、地獄の死神にしか見えないだろう。
「…大丈夫なようだし、このまま帰ったほうが良いかな」
手伝いをするのもありだが、あんな凄惨な光景の中に飛び込んだら、間違えてバンカーで爆散される未来しか見えないだろう。
ここでは何もなかったということにして、見て見ぬふりでこの場を後にするのであった…後で、あの爆散光景が夢に出そうで怖いな…
でも、このアルモストタウンで生活していたのもあって、馴染んでいた場所から離れて過ごそうとするのがちょっと怖くもあり、中々その一歩が踏み出しづらい。
「というわけで、いっそ依頼で他のところへ行けそうなのを探して受けることで、踏ん切り付けて出ていきたいけど…中々都合良い依頼ってないんだね」
「そりゃそうだろ。依頼を出す人は無数にいるが、その依頼がすべて都合のいいものじゃないのはあたりまえだ」
「ひどいときなんか、這いよる混沌昆虫グレートコッコローチとか、メガムカデェイルとか、精神的に来るような虫のモンスター討伐で一面が埋め尽くされる時があるからなぁ」
「え、そんなやばいのあるのか」
「「あるんだよ。めったにでないけど、やばいのがあったりするんだよ」」
ギルド内にある、依頼が張り出されている掲示板前で悩んでいると、他の冒険者たちがそんなことを口にした。
まじか…いやまぁ、異世界だけにあり得ないようなモンスターがいるのは納得していたけど、見た目がヤバいモンスターしかない依頼もあるのか。
でも考えたら、毎日他の冒険者たちが依頼をこなしていくけど、不人気なものほど後に残っていって、気持ち悪い相手だけが残ってしまう可能性も無きにしも非ずか。
そんなことも思いつつ、目当てのものがないならば。やりやすい依頼を選択していく。
「…それで選んだ依頼が、スイートフラワーの蜜集めっと…砂糖の500倍は甘い蜜を持つから、取り扱いには注意が必要か」
一滴だけでも大量の砂糖以上の甘さを持つという、狂気の甘味の蜜と言われるスイートフラワーの蜜。
流石に妖精の身でもこれは大量に食べたらやばいなと、なんとなく感じ取っていたようで避けていた花だったが、こうやって近くに来てみればどれだけ甘いのか匂いだけでもお腹いっぱいになるレベルの甘さを感じ取れるだろう。
「しかも、ちょっとでも乱暴に取ればあっという間に激マズの蜜に早変わりか…これはこれで恐ろしいな」
本来、人間がやる場合は一滴ずつスポイトで吸い取っていくようで、乱暴に絞ったりしての蜜の採取などには向いておらず、量もごく少量しか取れないので、技術と根気がいる作業になって冒険者たちには不人気の依頼らしい。
だが、この妖精の身であれば、サイズが小さい分より注意深く傷つけないように作業がしやすいので、技術面のほうのカバーができるだろう。
根気に関してもそこまで急ぐようなものもないし、他の依頼が張り出されるには時間がかかるのが分かっているので、ゆったり作業をするにも都合がいい。
そんなわけで、丁寧に集め…無事に、蜜を集め終わった。
「ふぅ、あとはこれを収納して、ギルドに納品すれば依頼達成かな」
あまりにも甘い匂いのため、指定された便で密封しなければ提出時にギルド内が甘い香りの大惨事にになりかねない。
だからこそ、匂いが漏れていないか確認も終えてしまい、後は帰還するだけ…その時だった。
【ギョブゲゲェェェ!!】
【ギョッゲガァァァ!!】
「ん?何の声だ?」
今、何かの断末魔が聞こえてきた。
人間ではなく魔物特有の発生音なので、何か討伐作業でもされているようだが、絶叫具合からして強い恐怖を与えられているようだ。
何事かと思い、声の下方向へ向かってみれば…そこには、魔物たちにとっての地獄の光景が広がっていた。
ガッ、バァァァン!!
【ギョブッゲェェェイ!?】
「どえっせぇぇぇい!!あと10匹!!」
…ロマン武器の一つ、パイルバンカーのような杭がついたガントレットを押し当て、ボンっと打ち出して魔物の一種であるゴブリンが爆散する。
【ギョゲゲゲゲゲ!!】
「遅い!!」
仲間の敵討ちのつもりなのか、ビビっているゴブリンたちの中で勇気をもって反撃しようと、一体のゴブリンが躍り出るも、そのパイルバンカーを持った人物はバックステップをして攻撃をかわし、すぐに地面をけり上げて接近し、再び押し当てて爆散させる。
どうやらゴブリンの群れがこの近くにいたようで、討伐しているようだが…絵面的に、ゴブリンたちが一方的に蹂躙されまくって、どっちがやばいやつなのかわからない。
よくみれば、武器を持ってゴブリンを襲っている相手は既に全身ゴブリンの返り血で真っ赤に染まっており、恐怖の光景を倍増させているようだ。
全身を隠せるようなローブを着込んでおり、その姿が良く見えないが…ゴブリンたちにとっては、地獄の死神にしか見えないだろう。
「…大丈夫なようだし、このまま帰ったほうが良いかな」
手伝いをするのもありだが、あんな凄惨な光景の中に飛び込んだら、間違えてバンカーで爆散される未来しか見えないだろう。
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