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5章 復讐は我にあり
5-85 飛んで火にいる夏の虫、自ら飛び込む苦行の愚者
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―――人というのは、どうして思い込みをすることがあるのだろうか。
例え、その思い込みをするに至った証拠など確信できるようなことがあったとしても、想定外すぎることがあったらどうしようもないというのに。
「いえ、むしろこの状況に関して予想しないのは変ですネ」
「こちらの襲撃も想定していそうなものなのに…甘いファね」
月明かりの中、ぱんぱんっと埃を払いそうつぶやくメイドたち。
その周囲には多くの兵士たちが倒れ込んでおり、一人あたりに複数の人形たちが押さえつけていた。
全員気を失わせているとはいえ、他に何か仕込んでいる可能性が無きにしも非ず。
念入りに押さえつけておきつつ、自害を防ぐために毒も隠し持っていないかなど確認をしておく。
村からかなり離れた場所に設営された、兵士たちの野営地。
本当ならばすぐに探知されないだろうと思われていたかもしれないが‥‥‥生憎、このちょっと前にゼナにフンフが改良を施した結果、その想定を超える探知能力が出来上がり、今回の発見に至ったのだ。
「そしてついでに、ジルドラゾ軍事国の兵士たちという情報も得たけれども・・・・・その国が企んだものでもないようですネ」
「報告にあった破神布とかいう組織が手を回しているようねぇ。記憶も消しておかなかったのは甘すぎるファファファファ」
尋問して目的を探る手段もあったが、何やら様子がおかしいという事で記憶の方を丁寧に探らせてもらったのだが、どうやらその組織が関係しているらしい。
野営地に置いてあった資料関係はこの王国への侵略作戦や、ドラゴンを討つなどの目的があるように見せかけたものが多かったのだが、こちらはただのダミーのようだ。
万が一バレた時に、罪を盛大になすりつけようとしていたのが見え見えだろう。
「ついでにその他、色々と用意していたようですネ。ご主人様に気が付かれた時の対策の、ドラゴン対策の武器に、命を落とす兵士が増える事を考えて贄に転換する特殊な魔法陣、そもそも探知されにくいように仕掛けている魔道具に、兵士たちを自然に見せかけて動かせることのできる洗脳効果のあるお香など‥‥‥外道と言って良いレベルデス」
「己の手を汚さないようにしているのかもしれないけど、汚物そのものだと思うファ、まぁ、強化改良した妹の探知能力には負けているようだし、技術力自体も高いように見せかけているのもある‥‥‥まどろっこしい組織のようだファ」
色々と手を尽くしているとはいえ、しぶとい所は本気でしぶといらしい。
まるで雑草のようで、いくら引っこ抜いても根っことかが一部あるだけで出てくるようにも思え、根絶が厳しいだろう。
いざとなれば強力な枯葉剤や周辺の土壌そのものを失わせるような手段も使えなくはないが‥‥‥その後に考えられる影響を思うと、使用しづらいのもある。
「何にしても、周辺に潜んでいた人たちも‥‥‥うん、見つけて捕縛出来たようデス」
「事前に村の子供たちに贈った人形が、全部私たちの手駒であるとは思いもしないだろうけれどねファファファ」
…実はちょっとフィーにも内緒にしていたが、慈善活動に見せかけて密かに彼女達のやれる範囲が広がるように、その手駒として動かせるような仲間をこっそりと増やしていた。
小さな人形は子供たちには人気だが、その中身は実は超精巧な技術の塊であり、いざとなればこうやって命令を下すだけで彼女達の想いのままに動かせるものたちとして使う事が出来るのだ。
普段は悪用することもないし、本当にただの人形にしか見えないのだが…‥‥その構成する糸や綿、体をしっかりと固定するための木の骨組みなど、一つ一つが何の変哲もない素材でもあるのに、組み合わせることによって稼働するのである。
絵面的には人形たちが動く光景はややメルヘンにも見えなくもないが、一糸乱れぬ動きで強襲する様は、襲われた側にとっては地獄の光景にしかならないだろう。
ついでに言えば、完全に持ち主が眠りについたのを見計らって密かに周辺をパトロールさせるようにも作られており、小さいながらもばっちりとその周辺を警護するものたちとしてもできていたのであった。
そう考えるとこれはこれで、密かな慈善活動にも思えなくもないのだが…‥‥悪人にとっては、地獄活動しか思えないかもしれない。
「さてと、とりあえずこの兵士たちはどうしましょうカ。ご主人様の手を煩わせることもなく、水面下でこっそりと消しておきたいのですガ…‥‥」
「組織によって盗まれて利用されただけのようだし、丁寧に送り返すだけでも良いかもファ。いや、もっといい手段もあるか‥‥?」
「と言いまスト?」
「カクカクシカジカファファ…」
まだまだ人生経験の浅い妹に対して、姉として的確なアドバイスを授けるフンフ。
魔剣とそうではない者という関係もあるのだが、姉妹としての絆はしっかりとあるようだった…‥‥
「…‥‥なるほど、ナイスアイディアですネ」
「まぁ、その案自体はノインツィヒあたりがやったらしいけどねファファ。すでに実証済みだから、信用度はあるよ」
「他にももっと、ご主人様のためになるようなものがあれば教えて欲しいのデス」
…‥‥そのご主人様本人が聞いたら、おそらく余計な知恵を更に授けないでほしいというツッコミが来そうな気がしなくもないが、生憎この場にはツッコミ役がいないのであった。
悲しい事に、彼女達の姉妹たちの中にも、ツッコミ役は数えるほどしかいないそうだが…‥‥だからこそ、やり過ぎてしまうこともあるのだろうか‥‥‥
例え、その思い込みをするに至った証拠など確信できるようなことがあったとしても、想定外すぎることがあったらどうしようもないというのに。
「いえ、むしろこの状況に関して予想しないのは変ですネ」
「こちらの襲撃も想定していそうなものなのに…甘いファね」
月明かりの中、ぱんぱんっと埃を払いそうつぶやくメイドたち。
その周囲には多くの兵士たちが倒れ込んでおり、一人あたりに複数の人形たちが押さえつけていた。
全員気を失わせているとはいえ、他に何か仕込んでいる可能性が無きにしも非ず。
念入りに押さえつけておきつつ、自害を防ぐために毒も隠し持っていないかなど確認をしておく。
村からかなり離れた場所に設営された、兵士たちの野営地。
本当ならばすぐに探知されないだろうと思われていたかもしれないが‥‥‥生憎、このちょっと前にゼナにフンフが改良を施した結果、その想定を超える探知能力が出来上がり、今回の発見に至ったのだ。
「そしてついでに、ジルドラゾ軍事国の兵士たちという情報も得たけれども・・・・・その国が企んだものでもないようですネ」
「報告にあった破神布とかいう組織が手を回しているようねぇ。記憶も消しておかなかったのは甘すぎるファファファファ」
尋問して目的を探る手段もあったが、何やら様子がおかしいという事で記憶の方を丁寧に探らせてもらったのだが、どうやらその組織が関係しているらしい。
野営地に置いてあった資料関係はこの王国への侵略作戦や、ドラゴンを討つなどの目的があるように見せかけたものが多かったのだが、こちらはただのダミーのようだ。
万が一バレた時に、罪を盛大になすりつけようとしていたのが見え見えだろう。
「ついでにその他、色々と用意していたようですネ。ご主人様に気が付かれた時の対策の、ドラゴン対策の武器に、命を落とす兵士が増える事を考えて贄に転換する特殊な魔法陣、そもそも探知されにくいように仕掛けている魔道具に、兵士たちを自然に見せかけて動かせることのできる洗脳効果のあるお香など‥‥‥外道と言って良いレベルデス」
「己の手を汚さないようにしているのかもしれないけど、汚物そのものだと思うファ、まぁ、強化改良した妹の探知能力には負けているようだし、技術力自体も高いように見せかけているのもある‥‥‥まどろっこしい組織のようだファ」
色々と手を尽くしているとはいえ、しぶとい所は本気でしぶといらしい。
まるで雑草のようで、いくら引っこ抜いても根っことかが一部あるだけで出てくるようにも思え、根絶が厳しいだろう。
いざとなれば強力な枯葉剤や周辺の土壌そのものを失わせるような手段も使えなくはないが‥‥‥その後に考えられる影響を思うと、使用しづらいのもある。
「何にしても、周辺に潜んでいた人たちも‥‥‥うん、見つけて捕縛出来たようデス」
「事前に村の子供たちに贈った人形が、全部私たちの手駒であるとは思いもしないだろうけれどねファファファ」
…実はちょっとフィーにも内緒にしていたが、慈善活動に見せかけて密かに彼女達のやれる範囲が広がるように、その手駒として動かせるような仲間をこっそりと増やしていた。
小さな人形は子供たちには人気だが、その中身は実は超精巧な技術の塊であり、いざとなればこうやって命令を下すだけで彼女達の想いのままに動かせるものたちとして使う事が出来るのだ。
普段は悪用することもないし、本当にただの人形にしか見えないのだが…‥‥その構成する糸や綿、体をしっかりと固定するための木の骨組みなど、一つ一つが何の変哲もない素材でもあるのに、組み合わせることによって稼働するのである。
絵面的には人形たちが動く光景はややメルヘンにも見えなくもないが、一糸乱れぬ動きで強襲する様は、襲われた側にとっては地獄の光景にしかならないだろう。
ついでに言えば、完全に持ち主が眠りについたのを見計らって密かに周辺をパトロールさせるようにも作られており、小さいながらもばっちりとその周辺を警護するものたちとしてもできていたのであった。
そう考えるとこれはこれで、密かな慈善活動にも思えなくもないのだが…‥‥悪人にとっては、地獄活動しか思えないかもしれない。
「さてと、とりあえずこの兵士たちはどうしましょうカ。ご主人様の手を煩わせることもなく、水面下でこっそりと消しておきたいのですガ…‥‥」
「組織によって盗まれて利用されただけのようだし、丁寧に送り返すだけでも良いかもファ。いや、もっといい手段もあるか‥‥?」
「と言いまスト?」
「カクカクシカジカファファ…」
まだまだ人生経験の浅い妹に対して、姉として的確なアドバイスを授けるフンフ。
魔剣とそうではない者という関係もあるのだが、姉妹としての絆はしっかりとあるようだった…‥‥
「…‥‥なるほど、ナイスアイディアですネ」
「まぁ、その案自体はノインツィヒあたりがやったらしいけどねファファ。すでに実証済みだから、信用度はあるよ」
「他にももっと、ご主人様のためになるようなものがあれば教えて欲しいのデス」
…‥‥そのご主人様本人が聞いたら、おそらく余計な知恵を更に授けないでほしいというツッコミが来そうな気がしなくもないが、生憎この場にはツッコミ役がいないのであった。
悲しい事に、彼女達の姉妹たちの中にも、ツッコミ役は数えるほどしかいないそうだが…‥‥だからこそ、やり過ぎてしまうこともあるのだろうか‥‥‥
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