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組織との決着で章
233話
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「…‥‥で、全員捕まえたのはいいけれども、マロ」
【ピギャス?】
「熊男のリゴーラだったか?この人だけ全身石化しているのだが…‥‥」
ルースの問いかけに対して、マロはしばし考えこむようなそぶりを見せたあと、目を背けた。
やり過ぎたという事だけは、しっかり理解しているようだが‥‥‥‥これって後で、きちんと石化が解けるよな?
「そしてハンブルドーンだったか…‥‥ぶつぶつと精神的に死んでいるんだけど、何をやった?」
【そうネ、穴掘って埋めテ】
「出てきたところを叩き潰して」
―――――針デ、軽クブスット。
どうやら精神的に追い詰められ、心が折れたらしい。
「元同僚とは言え、同情するような状態アルな」
「あー、こっち側の人につかまってよかったな」
元フェイカーの幹部でもあったミュルは同情の眼差しをその二人に向け、ぐるぐるに縛られているエルフルニアは、心の底から安堵の息を吐いていた。
現在、ようやく全員捕縛し終え、皆一旦宿に戻って来たのである。
だがしかし、捕縛したフェイカ―の幹部の状態が、各自ひどいものになっていた。
エルフルニアに関しては、溶岩噴出の勢いで気絶したので確保は楽であり、噴出した溶岩はルースが精霊状態となって色々と施して何とか収めた。
だがしかし、残っていた二人の状態はひどかった。
見た目ゴリマッチョ、熊獣人のリゴーラは全身石化して何も発せず、天狗のような鼻を持つハンブルドーンは精神的に病んだ状態みたいになっていたのだ。
「この状態だと、まともに聞けるのはこのエルフルニアだけだが‥‥‥‥ここで正直に、組織についての内容を全部話してくれたら、ある程度の待遇は保証しよう」
「え?そんなことして良いの?」
「自らきちんと話してくれたらな。後できちんと正誤性を確認して、もし一つでも正しくなければ…‥‥マロに石化してもらうか、もしくは心が折れるまでの精神的苦痛を味合わせるが、どうしたい?」
「喜んでべらべら話させていただきましょう!!」
「変わり身速いアルよ!!元幹部の自分が言うのもなんだが、それでいいアルか!!」
ルースが黒い笑みを浮かべたことにより、エルフルニアはすぐにしゃべりだした。
今回やってきた目的は、本当に純粋な指揮を上げるための旅行だったらしい。
フェイカーが狙うのは王国であり、こんな温泉までは目を付けておらず、今後行うとある大作戦のために、士気向上を目論んでの旅行だったそうだ。
「その大作戦って?」
「追い詰められた我が組織の起死回生として、トップに立たれる影の王と呼ばれるお方が、自ら考えた作戦だ」
影の王‥‥‥‥エルフルニアいわく、反魔導書組織フェイカーを率いる存在。
ただ、その人物には組織内でも謎が多く、幹部でもあるエルフルニアでもわからないことが多いそうだ。
「何しろ組織内では、昔あった組織の創始者とか、その孫とか、もしくは過去の王国に会った実験で生き延び、永遠の命を手に入れた怪物とか…‥‥まぁ、色々ある。少なくとも、そこの同僚が隠蔽しているとある本よりもわからないな」
「なんだ、まだ密かに持っているのでアルか?組織を抜ける前に、手紙で注意を促していたはずでアルは‥‥‥」
なにやら幹部同士だったころに分かっていたことがあるらしい。
気になる事は気になるが、今はそんなことよりも話を戻さねばならない。
「影の王とかは、後の方で聞かせてもらうとして、その大作戦とやらが気になるのだが」
「とは言っても、単純明快なものだぞ」
ルースの問いかけに対して、呆れる様な声を出すエルフルニア。
「影の王が組織のトップに立っているのはわかっているが‥‥‥‥いやまぁ、幹部という立場故に物凄く微妙なものでもあるが、なんというか…‥‥」
「ん?何か言いにくいのか?」
「‥‥‥正直な話し、トップだけど作戦が単純すぎる」
「というと」
「各地の研究施設や拠点が潰されたから、現在組織は貧窮状態。もうじき崩壊するのではないかということで、内部分解しそうであり、その前に何とかしようと考えたらしいのだ。その結果、できたのが先ほど言っていた大作戦なのだが…‥‥」
エルフルニアは、影の王とやらが立てた計画を話し出す。
組織の幹部とは言え、どうもあまり忠誠を誓っているようにも見えず、軽薄なような気もするが…‥‥どうやらエルフルニア的にも、組織はもはや価値がなさそうだと判断しているようで、切り捨てて逃げることにしたらしい。
そして、その話された内容を聞き、ルースたちは唖然とした。
あの色々と、これまでやらかしてきたフェイカー。
その大作戦とやらもとんでもないと思っていたが…‥‥その方向性が、流石に予想外だったのだ。
「一応聞くが、それ本当にフェイカーのトップが考えたことなのか?」
「ああ、間違いない。この耳で聞いたし、底の二人が復活したら同じことを話すのだが‥‥‥‥現時点では、変わりないだろう。万が一に備え、我々がいない場合もできるようにしたとは言え…‥‥」
エルフルニア自身も、物凄い微妙な表情を浮かべる。
とにもかくにも、その話しを聞いた以上、この温泉の地でさほどのんびりすることはできない。
決行は10日後らしいが‥‥‥‥それまでにある程度の対策を取らねばならない。
面倒なことになったなと、ルースは深いため息を吐くのであった…‥‥‥
【ピギャス?】
「熊男のリゴーラだったか?この人だけ全身石化しているのだが…‥‥」
ルースの問いかけに対して、マロはしばし考えこむようなそぶりを見せたあと、目を背けた。
やり過ぎたという事だけは、しっかり理解しているようだが‥‥‥‥これって後で、きちんと石化が解けるよな?
「そしてハンブルドーンだったか…‥‥ぶつぶつと精神的に死んでいるんだけど、何をやった?」
【そうネ、穴掘って埋めテ】
「出てきたところを叩き潰して」
―――――針デ、軽クブスット。
どうやら精神的に追い詰められ、心が折れたらしい。
「元同僚とは言え、同情するような状態アルな」
「あー、こっち側の人につかまってよかったな」
元フェイカーの幹部でもあったミュルは同情の眼差しをその二人に向け、ぐるぐるに縛られているエルフルニアは、心の底から安堵の息を吐いていた。
現在、ようやく全員捕縛し終え、皆一旦宿に戻って来たのである。
だがしかし、捕縛したフェイカ―の幹部の状態が、各自ひどいものになっていた。
エルフルニアに関しては、溶岩噴出の勢いで気絶したので確保は楽であり、噴出した溶岩はルースが精霊状態となって色々と施して何とか収めた。
だがしかし、残っていた二人の状態はひどかった。
見た目ゴリマッチョ、熊獣人のリゴーラは全身石化して何も発せず、天狗のような鼻を持つハンブルドーンは精神的に病んだ状態みたいになっていたのだ。
「この状態だと、まともに聞けるのはこのエルフルニアだけだが‥‥‥‥ここで正直に、組織についての内容を全部話してくれたら、ある程度の待遇は保証しよう」
「え?そんなことして良いの?」
「自らきちんと話してくれたらな。後できちんと正誤性を確認して、もし一つでも正しくなければ…‥‥マロに石化してもらうか、もしくは心が折れるまでの精神的苦痛を味合わせるが、どうしたい?」
「喜んでべらべら話させていただきましょう!!」
「変わり身速いアルよ!!元幹部の自分が言うのもなんだが、それでいいアルか!!」
ルースが黒い笑みを浮かべたことにより、エルフルニアはすぐにしゃべりだした。
今回やってきた目的は、本当に純粋な指揮を上げるための旅行だったらしい。
フェイカーが狙うのは王国であり、こんな温泉までは目を付けておらず、今後行うとある大作戦のために、士気向上を目論んでの旅行だったそうだ。
「その大作戦って?」
「追い詰められた我が組織の起死回生として、トップに立たれる影の王と呼ばれるお方が、自ら考えた作戦だ」
影の王‥‥‥‥エルフルニアいわく、反魔導書組織フェイカーを率いる存在。
ただ、その人物には組織内でも謎が多く、幹部でもあるエルフルニアでもわからないことが多いそうだ。
「何しろ組織内では、昔あった組織の創始者とか、その孫とか、もしくは過去の王国に会った実験で生き延び、永遠の命を手に入れた怪物とか…‥‥まぁ、色々ある。少なくとも、そこの同僚が隠蔽しているとある本よりもわからないな」
「なんだ、まだ密かに持っているのでアルか?組織を抜ける前に、手紙で注意を促していたはずでアルは‥‥‥」
なにやら幹部同士だったころに分かっていたことがあるらしい。
気になる事は気になるが、今はそんなことよりも話を戻さねばならない。
「影の王とかは、後の方で聞かせてもらうとして、その大作戦とやらが気になるのだが」
「とは言っても、単純明快なものだぞ」
ルースの問いかけに対して、呆れる様な声を出すエルフルニア。
「影の王が組織のトップに立っているのはわかっているが‥‥‥‥いやまぁ、幹部という立場故に物凄く微妙なものでもあるが、なんというか…‥‥」
「ん?何か言いにくいのか?」
「‥‥‥正直な話し、トップだけど作戦が単純すぎる」
「というと」
「各地の研究施設や拠点が潰されたから、現在組織は貧窮状態。もうじき崩壊するのではないかということで、内部分解しそうであり、その前に何とかしようと考えたらしいのだ。その結果、できたのが先ほど言っていた大作戦なのだが…‥‥」
エルフルニアは、影の王とやらが立てた計画を話し出す。
組織の幹部とは言え、どうもあまり忠誠を誓っているようにも見えず、軽薄なような気もするが…‥‥どうやらエルフルニア的にも、組織はもはや価値がなさそうだと判断しているようで、切り捨てて逃げることにしたらしい。
そして、その話された内容を聞き、ルースたちは唖然とした。
あの色々と、これまでやらかしてきたフェイカー。
その大作戦とやらもとんでもないと思っていたが…‥‥その方向性が、流石に予想外だったのだ。
「一応聞くが、それ本当にフェイカーのトップが考えたことなのか?」
「ああ、間違いない。この耳で聞いたし、底の二人が復活したら同じことを話すのだが‥‥‥‥現時点では、変わりないだろう。万が一に備え、我々がいない場合もできるようにしたとは言え…‥‥」
エルフルニア自身も、物凄い微妙な表情を浮かべる。
とにもかくにも、その話しを聞いた以上、この温泉の地でさほどのんびりすることはできない。
決行は10日後らしいが‥‥‥‥それまでにある程度の対策を取らねばならない。
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