109 / 115
面倒事の拭い去りは拒絶したくとも
log-101 冷え込む中の粉雪で
しおりを挟む
―――冷え込みが日々強まり、本格的な魔冬の季節が到来を目論んでいた。
字面が「真」冬ではなく「魔」冬なのはツッコミを入れたいところだが…実は、案外間違っていないことでもあるらしい。
「ガチ目の冬将軍…いや、大雪の時にしないモンスターの出現情報があると?」
【そのようですネ。そのため、この時期討伐依頼が減少する冒険者たちは、そちらの方の討伐を優先する傾向にあるようでス】
ぱちぱちと休日の中、邸の暖炉で暖を取る中で、ファイが面白い情報を持ってきた。
【討伐対象は、なんでしょうか?】
【『ユキンコユキユキ』という、寒い時期にしか見られないという雪のモンスターですね】
―――
『ユキンコユキユキ』
ほわほわとした見た目が粉雪のような愛くるしいモンスター。
愛くるしさがあるがその見た目とは裏腹に周囲の気温をガンガンと下げまくり、一説によれば冬の寒い時期が続くのはこのモンスターが大量に湧き出てくるからではないかとも言われている。
しかも気性が荒く、近づく相手には体当たりで攻撃を行ってくる。
火には弱いために倒すのは苦労しないが、それでもそれなりの数がいるため殲滅は難しい。
―――
…ケセランパセランとかの、凶悪なバージョンかな?
とにもかくにも今は、そのモンスター討伐のために動いている人が多く、この時期だと物流とかもそこまでなく、ギルド内も暇になるため職員も少しばかり休暇を取りやすいらしい。
それどころか、ケセランパセラン討伐に向かう人もいるようで、人員が結構薄いのだとか。
「職員が討伐に向かうの?」
【倒し方が非常に楽なモンスターですからネ。ちょっと火を当てるだけで倒せますので、魔石での小さな小遣い稼ぎぐらいはする人がいるのでス】
【ああ、一応れっきとしたモンスターなら魔石があるから、それが目当てなのか】
【確かに、それなら楽そうですね…あれ、熱に弱いならファイの光線でもやれるような…】
【可能と言えば可能ですヨ。広範囲殲滅の技もあるので、一網打尽にできるかト】
やろうとおもえば広範囲に大量の光線を降り注がせ、消し飛ばすこともできるらしい。
ただ、この寒い時期の貴重な収入源にもなるため、やり過ぎないように程々にしかやらないようにと言う注意も出ているようだ。
「そりゃ、楽ならなぁ…でもちょっと、見てみたいかも」
冷える原因になるモンスターだし、気性の粗さも怖いが、見た目は愛くるしいと聞く。
少しだけであれば、その姿を見たくもなる。
【んー、その位のモンスターなら、私たちもいけば大丈夫そうですね】
【あ、ミーは留守番したいのなの。そのモンスター、知識内だと木々をかじるから大っ嫌いなの】
【我も行きたいが…このあの世の炎は冷たい方だから、逆にそいつをパワーアップさせないか不安なところがあるから、止めておこう】
【あたしは大丈夫だヨ。マスター、それならこの面子で行こうか?】
急ぐ用事も無く、出現場所も王都の付近。
なので、そのままジャックたちは向かってみることにした。
「これ、凄いもこもこしてあったかいね」
【ふふふ、しっかりとした寒さ対策のために、ジャックに寸法を合わせた防寒具を用意していましたからネ。これ、カトレアから提供してもらった『熱炎草』を仕込んでいますので、ちょっとここのボタンから、少しだけ水筒の水を流せば…】
「…なんかさらに、じんわりとした温かさが出てきたかも」
【確か、水に反応して熱を持つ薬草ですネ。火傷もしない程よい暖かさがあって、寒さが厳しい地域では高値で取引されますが、生産量が少ないものですヨ】
地域によっては貴重な薬草が混ぜ込まれているらしく、寒さに関してバッチリとした対策が出来ている模様。
この熱はユキンコユキユキにも対応できるようで、張り付かれても溶かせるようだ。
「というか、防寒具じゃなくても風呂とかにも良いかもね。湯冷めしにくそうだし、スープとか暖かい食べ物が冷めるのを利用できそう」
【実際、そのような利用方法はありまス。雪国のほうの貴族の中には、たっぷりと布団の中に入れて寒さをしのいだりするようでス】
「ああ、やっぱり」
【ですが、永遠に熱を持つわけでもなく、時間がたてば冷めますし…何よりもその冷暖によるせいなのか、ぶっ倒れてしまう方もいるようですけれどネ】
「ヒートショックが起きているのか…」
扱い方を守れば程よい暖房器具になるが、一歩間違えれば命を奪いかねないものにもなるようだ。
正しい扱い方をしっかりと心がけつつ、ジャックたちはユキンコユキユキの姿を見るために王都の外に出るのであった…
「うぉぉ…ハクロさん、今日もきれいになっているなぁ…」
「ファイさんも良いよ良いよ、あの人…人?ギルドで馬鹿やらかす人にはすっごい冷徹な目で見るのが良くて…」
「…衛兵たちに普通に許可貰えて出られたけど、ハクロ達のほうを見ていたね」
【なんか、ファイのほうに変なファンのような方が付いていないですかね?】
【正直言って、モンスターより人間のほうが業が深いなって思う時があル】
…彼女たちに対するファンも地道についてきているらしいが、大丈夫かなアレ。変な性癖の扉、開かせていないよね?
字面が「真」冬ではなく「魔」冬なのはツッコミを入れたいところだが…実は、案外間違っていないことでもあるらしい。
「ガチ目の冬将軍…いや、大雪の時にしないモンスターの出現情報があると?」
【そのようですネ。そのため、この時期討伐依頼が減少する冒険者たちは、そちらの方の討伐を優先する傾向にあるようでス】
ぱちぱちと休日の中、邸の暖炉で暖を取る中で、ファイが面白い情報を持ってきた。
【討伐対象は、なんでしょうか?】
【『ユキンコユキユキ』という、寒い時期にしか見られないという雪のモンスターですね】
―――
『ユキンコユキユキ』
ほわほわとした見た目が粉雪のような愛くるしいモンスター。
愛くるしさがあるがその見た目とは裏腹に周囲の気温をガンガンと下げまくり、一説によれば冬の寒い時期が続くのはこのモンスターが大量に湧き出てくるからではないかとも言われている。
しかも気性が荒く、近づく相手には体当たりで攻撃を行ってくる。
火には弱いために倒すのは苦労しないが、それでもそれなりの数がいるため殲滅は難しい。
―――
…ケセランパセランとかの、凶悪なバージョンかな?
とにもかくにも今は、そのモンスター討伐のために動いている人が多く、この時期だと物流とかもそこまでなく、ギルド内も暇になるため職員も少しばかり休暇を取りやすいらしい。
それどころか、ケセランパセラン討伐に向かう人もいるようで、人員が結構薄いのだとか。
「職員が討伐に向かうの?」
【倒し方が非常に楽なモンスターですからネ。ちょっと火を当てるだけで倒せますので、魔石での小さな小遣い稼ぎぐらいはする人がいるのでス】
【ああ、一応れっきとしたモンスターなら魔石があるから、それが目当てなのか】
【確かに、それなら楽そうですね…あれ、熱に弱いならファイの光線でもやれるような…】
【可能と言えば可能ですヨ。広範囲殲滅の技もあるので、一網打尽にできるかト】
やろうとおもえば広範囲に大量の光線を降り注がせ、消し飛ばすこともできるらしい。
ただ、この寒い時期の貴重な収入源にもなるため、やり過ぎないように程々にしかやらないようにと言う注意も出ているようだ。
「そりゃ、楽ならなぁ…でもちょっと、見てみたいかも」
冷える原因になるモンスターだし、気性の粗さも怖いが、見た目は愛くるしいと聞く。
少しだけであれば、その姿を見たくもなる。
【んー、その位のモンスターなら、私たちもいけば大丈夫そうですね】
【あ、ミーは留守番したいのなの。そのモンスター、知識内だと木々をかじるから大っ嫌いなの】
【我も行きたいが…このあの世の炎は冷たい方だから、逆にそいつをパワーアップさせないか不安なところがあるから、止めておこう】
【あたしは大丈夫だヨ。マスター、それならこの面子で行こうか?】
急ぐ用事も無く、出現場所も王都の付近。
なので、そのままジャックたちは向かってみることにした。
「これ、凄いもこもこしてあったかいね」
【ふふふ、しっかりとした寒さ対策のために、ジャックに寸法を合わせた防寒具を用意していましたからネ。これ、カトレアから提供してもらった『熱炎草』を仕込んでいますので、ちょっとここのボタンから、少しだけ水筒の水を流せば…】
「…なんかさらに、じんわりとした温かさが出てきたかも」
【確か、水に反応して熱を持つ薬草ですネ。火傷もしない程よい暖かさがあって、寒さが厳しい地域では高値で取引されますが、生産量が少ないものですヨ】
地域によっては貴重な薬草が混ぜ込まれているらしく、寒さに関してバッチリとした対策が出来ている模様。
この熱はユキンコユキユキにも対応できるようで、張り付かれても溶かせるようだ。
「というか、防寒具じゃなくても風呂とかにも良いかもね。湯冷めしにくそうだし、スープとか暖かい食べ物が冷めるのを利用できそう」
【実際、そのような利用方法はありまス。雪国のほうの貴族の中には、たっぷりと布団の中に入れて寒さをしのいだりするようでス】
「ああ、やっぱり」
【ですが、永遠に熱を持つわけでもなく、時間がたてば冷めますし…何よりもその冷暖によるせいなのか、ぶっ倒れてしまう方もいるようですけれどネ】
「ヒートショックが起きているのか…」
扱い方を守れば程よい暖房器具になるが、一歩間違えれば命を奪いかねないものにもなるようだ。
正しい扱い方をしっかりと心がけつつ、ジャックたちはユキンコユキユキの姿を見るために王都の外に出るのであった…
「うぉぉ…ハクロさん、今日もきれいになっているなぁ…」
「ファイさんも良いよ良いよ、あの人…人?ギルドで馬鹿やらかす人にはすっごい冷徹な目で見るのが良くて…」
「…衛兵たちに普通に許可貰えて出られたけど、ハクロ達のほうを見ていたね」
【なんか、ファイのほうに変なファンのような方が付いていないですかね?】
【正直言って、モンスターより人間のほうが業が深いなって思う時があル】
…彼女たちに対するファンも地道についてきているらしいが、大丈夫かなアレ。変な性癖の扉、開かせていないよね?
41
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
異世界転移は分解で作成チート
キセル
ファンタジー
黒金 陽太は高校の帰り道の途中で通り魔に刺され死んでしまう。だが、神様に手違いで死んだことを伝えられ、元の世界に帰れない代わりに異世界に転生することになった。
そこで、スキルを使って分解して作成(創造?)チートになってなんやかんやする物語。
※処女作です。作者は初心者です。ガラスよりも、豆腐よりも、濡れたティッシュよりも、凄い弱いメンタルです。下手でも微笑ましく見ていてください。あと、いいねとかコメントとかください(′・ω・`)。
1~2週間に2~3回くらいの投稿ペースで上げていますが、一応、不定期更新としておきます。
よろしければお気に入り登録お願いします。
あ、小説用のTwitter垢作りました。
@W_Cherry_RAITOというやつです。よろしければフォローお願いします。
………それと、表紙を書いてくれる人を募集しています。
ノベルバ、小説家になろうに続き、こちらにも投稿し始めました!
キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。
とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。
…‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。
「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」
これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め)
小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
努力をしらぬもの、ゆえに婚約破棄であったとある記録
志位斗 茂家波
ファンタジー
それは起きてしまった。
相手の努力を知らぬ愚か者の手によって。
だが、どうすることもできず、ここに記すのみ。
……よくある婚約破棄物。大まかに分かりやすく、テンプレ形式です。興味があればぜひどうぞ。
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる