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5章 復讐は我にあり

5-40 感情無き者には、通用しない

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‥‥‥研究というのは、行うのに非常に時間がかかるものだ。

 やりたいものも多くあるのに、やるだけの時間や人手が足りない。

 では、どうすればその課題をクリアできるのかと考えた結果、一つの結論に達した。

「そうだ、自分を増やせば良いだけじゃないかねぇ」

 

 すごく簡単な答えだった。やりたいこともやるひとも、自分だけでやれば解決する。

 足りないのであれば、補えるだけ自分を増やし、その為の技術に関しては魔獣の研究の中で手に入れていた。



 自分の肉体を削り、培養し、新しい自分の肉体をいくつも作り上げる。

 それだけでは魂を持たぬただの肉人形なので、動かすための動力源として他者の魂を利用することを思いつき、いなくなっても良いような都合の良い者たちを捜し、引っこ抜いて入れていく。

 あとは自分という存在を上書きするだけで、それはもう自分と同じ存在であり、一人作れば二人作れ、二人作れば4人作れ、どんどん倍増していく。



 
‥‥‥気が付いたときには元の肉体は無くなっており、誰が元の自分なのか分からなくなっていた。

 でも、問題はない。どれもこれも自分であるのならば、研究に支障はないのだから。

 各々がやりたいことに手を伸ばし、人の肉体でやりきれない事であれば自分に手伝ってもらい、自己改造を施す。

 足りない材料があれば自分で狩りに向かい、好き勝手に動き回っていく。

 誰かが研究の中で命を失おうとも、それは元にした魂が逝くだけであり、自分自身の意識自体は共有され、それまでに得た知識などは失われない。


 そんな事を繰り返中で、自己改造として植物を元にした自分‥‥‥植物のメデゥイアルとして生まれたが、その目の前には今、ある自分が対象として興味を抱いていた存在もといフィーとその魔剣のメイドがいた。

 吸い取れるエネルギーは極上であり、搾りつくしてしまうのも惜しく、ちょうどいい頃合いで弱らせてタンク代わりにでもと思っていたが…‥‥どうやら、そうもいかなくなったようだ。



ズバァン!!
『おやおやおやぁ?また何か、やってくれたのかねぇ?』

 周囲を覆っていたはずの自身の根っこが切られ、その内部で起きていた変化が外に現れる。

 これまで他の自分達で、彼と彼女が合わさる事で起きていた様々なことは見てきたつもりだったが‥‥‥どうやら今回は、新しいものが出来上がった様だ。



 髪が腰に届くほど長く伸びているが、青薔薇姫のような容姿ではなく、彼自身のれっきとした青年としての姿。

 来ていた衣服はどこで着替えたのか青みのかかった黒い燕尾服に切り替わっており、びしっとした姿勢で立っているだろう。

 そしてついでに、バチバチとその周囲に電撃がほとばしっており、角は鋭くとがり、鋭い目つきは氷のような凍てつくような寒さを感じさせる。

「「…‥‥モードチェンジ、『ドラゴンバトラー』」」
『ほぅ、今回は混ざって合体したような形か。まぁ、流石に男のメイド服というのはきついだろうが‥‥‥それでなぜ、執事になるのかねぇ?』

 魔剣と少年の声が混ざったような声となっており、融合したかのような状態なのかもしれない。

 メイド要素がほぼ皆無になっていると言いたいが、仕えると言った意味ではこちらになってもおかしくはないだろう。




 とは言え、その纏う雰囲気は大きく変わっており、周囲が凍り付き始める。

「「余リ長クモタナイヨウデスノデ、スグニ終エマショウ」」

 そう言いながら彼が手を振るい、嫌な予感を感じてすぐに蔓を目の前に張り巡らせて壁とする。

 だが、何も持っていないはずのただの手刀が振るわれたはずなのに、触れてもいない状態で瞬時に切り裂かれた。

『…‥‥は?え、何今の?』

 目にもとまらぬ速さで剣でも振るったのかと思ったが、手はそのままのように見える。

 なので試すために、相手が攻撃を仕掛けてくる前にこちらから動き、全方位から襲うことにした。



ズババババアン!!

 軽く手を振られているだけなのに、触れてもいない状態で切り裂かれていく。

 しかもどういう訳か、再生も全くできず、切り裂かれたらそこで終わりとなっているようだ。

『再生できないだと…?この体は栄養を今も吸い上げているというのに、感覚もない?』
「「簡単ナコトデス。メイ‥‥‥イエ、執事タルモノ、再生スル敵ハ再生不可能ニナル攻撃がデキルモノナノデスカラ」」
『いやいやいや!?普通執事はそんなことができないよねぇ!?というか、いまさらっとメイドたるものとも聞こえかけたけど、メイド魔剣だった君の方もできていなかったよねぇ!?』
「「関係ナイ話デス」」

 そんな再生成物を瞬時に再生不可能にするような攻撃が出来る執事なんて、どこにでもいてたまるかと言いたいが、あの二人の組み合わせだといてもおかしくないと思えてしまう自分がいる。

 いや、そもそもがあのメイド魔剣自体色々とおかしいところがあるので、そこにドラゴンの力が加わってよりとんでもない事が出来たとしても、流石に限度があるとは思う。

 となると、何か別の力が加わって、そのような事が出来るようになったのか、あるいは「そうであれ」というような概念が自動的に付くようになったのか。





 何にしても、これは非常に不味いとすぐに判断する。

 概念的な攻撃でそうできるのであれば、切り裂く行為も何かを元にして容易になっており、先ほどまでの攻撃で切り裂くことも貫くこともできなかったこの硬い身体も割かれる可能性が非常に大きい。

 ここでやられたとしても、自分の知識などは別の自分へ引き継がれるので問題は特にないとは思、

「「‥‥‥イエ、無理デスネ。全部、同時ニ根絶シマスカラ」」
『---っ!!』

 抑揚のない、機械的な冷たい声にぞくぅっと悪寒を感じさせられる。

 間違いない。この目の前の相手は、わたしが、いや、わたしたちがどのようなものかをすでに理解しているのだろう。

 その概念的な攻撃を利用すれば、このわたしを倒すだけですべての私を葬り去れることを確信しており、間違いなく全てを瞬時に消し飛ばす気なのだろう。

 ああ、これだから天才的な自分の頭脳が嫌になる時がある。それが可能だと分かっているからこそ、絶望的な答えが目に見えてしまうのだから。

 だが、それもわたしに攻撃できればの話だけどねぇ。

『攻撃される前に、全部吸えばいいだけだねぇ!!忘れていたかもしれないけど、この空間全部から吸収もできるんだよねぇ!!』

 先ほどは分かりやすく囲うことでエネルギーを喰らわせてもらったが、別にそうする必要はない。

 単純に近い方が吸いやすいのもちょっとあるが、全力で離れた場所からでも周囲から吸収も可能であり、少しづつではなく一気に全部を吸い上げる。




…‥‥が、ここでわたしは気が付いた。

 それが出来ているはずなのに、違和感を感じる事を。

 さっきはごくごくと美味しいエネルギーがたっぷり喰らえたはずなのに…‥‥まったく、それを感じ取れないのだ。

『なんだとぅ!?』
「「執事タルモノ、自身ノ気ヲ操リ、幻ノヨウニデキルノハ可能デス。アナタハモウ、私達カラハ力ハ吸エズ、幻ヲ相手ニシカデキナイデス」」

 普通出来ないからなとツッコミをいれたいが、本当のことのようだ。

 感じ取れたはずの気配は今、既に何もいないものになっており、目の前にいるはずなのにいない感覚がするのだ。


「「ソレデハ、手早クチェックメイトデス」」
『ま、待て!!まだ交渉の余地がある!!お前たちだって人の命を奪うのは流石に罪悪感が!!』
「「‥‥‥残念ナガラ、ソノヨウナ感情ハ無イノデス」」

 素早く動き、防ごうとしても気が付いたときには一太刀入れられていた。

 硬い身体で覆われていたはずなのに、切れたという感覚がはっきりと感じ取らされ、次の瞬間には全ての自分が同時に切り裂かれたことを感じ取る。

 改造していた自分も、魔獣を合成していた自分も、いや、自分という魂が、意識が、その概念そのものがあっという間に切断され…‥‥そして、終わる。

『ギギャァァァァァァァァァァァ!?』

 一人だけでならば、まだ良かっただろう。その程度ならば、全ての自分が分散し、受け止めきれるのだから。

 だが、全ての自分が駄目になったことで集約され、全員の痛みが凝縮されて襲い掛かり、死という味を濃厚に感じ取らされる。

 悲鳴を上げるも、やめることはなく追撃としてさらに割かれていく。

 より細かく、二度と復活できないように丁寧に、それでいて恐怖を、絶望を、ありとあらゆる希望を打ち砕くかのように荒く切られ‥‥‥‥そして、存在が消えるのであった。








「「…‥‥コレデ、終、」」
ばしゅんっ!!
「わった…‥‥」
「デス…‥‥」

 種が全て砕かれ、その姿が目に見えなくなってひと息をついたところで、俺たちは分かれた。

 元々限界に近い状態になっていた時に無理やりやったものだから、体中に悲鳴があがっているようで、指一本動かせない状態となる。

「ぜ、ゼナ…‥‥これで、奴は消えたよな?」
「間違いないデス。生体反応消失‥‥‥それどころか、存在という概念も失われたようデス」

‥‥‥彼女の力を解放したかと思ったが、どうやら俺たちは混ざり合っていたようだ。

 そのおかげで奴がどういう者なのか理解し、後の憂いを無くせるようにしたとは言え‥‥‥凄まじい脱力感と痛みが全身から出てくる。


「わ、私の方のエネルギーも尽きかけていたので、無理やりやったツケが出たようデス…‥‥でも、不味いデス」
「というと?」
「ここ、あの腐れ外道学者が根を張っていたのですガ、それがいなくなったとなれば‥‥‥」
「あ」

 忘れかけていたが、この地下空間はあの鬼畜外道汚物学者が全て根を張っており、地上にまで伸ばしていた拠点でもある。

 そして今、そいつが消えうせたことでどうやら一緒に根っことも何もかも消え失せたようだが、その根が潜り込んでいた場所の隙間はそのままであり、あちこち無茶苦茶にやっていたのであれば‥‥‥

―――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「崩れるのかよ!?脱出しないといけ、あだだだだ!?う、動けない!!」
「私も同じく、動けないデス」

 タイミングを待っていたかのように地下空間が揺れ動き始め、天井からぱらぱらと土が零れ落ち始める。

 このままだとあと数分もしないうちに、上にある学園の重みも相まって大陥没が起こるだろう。


「というかこの状況、上も不味いよな!?」
「地下空間、想定以上に大きいですからネ。学園の周辺も被害を受けるでしょウ」

 シャレにならない事態が帝都で起きるのは、最悪すぎる。

 せめてもうちょっとどうにかできなかったかと言いたくもなるが、限界に近い状態でやっていたのだからそこまで考えていなかったのだ。

「とは言え、こんなこともあろうかと対策はしていマス」
「何かあるのか?」
「ハイ。奇跡が起これと、願うだけデス!!」
「対策になってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 自信満々そうな声で、いう事じゃないだろう。

 しかも普段色々できているゼナが奇蹟頼みになると、本当に手がないという絶望を教えられてしまった。


「まぁまぁ、落ち着いてくださいご主人様。私は常に色々と想定しており、奇跡に関しても考えているのデス。そう、奇跡とは起こるものではなく‥‥‥‥作り上げるものダト」

 そう言いながら何をするのかと思うと、彼女は手をぶるぶると震わせ、胸元から何かを取り出す。

 それは小さなスイッチのようだが‥‥‥ドクロマークがついているのは嫌な予感しか感じさせない。

「それ、何?」」
「お手軽自爆スイッチ『お仕置き大爆発D-B』デス。これひとつで巨大な爆発が起きるのですガ、これを爆破しマス」
「それでどうなるんだよ!!というか自爆な時点で駄目じゃん!!」
「ふふふふ、大丈夫デス。ちょこっと大爆発の仕方を弄ってっと‥‥‥良し、これでマグマが大放出されるでしょウ」
「余計に色々とダメなもの‥‥ン?マグマ?」

 何かこう、更に余計に嫌な予感がしてきたぞ。


「はっきり言って賭けデス。マグマは粘性が非常に高く、上に物が乗ってもすぐに沈むことはないのデス。その為、この地下空間を瞬時にマグマで埋め尽くせば地上が沈み込むまでの時間を稼げ‥‥‥完全に沈み込む前に、こちらのもう一つの水が噴き出るタイプの自爆を作動し、固めマス。そうすれば、多少ヤバい水蒸気爆発が発生しますが、固まって何とか被害が抑えられるでしょウ」
「その場合、俺たちは?」
「マグマに浸かって岩に固められますネ。まぁ、私はメイド魔剣ですし、ご主人様は半分人間とは言えドラゴン、そう容易く死なないでしょウ。うまくいって生き残れたら、回復して掘って地上に出ましょウ」
「最悪死ぬってことだよな!?ああ、でももう時間もないし、こうなりゃ死なば諸共やってしまえ!!」
「了解デス!!」

‥‥‥‥許可するのと同時に、俺たちは瞬時に熱いものに包まれるのであった。



ジュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「ごぼっべっばあ!?(熱ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?)」
「ゴボッベ(全身マグマに浸かって叫べているとは、流石ですご主人様)」
 

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