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5章 復讐は我にあり
5-58 ロクデナシな目的は、更に狂人モドキの手によって狂う羽目になる
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‥‥‥占星国と医療大国。その二か国間の戦争は今晩、だいぶ終わりに近づいていた。
そもそもの話、各国に大量の医薬品を提供してくれる国と、最近ハズレばかりの欲が暴走しがちな国の場合、どちらに他国が味方に付くのかは明白であった。
ほとんどの周辺諸国が医療大国に味方をして、反対に占星国に味方をする国はいない。
そんな圧倒的な有利すぎる状況で、医療大国が負けるはずもないようであっという間に占星国の領土であった場所は占領されており、もう後は占星国の首都を残すだけである。
その為、今晩は周囲に全軍が取り囲む形で野営を取り、籠城戦になっても良い様にしっかりとした包囲網を敷いていただろう。
だが、そんな包囲網を敷いていたとしても…‥‥逃げ出す者はこっそりと逃れていた。
敗北を悟ったから逃げた?自分達だけ助かろうとして逃げた?
いや、その理由は半分正解であり半分は不正解。彼らにはまだ、この状況は想定内だったのだ。
「…‥‥だが、それでも成しとげなければ意味はない。そのための仕込みは十分か?」
「ええ、ばっちりと。あとは、それまで待つのみでございます」
まだ時間がかかるようだが、それでも後はこのまま逃げればいいだけの話。
その時が来るまで彼らは耐え忍び、機をうかがうのであった‥‥‥
「---まぁ、そのぐらいは想定内よね」
だが、そんな彼らの企み事は既に読まれていた。
何しろ、そんな事を考える輩たちの一部が捕らえられており、その情報を吐き出させられていたのだから。
「吐き出す前に、抜き取る‥‥‥うん、だいぶいい感じにできたわね。流石私の息子の身体ね」
「そんなことにご主人様の体を使ってほしくないのですガ」
「あら、もう気が付いてやってきたのね」
「常にバイタルチェック、していますからネ。そもそも私自身眠る必要が無いので、確認しやすいのデス」
はぁぁっと呆れたようにゼナが溜息を吐きつつ説明している間も、ふふっと彼女は笑う。
ここは帝国のお話部屋であり、一般人は立ち入ることができないはずなのだが‥‥‥そこには今、堂々と侵入している二人の姿があった。
「というかおかしいデス。以前はまだ実体もそこまで出せず、どちらかと言えば精神体に近かったはずですが‥‥‥ご主人様の身体を乗っ取った状態とは言え、ほぼ独立できているのは何故ですカ」
「単純に、息子の力が増加したのが原因よ。夫の血がより濃く出て力を増した分、余剰なものが出るから利用しやすくなったのよ」
ゼナの問いかけに対して軽く答えるのは‥‥‥フィーの身体にいた、青薔薇姫。
乗っ取ってはいるが、ただ単純に操った姿ではなく、自身の生前にほぼ近い姿で顕現している状態のようである。
そして今、どうやら捕らえていた組織の者達の頭をわしづかみにして、色々と抜き取っていた。
「それでも、活動できるのはこうやって余剰分の貯蓄を使っているだけに過ぎないのよねぇ。だからあと10分ほどで戻るから、その時はよろしくね」
「そこを見越しているのが、非常にたち悪いと思うのですガ」
つまり、動けなくなることが目に見えているので、ここまでやって来てくれた方が都合が良いのだろう。
ならその前にさっさと帰れと言いたいのだが‥‥‥まともに相手をした場合、敗北するので言い出せない。
「さてと、他もしっかりとやってと‥‥‥バレないように、工作お願いね」
「むぅ‥‥‥」
そう口にされ、渋々ながらも従うゼナ。
理由としては主の身の安全・情報保護の目的もあるのだが、青薔薇姫がだいぶ復活している状況がバレるのは色々と不味いというのもあり、きちんと証拠隠滅を行う。
記憶の操作関連は専門ではないのだが…‥‥一応、ある程度弄れるぐらいの技術は持っているのだ。
そういう訳で後遺症が残らないように、しっかりと仕上げておく。ゴリゴリとかバリバリとか物騒な音がしているのだが、その音に気が付く者は周囲にいない。
「でも迷惑な話よねぇ。他の人が思い描く企み事に、巻き添えになるのは嫌だわ」
「そういう巻き添えになりたくないのは、ほとんどの人が思う事でしょウ」
その言葉に対して、どの口が言うのだと思う人々は多いだろう。
だがしかし、ツッコミをいれてくれる勇者はこの場にはいない。
ある意味似た者同士だからこそ、他人事みたいな発言が出来るのであった‥‥‥
そもそもの話、各国に大量の医薬品を提供してくれる国と、最近ハズレばかりの欲が暴走しがちな国の場合、どちらに他国が味方に付くのかは明白であった。
ほとんどの周辺諸国が医療大国に味方をして、反対に占星国に味方をする国はいない。
そんな圧倒的な有利すぎる状況で、医療大国が負けるはずもないようであっという間に占星国の領土であった場所は占領されており、もう後は占星国の首都を残すだけである。
その為、今晩は周囲に全軍が取り囲む形で野営を取り、籠城戦になっても良い様にしっかりとした包囲網を敷いていただろう。
だが、そんな包囲網を敷いていたとしても…‥‥逃げ出す者はこっそりと逃れていた。
敗北を悟ったから逃げた?自分達だけ助かろうとして逃げた?
いや、その理由は半分正解であり半分は不正解。彼らにはまだ、この状況は想定内だったのだ。
「…‥‥だが、それでも成しとげなければ意味はない。そのための仕込みは十分か?」
「ええ、ばっちりと。あとは、それまで待つのみでございます」
まだ時間がかかるようだが、それでも後はこのまま逃げればいいだけの話。
その時が来るまで彼らは耐え忍び、機をうかがうのであった‥‥‥
「---まぁ、そのぐらいは想定内よね」
だが、そんな彼らの企み事は既に読まれていた。
何しろ、そんな事を考える輩たちの一部が捕らえられており、その情報を吐き出させられていたのだから。
「吐き出す前に、抜き取る‥‥‥うん、だいぶいい感じにできたわね。流石私の息子の身体ね」
「そんなことにご主人様の体を使ってほしくないのですガ」
「あら、もう気が付いてやってきたのね」
「常にバイタルチェック、していますからネ。そもそも私自身眠る必要が無いので、確認しやすいのデス」
はぁぁっと呆れたようにゼナが溜息を吐きつつ説明している間も、ふふっと彼女は笑う。
ここは帝国のお話部屋であり、一般人は立ち入ることができないはずなのだが‥‥‥そこには今、堂々と侵入している二人の姿があった。
「というかおかしいデス。以前はまだ実体もそこまで出せず、どちらかと言えば精神体に近かったはずですが‥‥‥ご主人様の身体を乗っ取った状態とは言え、ほぼ独立できているのは何故ですカ」
「単純に、息子の力が増加したのが原因よ。夫の血がより濃く出て力を増した分、余剰なものが出るから利用しやすくなったのよ」
ゼナの問いかけに対して軽く答えるのは‥‥‥フィーの身体にいた、青薔薇姫。
乗っ取ってはいるが、ただ単純に操った姿ではなく、自身の生前にほぼ近い姿で顕現している状態のようである。
そして今、どうやら捕らえていた組織の者達の頭をわしづかみにして、色々と抜き取っていた。
「それでも、活動できるのはこうやって余剰分の貯蓄を使っているだけに過ぎないのよねぇ。だからあと10分ほどで戻るから、その時はよろしくね」
「そこを見越しているのが、非常にたち悪いと思うのですガ」
つまり、動けなくなることが目に見えているので、ここまでやって来てくれた方が都合が良いのだろう。
ならその前にさっさと帰れと言いたいのだが‥‥‥まともに相手をした場合、敗北するので言い出せない。
「さてと、他もしっかりとやってと‥‥‥バレないように、工作お願いね」
「むぅ‥‥‥」
そう口にされ、渋々ながらも従うゼナ。
理由としては主の身の安全・情報保護の目的もあるのだが、青薔薇姫がだいぶ復活している状況がバレるのは色々と不味いというのもあり、きちんと証拠隠滅を行う。
記憶の操作関連は専門ではないのだが…‥‥一応、ある程度弄れるぐらいの技術は持っているのだ。
そういう訳で後遺症が残らないように、しっかりと仕上げておく。ゴリゴリとかバリバリとか物騒な音がしているのだが、その音に気が付く者は周囲にいない。
「でも迷惑な話よねぇ。他の人が思い描く企み事に、巻き添えになるのは嫌だわ」
「そういう巻き添えになりたくないのは、ほとんどの人が思う事でしょウ」
その言葉に対して、どの口が言うのだと思う人々は多いだろう。
だがしかし、ツッコミをいれてくれる勇者はこの場にはいない。
ある意味似た者同士だからこそ、他人事みたいな発言が出来るのであった‥‥‥
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