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門出の時と終わりの時で章
エピローグ
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…‥‥グレイモ王国の歴史には、とある記録が残っている。
それはルース=バルモ=フォル公爵という、一人の公爵についてだ。
元は平民の身分でありながら、何故公爵の地位まで成り上がれたのかということに関しては、彼の血筋が精霊王につながっているという説もあれば、歴に類を見ないような魔導書を扱っただとか、多大な功績を残していただのと言う説が存在する。
そんな公爵は、その地位を得た後にも色々な功績を‥‥‥詳細を調べるとちょっとしたやらかしも見られはするのだ。
多くの妻がいる分、それだけ多くの子宝にめぐまれつつも、その子供たちすべてが後の世に名が伝わるほどの功績を築き上げ、はたまたは国滅ぼしのモンスターたちと付き合いがあったとも言われている。
帝国との付き合いもしており、王国との懸け橋になりつつ、適度に潰れた家の領地を確保し、ある程度富を築けば他の貴族家へ譲り渡し、自身の管理する量を常に保ち続けていたらしい。
精霊王の孫でもあり、黄金に輝く魔導書を所持し、豊かにさせていくその力があれば、国一つを建国することもできたらしいが‥‥‥残念ながら、それは彼自身が断っていたそうだ。
その理由としては、手一杯であったとも、定期的に襲撃する皇妃の対応に追われていただの、はたまたは国を作る気が無かっただのとも、こちらも多くの説が残されているらしい。
それでも、今世までその公爵の記録が残る分、様々な偉業を成し遂げていたのは間違いない。
ついでに苦労も多かったそうで、周辺諸国の胃薬・毛生え薬の売れ行き高も年々増加していたらしい。
それはそうとして、公爵とて一人の人間であり、何時かは没しただろう。
だが、その後に今度は精霊王の座を継ぎ、新しい精霊王としてその地を治めていたそうである。
そして子孫たちを適度に見守りつつ、いつの間にか愛した者たちと姿を消していたそうだが…‥‥それでも、その地はずっと豊かな実りを有していた。
公爵の姿が失せたことで、奪おうとする輩がいたそうだが、その途端にその者たちが社会的な死を迎えたりするようになったらしく、実はひっそり残っているのではないかとさえ言われていたりもする‥‥‥
―――――――――――――――――――――
「‥‥‥っと、これがとある公爵家に関しての、記録か」
発展した都市の中で、借りてきたその本の内容を読み、その青年はそうつぶやく。
彼自身が知っている情報を照らし合わせると、それ相応にあっているようである。
「『偉大なるグレイモ王国:その歴史』か…‥‥滅んでもなお、やはり記録は人の手で残るようだ」
‥‥‥そう、グレイモ王国は既に、滅亡した国。
何百年と長く続いたそうだが、とあるときに滅亡してしまった。
その原因としては、この本に乗っている公爵家の領地に対して、その時の愚王子と呼ばれる人物が盛大にやらかしまくり、まだ残っていたらしい精霊王の怒りに触れて見捨てられ、あっという間に周辺諸国に攻め滅ぼされたそうだが‥‥‥まぁ、自業自得ではあろう。
人の世は移り変わりやすく、大事なことをすぐに忘れてしまう。
その者が発展に寄与していたのも、その国との繋がりを持っていたのだろうが、その繋がりを絶つ決断をさせてしまったせいで、崩壊も速かったようだ。
今は新しい国が建国されつつ、当時の公爵家の領地も当時の子孫たちが経営しているようであり、再び発展の兆しを見せているようである。
何にしても、今の自分には関係ないだろう。与えられているのは、たった一つの依頼なのだから。
その地に残されているであろう、その力を回収し、再び別の元へ流さなければいけないのだから。
「こことは違う世界の者が、平穏を得るために捨てた力が、ココへ流れ着いたようなものだからなぁ‥‥‥回収するのは面倒くさいが、これも契約だからな」
そうつぶやきつつ、その者は本をすぐに返却しに向かい、その後にその公爵家の領地へ向かう。
‥‥‥この世界の人々は、もうそんな大昔の事も忘れているだろうし、そんなことはどうでもいい。人々が忘れ去ったからこそ、彼等にも平穏があるのだろうから。
正確に言えば、存在するだけで厄介事をバンバン引き寄せる力を持っていたせいで、忘れ去られようにも忘れ去られにくかったとも言うべきだろうが…‥‥同情すべきかもしれない。
「精霊王も消え去り、新しく生まれ変わっているだろうが…‥‥力自体はここへ置いていったはずだ。流石に世界をまた渡るような力でもあるまいし、それはそれで好都合だ」
再び波乱万丈すぎる人生を歩む人が出ないようにするためにも、回収はすぐに行わなければいけない。
やや急ぎ足で、その人物はそうつぶやきながら、その場を去るのであった‥‥‥‥
‥‥‥ただ、その力の回収に向かった者は、現地で知ってしまう。
その力、実は全然精霊王から離れず、新しい力へと変貌を成し遂げていたことを。
確かに別の世界に転生し直しつつも、また波乱万丈な人生が決定していたことを。
その事を知り、新たな生でもまた苦労をするのかと、物凄く同情するのだが…‥‥それはまた、別のお話。
それはルース=バルモ=フォル公爵という、一人の公爵についてだ。
元は平民の身分でありながら、何故公爵の地位まで成り上がれたのかということに関しては、彼の血筋が精霊王につながっているという説もあれば、歴に類を見ないような魔導書を扱っただとか、多大な功績を残していただのと言う説が存在する。
そんな公爵は、その地位を得た後にも色々な功績を‥‥‥詳細を調べるとちょっとしたやらかしも見られはするのだ。
多くの妻がいる分、それだけ多くの子宝にめぐまれつつも、その子供たちすべてが後の世に名が伝わるほどの功績を築き上げ、はたまたは国滅ぼしのモンスターたちと付き合いがあったとも言われている。
帝国との付き合いもしており、王国との懸け橋になりつつ、適度に潰れた家の領地を確保し、ある程度富を築けば他の貴族家へ譲り渡し、自身の管理する量を常に保ち続けていたらしい。
精霊王の孫でもあり、黄金に輝く魔導書を所持し、豊かにさせていくその力があれば、国一つを建国することもできたらしいが‥‥‥残念ながら、それは彼自身が断っていたそうだ。
その理由としては、手一杯であったとも、定期的に襲撃する皇妃の対応に追われていただの、はたまたは国を作る気が無かっただのとも、こちらも多くの説が残されているらしい。
それでも、今世までその公爵の記録が残る分、様々な偉業を成し遂げていたのは間違いない。
ついでに苦労も多かったそうで、周辺諸国の胃薬・毛生え薬の売れ行き高も年々増加していたらしい。
それはそうとして、公爵とて一人の人間であり、何時かは没しただろう。
だが、その後に今度は精霊王の座を継ぎ、新しい精霊王としてその地を治めていたそうである。
そして子孫たちを適度に見守りつつ、いつの間にか愛した者たちと姿を消していたそうだが…‥‥それでも、その地はずっと豊かな実りを有していた。
公爵の姿が失せたことで、奪おうとする輩がいたそうだが、その途端にその者たちが社会的な死を迎えたりするようになったらしく、実はひっそり残っているのではないかとさえ言われていたりもする‥‥‥
―――――――――――――――――――――
「‥‥‥っと、これがとある公爵家に関しての、記録か」
発展した都市の中で、借りてきたその本の内容を読み、その青年はそうつぶやく。
彼自身が知っている情報を照らし合わせると、それ相応にあっているようである。
「『偉大なるグレイモ王国:その歴史』か…‥‥滅んでもなお、やはり記録は人の手で残るようだ」
‥‥‥そう、グレイモ王国は既に、滅亡した国。
何百年と長く続いたそうだが、とあるときに滅亡してしまった。
その原因としては、この本に乗っている公爵家の領地に対して、その時の愚王子と呼ばれる人物が盛大にやらかしまくり、まだ残っていたらしい精霊王の怒りに触れて見捨てられ、あっという間に周辺諸国に攻め滅ぼされたそうだが‥‥‥まぁ、自業自得ではあろう。
人の世は移り変わりやすく、大事なことをすぐに忘れてしまう。
その者が発展に寄与していたのも、その国との繋がりを持っていたのだろうが、その繋がりを絶つ決断をさせてしまったせいで、崩壊も速かったようだ。
今は新しい国が建国されつつ、当時の公爵家の領地も当時の子孫たちが経営しているようであり、再び発展の兆しを見せているようである。
何にしても、今の自分には関係ないだろう。与えられているのは、たった一つの依頼なのだから。
その地に残されているであろう、その力を回収し、再び別の元へ流さなければいけないのだから。
「こことは違う世界の者が、平穏を得るために捨てた力が、ココへ流れ着いたようなものだからなぁ‥‥‥回収するのは面倒くさいが、これも契約だからな」
そうつぶやきつつ、その者は本をすぐに返却しに向かい、その後にその公爵家の領地へ向かう。
‥‥‥この世界の人々は、もうそんな大昔の事も忘れているだろうし、そんなことはどうでもいい。人々が忘れ去ったからこそ、彼等にも平穏があるのだろうから。
正確に言えば、存在するだけで厄介事をバンバン引き寄せる力を持っていたせいで、忘れ去られようにも忘れ去られにくかったとも言うべきだろうが…‥‥同情すべきかもしれない。
「精霊王も消え去り、新しく生まれ変わっているだろうが…‥‥力自体はここへ置いていったはずだ。流石に世界をまた渡るような力でもあるまいし、それはそれで好都合だ」
再び波乱万丈すぎる人生を歩む人が出ないようにするためにも、回収はすぐに行わなければいけない。
やや急ぎ足で、その人物はそうつぶやきながら、その場を去るのであった‥‥‥‥
‥‥‥ただ、その力の回収に向かった者は、現地で知ってしまう。
その力、実は全然精霊王から離れず、新しい力へと変貌を成し遂げていたことを。
確かに別の世界に転生し直しつつも、また波乱万丈な人生が決定していたことを。
その事を知り、新たな生でもまた苦労をするのかと、物凄く同情するのだが…‥‥それはまた、別のお話。
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