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学園最後の夏休みで章
257話
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……翌日、とりあえず野宿したあと、バトが妖精たちを動員して調べた調査報告をルースの下へ出してきた。
―――――‥‥‥チョット多イデス。
「いや、これちょっとか?」
カニバーン男爵とフェイカ―のつながりの中であったであろう薬物の流通経路などの調査であったが、想像以上の量のやり取りがあったらしい。
そしてその中に、ある面倒なものが混ざっていた。
「‥‥‥『液状化薬』か」
その薬品、どうやらかなり面倒なものらしい。
生物を液状生命体に変質させる‥‥‥まぁ、要はスライム人間製造薬とでも言えば良いのだろうか。
何にしても、この薬品が使われた痕跡はあるようで、大体の場合は死亡したという記録があるようだが・・・・・
―――――デ、調査ノ結果、生キ残リヲ発見シテシマイマシタ。
「‥‥‥はい?」
まさかの調査結果、いや、発見報告まで追加されたのであった。
「‥‥‥これがその件の液状生命体入りの瓶詰か」
1時間後、バトが要請した妖精部隊の一部が、その液状生命体が詰められて保管されているという瓶を持って来た。
びしっと敬礼し、その場に置いたが…‥‥バスケットボールサイズの瓶とはこれいかに。
「人間が液状化しても、この量になるのだろうか?」
―――――サァ?
どう見ても人一人サイズではないような……あいや、子どもとかならばまだありうるのだろうか。
いや、そもそもこれが液体人間入りとは確定して…‥‥
ビチィ!!
「ん?」
―――――ン?
なにやら今、何か嫌な音がしたような。
ふと、ルースが目を向けて見れば、液体入りの瓶にひびがはいっていた。
…‥‥経年劣化?環境変化による活動開始?
様々な憶測が出る中、ルースのその判断の遅れは、ある結果を招いた。
バッキィン!!
瓶が砕け、内部の液体が外に漏れ出る。
そして、そのまま水たまりの様になった後…‥‥
びしゅん!!
「あ!?」
―――――逃ゲタ!!
一瞬のスキをついて、その液体は機敏な動きを見せて逃亡したのであった。
そう、それは某RPGのメタル系モンスターなみであった…‥‥‥
「『ライトスターンプ』!!」
「うわっ!!それはシャレにならないでアル!!」
丁度その頃、バルション学園長とミュルは、野宿の場所から少し離れて、村の広場で互いに体を動かしていた。
たまには体を動かすために、朝から模擬戦をしてみようという案で行ったのだが、片や白色の魔導書を扱い、光の魔法を容赦なくぶつけ、もう片やは金棒で殴りつけていく。
相性的には魔法の方が有利そうだが、ミュルのはこれでも元フェイカ―の幹部であり、戦闘経験はバルション学園長にも劣らない。
ゆえに、互に中々いい勝負が繰り広げられていた。‥‥‥某皇妃が見たら、混ざりたくなるほどである。
「でも、流石にその極太光線はきついのでアル!!」
「ふふふ、でーも薙ぎ払えるのはすーごいわね」
光の魔法をどうやって金棒で殴っているのかはともかく、模擬戦を二人が楽しんでいた・・・・・その時であった。
「でも、これで反撃でアル!!」
金棒を構え直し、全力でミュルが振りかぶろうとしたそのタイミングで…‥
ぐっ、ずるん!!
「へ?」
しっかりと足に力を込めていたミュルが、突然足を滑らせた。
何かを踏んづけたのか、それは見事な転倒で、後方に倒れる。
ゴッチ―ン!!
「おぅふ!!」
後頭部へのダメージに、思わずミュルは頭を抱えた。
「だ、大丈夫なーのかし……あら?」
流石に今の盛大な転倒に、バルション学園長はそばによって確認しようとしたところで、気が付いた。
ミュルの先程の滑らせた足があった位置に、いつの間にか泥水のような水たまりができていたことに。
そして、バルション学園長が目を向けたその瞬間、その水が急に動く。
「え!?」
まさかの動きに、珍しくバルション学園長が驚愕の声を上げる中、その液体はその場を全速力で去ったのであった…‥‥
―――――‥‥‥チョット多イデス。
「いや、これちょっとか?」
カニバーン男爵とフェイカ―のつながりの中であったであろう薬物の流通経路などの調査であったが、想像以上の量のやり取りがあったらしい。
そしてその中に、ある面倒なものが混ざっていた。
「‥‥‥『液状化薬』か」
その薬品、どうやらかなり面倒なものらしい。
生物を液状生命体に変質させる‥‥‥まぁ、要はスライム人間製造薬とでも言えば良いのだろうか。
何にしても、この薬品が使われた痕跡はあるようで、大体の場合は死亡したという記録があるようだが・・・・・
―――――デ、調査ノ結果、生キ残リヲ発見シテシマイマシタ。
「‥‥‥はい?」
まさかの調査結果、いや、発見報告まで追加されたのであった。
「‥‥‥これがその件の液状生命体入りの瓶詰か」
1時間後、バトが要請した妖精部隊の一部が、その液状生命体が詰められて保管されているという瓶を持って来た。
びしっと敬礼し、その場に置いたが…‥‥バスケットボールサイズの瓶とはこれいかに。
「人間が液状化しても、この量になるのだろうか?」
―――――サァ?
どう見ても人一人サイズではないような……あいや、子どもとかならばまだありうるのだろうか。
いや、そもそもこれが液体人間入りとは確定して…‥‥
ビチィ!!
「ん?」
―――――ン?
なにやら今、何か嫌な音がしたような。
ふと、ルースが目を向けて見れば、液体入りの瓶にひびがはいっていた。
…‥‥経年劣化?環境変化による活動開始?
様々な憶測が出る中、ルースのその判断の遅れは、ある結果を招いた。
バッキィン!!
瓶が砕け、内部の液体が外に漏れ出る。
そして、そのまま水たまりの様になった後…‥‥
びしゅん!!
「あ!?」
―――――逃ゲタ!!
一瞬のスキをついて、その液体は機敏な動きを見せて逃亡したのであった。
そう、それは某RPGのメタル系モンスターなみであった…‥‥‥
「『ライトスターンプ』!!」
「うわっ!!それはシャレにならないでアル!!」
丁度その頃、バルション学園長とミュルは、野宿の場所から少し離れて、村の広場で互いに体を動かしていた。
たまには体を動かすために、朝から模擬戦をしてみようという案で行ったのだが、片や白色の魔導書を扱い、光の魔法を容赦なくぶつけ、もう片やは金棒で殴りつけていく。
相性的には魔法の方が有利そうだが、ミュルのはこれでも元フェイカ―の幹部であり、戦闘経験はバルション学園長にも劣らない。
ゆえに、互に中々いい勝負が繰り広げられていた。‥‥‥某皇妃が見たら、混ざりたくなるほどである。
「でも、流石にその極太光線はきついのでアル!!」
「ふふふ、でーも薙ぎ払えるのはすーごいわね」
光の魔法をどうやって金棒で殴っているのかはともかく、模擬戦を二人が楽しんでいた・・・・・その時であった。
「でも、これで反撃でアル!!」
金棒を構え直し、全力でミュルが振りかぶろうとしたそのタイミングで…‥
ぐっ、ずるん!!
「へ?」
しっかりと足に力を込めていたミュルが、突然足を滑らせた。
何かを踏んづけたのか、それは見事な転倒で、後方に倒れる。
ゴッチ―ン!!
「おぅふ!!」
後頭部へのダメージに、思わずミュルは頭を抱えた。
「だ、大丈夫なーのかし……あら?」
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そして、バルション学園長が目を向けたその瞬間、その水が急に動く。
「え!?」
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