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貴族問題で章
207話
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【しゃちぃぃぃぃぃいほうううううううううこぅ!!】
雄たけびを上げ、ムキムキっとポージングを決めるしゃちほうこう。
なんというか、これが城の屋根に取り付けられてていたと言うのは信じがたい。
というか、キモイ。
【しやしゃしゃしゃしゃちほうこう!!】
『おおーっと!!ルースに向かって殴りかかり始めたーぜベイベー!!』
ドドドドドドドドドドっと、地埃をたてながら攻め始めてきたしゃちほうこう。
まともに相手にするには、まだ情報が少ないので危険である。
未知のキモマジックアイテムに対抗するには、一旦距離を取って‥‥‥
【しゃっちほーーーーこーーー!!】
「って、早っ!?」」
巨体の割には素早く、すぐに拳を振り下ろしてきた。
「ぐっ『スパークウインド』!!」
魔法を自身にかけ、加速して避けるルース。
だが、
【しゃしゃしゃしゃしゃちほぅこぉぉぉぉぉぉぉぉ『百裂拳』!!】
「喋れたの!?というかやばっ!」
意外にも目の前のしゃちほうこうがまともな言葉を発したことに驚愕しつつも、この状況が相当不味いことにルースは気が付いた。
大量の腕や足を使って、殴りや蹴り、持っている剣などを無茶苦茶に使って、かわすのが難しいほどの猛攻を仕掛けてきたのである。
魔法でいくら加速しようが、文字通り手数はしゃちほうこうの方が圧倒的に多い。
百裂拳と言うのもあながち間違っておらず、むしろそれ以上の数で攻めてきた。
「いい加減放れやがれ!!『ファイヤストーム』!!」
炎と風の複合魔法を容赦なくぶっぱなし、しゃちほうこうに命中させるルース。
この決闘は命を奪うとアウトだが、相手はマジックアイテムであり、要は道具なので全力を出してしまっても問題はないはずだ。
ゆえに、何とか魔法によってふっ飛ばそうとしたが…‥‥
【しゃしゃちちちちちち!!ほーーーーーうこうぅぅ!!】
いくつもある足の数本を舞台に刺し、その場からしゃちほうこうは動かなかった。
そして手でガードし、耐えきってしまったのである。
「なんだと!?」
まさか防ぎきられるとは思っておらず、驚愕するルース。
「ふははははは!!我が王族のマジックアイテムのすごさを思い知ったか!!」
と、いつの間にかルースの背後に回り込んでいた王子たちがそう叫んだ。
「このしゃちほうこうは戦闘に関してデータさえあれば、臨機応変に対応できるマジックアイテム!」
「決闘当初からいろいろやってきた貴様の行動を分析し、いかにして防げるのか自動で判断できる自立型のマジックアイテムなんだよ!!」
ご丁寧に説明してくれたが、それはつまりルースの動きを相手は予測して動いていることになる。
決闘当初からやっていなかったのは、決闘中のルースの動きから全力などを推測し、いかにして勝利するのか計算していたからだろう。
「そして忘れるな!!」
「しゃちほうこう以外にも、我等がお前を倒し!!」
「妹への毒牙をふせぐのだぁぁぁ!!」
剣を持ち、ルースの元に走って来た王子たち。
言われてみれば、この王子たちも決闘を挑んできており、あのしゃちほうこうはあくまでマジックアテムに過ぎないのだろう。
この決闘のためだけに、王子たちが持ち込み、起動させたもので…‥‥‥と、そこまで考え、ふとルースはある事に気が付いた。
「あれ?ということは…‥‥王子たちが起動したなら、王子たちを倒せば止まるんじゃ?」
「「「!?」」」
ルースの言葉に、身体を止めた王子たち。
…‥‥図星のようだ。
あのしゃちほうこうは王子たちが起動し、動かしたもの。
どういう構造なのかは不明だが、王子たちが鍵となっているのであれば…‥‥倒してしまえば、もしかすると停止させられるかもしれない。
あのしゃちほうこうとは違って、王子たちは人間だし…‥‥気絶させるほどであれば、王子側を攻めたほうがはるかに楽だ。
「図星ならこちらから攻めるぞ!!『ブーストナックル』!!」
土で作った巨大な腕を、炎の魔法で推進力を得て殴りつけようとするルース。
「ま、待てぇ!!しゃちほうこう、我々を守れ!!」
【しゃちほう――――了解ぃぃこう!!】
王子の叫びに、ばっとしゃちほうこうは素早くルースの前に回り込む。
王子たちの防衛を兼ねているようで、隙が無い。
【しゃぁぁぁぁちちちちちちほうこぅ!!】
ダッシュで王子たちの前へ来ると同時に、足をズンッと舞台に突き刺す。
魔法に備えて耐えるためかと思われたが、違うようだ。
大きく口を開け、一瞬その口内に光が見えたかと思うと…‥‥
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!
「うわあぁぁ!?」
物凄い怪音波が発射され、大気震えた。
口内の光が見えたとか関係ないとツッコミを入れたいが、黒板やガラスを爪でひっかく音、スポンジ同士がこすれるキュっとした音などなど、これでもかというほど滅茶苦茶な音が合わさった咆哮であり、全体にびりびりと響き渡る中では入れられない。
まさに音の暴力というべき激しさに、ルースは耳を防ぐも体全体にその振動が伝わり、聞きたくない
「ふははは!!しゃちほうこうのもつ機能『完全不快超音波砲』だ!!相手にとって、最も効果的な音波を発生させ、動きを止めるのだぁぁ!!」
王子がわざわざ解説を入れるが、耳につんざくほどの不快な音に、ルースは耳を押さえて動けなくなる。
あまりにも効果的というか、しゃちほうこうの「ほうこう」の由来が「咆哮」だと予想させるような、地味ながらも最悪な武器であった。
「そしてぇ!!もう一体起動!!」
「!?」
王城についていたしゃちほこは2体。あれがどちらもしゃちほうこうというマジックアイテムだったのかもしれない。
つまり、ここにいるしゃちほうこうは1体だけというわけではなく…‥‥
【しゃちっほぉぉぉぉぉうこ!!】
「もう一体いるのかよ!!」
不快音波を発しているしゃちほうこうの後ろで、王子たちが隠し持っていたもう一体のしゃちほうこうが起動する。
しゃちほうこうに守られる王子たちは、そこからもう一体のしゃちほうこうをルースの方へ歩ませ始めた。
さっきから稼働しているものとほぼ同じ形状であるが…‥‥この不快音波は聞いていないようで、音の中をずんずんと歩いてくる。
【しゃぁぁぁぁちほぅこぉぉぉぉぉ!!】
むきぃっと筋肉を盛り上げ、そのたくましい腕をルースへ向けて殴りかける。
ドガァァァッ!!
「がっ!!」
怪音波で動きが鈍くなっていたが、防御の姿勢を取ったルース。
魔法を発動させる暇もなく、まともに来る打撃は重く、そのままルースは宙へふっ飛ばされた。
宙を舞っている間も、怪音波はルースを捕らえたまま、地面に落ちたところでも鳴り響く。
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!
「っう……やばいなこれ」
受け身を取って、何とか立ち上がるが、物理的な物ではなく、精神的攻撃に近い音にルースは足元がふらつき始める。
そうしている間にも、第二撃を叩き込もうとして来るしゃちほうこうの姿を目に捉えた。
この状況で再びあの拳を喰らえば、防ぎきれずにかなり不味いダメージが来るであろう。
まともに動けず、音の檻の中で攻撃を受けさせられるのは苦痛であり、ひどく不快でもある。
【しゃちほーーーーーーーこ!!】
ぶんぶんと腕を回しつつ、威力を底上げしようとしているのか走ってくるしゃちほうこう。
個の一撃を喰らえば、不味いのに、あまりにも深い過ぎる音の振動のせいでうまいこと動けない。
【ほほほほほほうううううううこぉぉぉぉぉぉ!!】
そして動かせまいと、咆哮し続けるもう一体のしゃちほうこう。
せめて、この片方だけでも何とかできれば勝機があるのだが…‥‥
(音、音と言えば、空気の振動、伝えないようには真空……いや、それはすぐに作りだせない)
やろうと思えばできる対抗策でも、この短い時間ですぐにできるわけではない、
そうこうしているうちに、再び拳が目の前に迫ってくる。
回避しようにも動けず、一巻の終わりかと思ったルースであったが…‥‥その一瞬、何かが頭の中に閃いた。
【ししゃしゃちほーーーーーーーこ!!】
「‥‥‥『-----』」
迫ってきた拳を見ながら、ルースはつぶやく。
それは本当に小さな声。だけど、前にも言ったことがある言葉。
ドッガァァァァン!!
強靭な拳によってルースを殴りつけた音があたりに響き渡る。
…‥‥だが、決闘を見に来た者たちは、その光景を見て誰もが目を丸くした。
今の一撃は、ほぼ間違いなくルースを捉え切り、完全に沈める威力だった。
けれど、その拳に当たっていたのは‥‥‥‥キラキラと輝く鉄壁、いや、金色に輝く鎧。
【しゃ、しゃちほぅこおおおおぉぉぉぅ!?】
マジックアイテムだが、一応痛覚があるのか手を抑え、後ずさるしゃちほうこう。
その手は赤く腫れあがり、いや、砕け散っていた。
ルースを覆う金色の鎧のようなものを全力で殴ったが、その強度にしゃちほうこうの腕が自らの一撃で砕けたのである。
「…‥‥なんか閃いて、とっさにやったが、まさかこうなるとはな」
ルースはしゃちほうこうとの距離を取り、自身の姿を見てそうつぶやいた。
ルースの身を覆うのは、以前、決闘場で右腕を溶かされかけたときに腕を覆っていた手甲のようなものを全身に纏わせた金色の鎧。
ただ、全部が金色に光っているのではなく、よくよく見れば半分が白色が強く混じって光り、もう半分は黒色が混じっているかのように光っている。
「まぁいいか。これについては後で確認するとしてだ」
改めてしゃちほうこう及び王子たちを見据え、ルースは構える。
「やられっぱなしは性に合わない‥‥‥‥だからこそ、反撃をさせてもらう!!」
そう宣言すると同時に、ルースを纏う鎧の輝きが増し、まるで地上に輝く星ができたかのようであった…‥‥
雄たけびを上げ、ムキムキっとポージングを決めるしゃちほうこう。
なんというか、これが城の屋根に取り付けられてていたと言うのは信じがたい。
というか、キモイ。
【しやしゃしゃしゃしゃちほうこう!!】
『おおーっと!!ルースに向かって殴りかかり始めたーぜベイベー!!』
ドドドドドドドドドドっと、地埃をたてながら攻め始めてきたしゃちほうこう。
まともに相手にするには、まだ情報が少ないので危険である。
未知のキモマジックアイテムに対抗するには、一旦距離を取って‥‥‥
【しゃっちほーーーーこーーー!!】
「って、早っ!?」」
巨体の割には素早く、すぐに拳を振り下ろしてきた。
「ぐっ『スパークウインド』!!」
魔法を自身にかけ、加速して避けるルース。
だが、
【しゃしゃしゃしゃしゃちほぅこぉぉぉぉぉぉぉぉ『百裂拳』!!】
「喋れたの!?というかやばっ!」
意外にも目の前のしゃちほうこうがまともな言葉を発したことに驚愕しつつも、この状況が相当不味いことにルースは気が付いた。
大量の腕や足を使って、殴りや蹴り、持っている剣などを無茶苦茶に使って、かわすのが難しいほどの猛攻を仕掛けてきたのである。
魔法でいくら加速しようが、文字通り手数はしゃちほうこうの方が圧倒的に多い。
百裂拳と言うのもあながち間違っておらず、むしろそれ以上の数で攻めてきた。
「いい加減放れやがれ!!『ファイヤストーム』!!」
炎と風の複合魔法を容赦なくぶっぱなし、しゃちほうこうに命中させるルース。
この決闘は命を奪うとアウトだが、相手はマジックアイテムであり、要は道具なので全力を出してしまっても問題はないはずだ。
ゆえに、何とか魔法によってふっ飛ばそうとしたが…‥‥
【しゃしゃちちちちちち!!ほーーーーーうこうぅぅ!!】
いくつもある足の数本を舞台に刺し、その場からしゃちほうこうは動かなかった。
そして手でガードし、耐えきってしまったのである。
「なんだと!?」
まさか防ぎきられるとは思っておらず、驚愕するルース。
「ふははははは!!我が王族のマジックアイテムのすごさを思い知ったか!!」
と、いつの間にかルースの背後に回り込んでいた王子たちがそう叫んだ。
「このしゃちほうこうは戦闘に関してデータさえあれば、臨機応変に対応できるマジックアイテム!」
「決闘当初からいろいろやってきた貴様の行動を分析し、いかにして防げるのか自動で判断できる自立型のマジックアイテムなんだよ!!」
ご丁寧に説明してくれたが、それはつまりルースの動きを相手は予測して動いていることになる。
決闘当初からやっていなかったのは、決闘中のルースの動きから全力などを推測し、いかにして勝利するのか計算していたからだろう。
「そして忘れるな!!」
「しゃちほうこう以外にも、我等がお前を倒し!!」
「妹への毒牙をふせぐのだぁぁぁ!!」
剣を持ち、ルースの元に走って来た王子たち。
言われてみれば、この王子たちも決闘を挑んできており、あのしゃちほうこうはあくまでマジックアテムに過ぎないのだろう。
この決闘のためだけに、王子たちが持ち込み、起動させたもので…‥‥‥と、そこまで考え、ふとルースはある事に気が付いた。
「あれ?ということは…‥‥王子たちが起動したなら、王子たちを倒せば止まるんじゃ?」
「「「!?」」」
ルースの言葉に、身体を止めた王子たち。
…‥‥図星のようだ。
あのしゃちほうこうは王子たちが起動し、動かしたもの。
どういう構造なのかは不明だが、王子たちが鍵となっているのであれば…‥‥倒してしまえば、もしかすると停止させられるかもしれない。
あのしゃちほうこうとは違って、王子たちは人間だし…‥‥気絶させるほどであれば、王子側を攻めたほうがはるかに楽だ。
「図星ならこちらから攻めるぞ!!『ブーストナックル』!!」
土で作った巨大な腕を、炎の魔法で推進力を得て殴りつけようとするルース。
「ま、待てぇ!!しゃちほうこう、我々を守れ!!」
【しゃちほう――――了解ぃぃこう!!】
王子の叫びに、ばっとしゃちほうこうは素早くルースの前に回り込む。
王子たちの防衛を兼ねているようで、隙が無い。
【しゃぁぁぁぁちちちちちちほうこぅ!!】
ダッシュで王子たちの前へ来ると同時に、足をズンッと舞台に突き刺す。
魔法に備えて耐えるためかと思われたが、違うようだ。
大きく口を開け、一瞬その口内に光が見えたかと思うと…‥‥
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!
「うわあぁぁ!?」
物凄い怪音波が発射され、大気震えた。
口内の光が見えたとか関係ないとツッコミを入れたいが、黒板やガラスを爪でひっかく音、スポンジ同士がこすれるキュっとした音などなど、これでもかというほど滅茶苦茶な音が合わさった咆哮であり、全体にびりびりと響き渡る中では入れられない。
まさに音の暴力というべき激しさに、ルースは耳を防ぐも体全体にその振動が伝わり、聞きたくない
「ふははは!!しゃちほうこうのもつ機能『完全不快超音波砲』だ!!相手にとって、最も効果的な音波を発生させ、動きを止めるのだぁぁ!!」
王子がわざわざ解説を入れるが、耳につんざくほどの不快な音に、ルースは耳を押さえて動けなくなる。
あまりにも効果的というか、しゃちほうこうの「ほうこう」の由来が「咆哮」だと予想させるような、地味ながらも最悪な武器であった。
「そしてぇ!!もう一体起動!!」
「!?」
王城についていたしゃちほこは2体。あれがどちらもしゃちほうこうというマジックアイテムだったのかもしれない。
つまり、ここにいるしゃちほうこうは1体だけというわけではなく…‥‥
【しゃちっほぉぉぉぉぉうこ!!】
「もう一体いるのかよ!!」
不快音波を発しているしゃちほうこうの後ろで、王子たちが隠し持っていたもう一体のしゃちほうこうが起動する。
しゃちほうこうに守られる王子たちは、そこからもう一体のしゃちほうこうをルースの方へ歩ませ始めた。
さっきから稼働しているものとほぼ同じ形状であるが…‥‥この不快音波は聞いていないようで、音の中をずんずんと歩いてくる。
【しゃぁぁぁぁちほぅこぉぉぉぉぉ!!】
むきぃっと筋肉を盛り上げ、そのたくましい腕をルースへ向けて殴りかける。
ドガァァァッ!!
「がっ!!」
怪音波で動きが鈍くなっていたが、防御の姿勢を取ったルース。
魔法を発動させる暇もなく、まともに来る打撃は重く、そのままルースは宙へふっ飛ばされた。
宙を舞っている間も、怪音波はルースを捕らえたまま、地面に落ちたところでも鳴り響く。
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!
「っう……やばいなこれ」
受け身を取って、何とか立ち上がるが、物理的な物ではなく、精神的攻撃に近い音にルースは足元がふらつき始める。
そうしている間にも、第二撃を叩き込もうとして来るしゃちほうこうの姿を目に捉えた。
この状況で再びあの拳を喰らえば、防ぎきれずにかなり不味いダメージが来るであろう。
まともに動けず、音の檻の中で攻撃を受けさせられるのは苦痛であり、ひどく不快でもある。
【しゃちほーーーーーーーこ!!】
ぶんぶんと腕を回しつつ、威力を底上げしようとしているのか走ってくるしゃちほうこう。
個の一撃を喰らえば、不味いのに、あまりにも深い過ぎる音の振動のせいでうまいこと動けない。
【ほほほほほほうううううううこぉぉぉぉぉぉ!!】
そして動かせまいと、咆哮し続けるもう一体のしゃちほうこう。
せめて、この片方だけでも何とかできれば勝機があるのだが…‥‥
(音、音と言えば、空気の振動、伝えないようには真空……いや、それはすぐに作りだせない)
やろうと思えばできる対抗策でも、この短い時間ですぐにできるわけではない、
そうこうしているうちに、再び拳が目の前に迫ってくる。
回避しようにも動けず、一巻の終わりかと思ったルースであったが…‥‥その一瞬、何かが頭の中に閃いた。
【ししゃしゃちほーーーーーーーこ!!】
「‥‥‥『-----』」
迫ってきた拳を見ながら、ルースはつぶやく。
それは本当に小さな声。だけど、前にも言ったことがある言葉。
ドッガァァァァン!!
強靭な拳によってルースを殴りつけた音があたりに響き渡る。
…‥‥だが、決闘を見に来た者たちは、その光景を見て誰もが目を丸くした。
今の一撃は、ほぼ間違いなくルースを捉え切り、完全に沈める威力だった。
けれど、その拳に当たっていたのは‥‥‥‥キラキラと輝く鉄壁、いや、金色に輝く鎧。
【しゃ、しゃちほぅこおおおおぉぉぉぅ!?】
マジックアイテムだが、一応痛覚があるのか手を抑え、後ずさるしゃちほうこう。
その手は赤く腫れあがり、いや、砕け散っていた。
ルースを覆う金色の鎧のようなものを全力で殴ったが、その強度にしゃちほうこうの腕が自らの一撃で砕けたのである。
「…‥‥なんか閃いて、とっさにやったが、まさかこうなるとはな」
ルースはしゃちほうこうとの距離を取り、自身の姿を見てそうつぶやいた。
ルースの身を覆うのは、以前、決闘場で右腕を溶かされかけたときに腕を覆っていた手甲のようなものを全身に纏わせた金色の鎧。
ただ、全部が金色に光っているのではなく、よくよく見れば半分が白色が強く混じって光り、もう半分は黒色が混じっているかのように光っている。
「まぁいいか。これについては後で確認するとしてだ」
改めてしゃちほうこう及び王子たちを見据え、ルースは構える。
「やられっぱなしは性に合わない‥‥‥‥だからこそ、反撃をさせてもらう!!」
そう宣言すると同時に、ルースを纏う鎧の輝きが増し、まるで地上に輝く星ができたかのようであった…‥‥
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