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第1章:幼少期~少年期前編

34話 第三者のつっこみも、しっかりあるようで

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SIDEエル

‥‥‥解呪されて、元の姿に戻ったタマモ。
 その姿は一気に成長していたが、同時に力も増していたらしく、エルは危うく抱きしめ殺されかけていた。
、何とか助かって落ち着いたところで、彼女の今の状態について改めて鑑定魔法で調べることにした。

 呪いが解けた今、記憶に関しても全て戻っているので自ら話してもらうことも可能だが、まずは正確な情報を手に入れたい。
 というか、締め付け殺されかけた今、力とか正確に把握しないと本気で死ぬ。

「えっと、鑑定しても良いよね?」
「問題ないのじゃ。知りたいのであれば、隠さぬ方が良いからのぅ」
「締め付け殺しかけるのは私も経験ありますけど、やり過ぎですよ」
「ぎっちぎち、帝国出来ないようにしているから、色々探ってOk」

 ハクロとカトレアが盛大に彼女を縛り上げつつ、彼女達はそう口にしあう。
 抱きしめ殺しかけたという事で拘束したようだが、そんな状態にツッコミをいれると疲れそうなのでスルーしつつ、同意も得て鑑定魔法をかけることにしたのであった。

「『鑑定』…なるほど」

――――――
種族名:金妖狐獣人
仮称名:タマモ
正式名称:黄金狐様(祀られている立場ゆえの名称。真名が付けられていない状態のままで、望めば仮称が真名となる)
状態:「未完妖狐」「ラッキー祭り」
称号:「異界の妖狐の子孫」

「未完妖狐」:異界の獣人とも、妖怪ともいわれる「妖狐」という種族の力が大きく出ている状態。変化、発火など妖術と呼ばれるものが使用可能となっており、封印によって力が抑圧されていた分、解呪された今は大幅な強化となっている。ただし、完全な妖狐としては覚醒していないがゆえに、これでもまだ抑えられている状態なため、未完として評価されている。
「ラッキー祭り」:アンラッキーの呪いが解呪されたことによって、ついていなかった分運気が上乗せされ、幸運になりやすくなっている状態。一時的なものだが、通常時よりも幸運が舞い込みやすくなる。

「異界の妖狐の子孫」:過去に別の世界から流れ着いた妖狐と呼ばれる種族と、この世界の狐獣人との間に生まれた子全般を指す。ただし、「妖狐」としての力は全ての子孫に出るわけでもない、
なお、力が強いほど尻尾の本数が増えて9本が最大となるのだが、9本目を生やすには少々条件が必要っである。
――――――

「‥‥‥異界の妖狐の子孫?」

 何だろう、思いっきりすごい気になる称号が出てきた。異界のというか、こういう名称は前世のせかいのほうが、ゲームや漫画でよく聞いたことがある。
 そう考えると、この異界には前世の世界が当てはまっていそうだが…なぜ、こんなものが彼女にあるのだろうか。

 そう思っていると、タマモが何かを知っているようで、事情を話してくれることになった。

――――――――
…そもそもの事の起こりは、言い伝えによると数百年ほど昔。
 当時、タマモのご先祖様は普通の狐の獣人だったそうで、全員のんびりと平和に暮らしていたそうだ。

 だがしかし、ある時どこからかやって来た特殊な狐の獣人が来訪した。
 その狐の獣人は、どうやらこの世界の者ではなく、別の世界のニポンと呼ばれる所から流れ着いたと話しており、自分と似たような見かけの者たちが住まうところを見て、興味を持ったらしい。
 その獣人は不思議なことに、当時の他の獣人たちには無い特徴として…妖狐と呼ばれるような力を持っている者だった。

 その力は、使いようによっては火を吐き、幻覚によって人々を惑わし、魔法とは違う理の力ゆえに防ぐこともできず、様々な不思議な力を見せてくれたらしい。
 とは言え、迷惑をかけてくるようなところもなく、そんな力を持っている以外は他の狐の獣人と大差もなかったようで、別に迫害されるような事はもなかった。
 それどころか、その先祖たちがいた村を守ったりして、村の守り神として祭られもしたそうである。

 そして、いつしか他の狐の獣人と恋に落ちてしまったようで、しっかりと子孫を残していったそうな。




 そんな不思議な伝承と、その子孫は地道に祀られていく中、数十年ほど経過してから、その狐の獣人たちの力に見せられた者たちが集まり、調べていく中で、とある事実が判明した。

 それは、その妖狐の子孫には、同じような妖狐としての力を扱うことが可能な者が出てきたということである。
 人には無い、不思議な妖術を扱える力という事もあって、他の狐の獣人たちにとってあこがれの対象となり、他の種族たちからは物珍しく見られたりしたそうである。
 けれども、なぜか悪い心を持つ者には発現せず、また子孫だからと言って必ずしも全員が妖狐としての力を持つこともなかった。
 ゆえに、妖狐としての力を持つ者は、先祖代々伝わる力の継承者であり、その地域の守り神のような存在という事で、美しい黄金のような毛並み色も持っていたことから、安直だが黄金狐様として祀られて大切に育てられていたらしい。




 そんなある時、とある国が妖狐の話を聞き、目を付けた。
 それが、近くにあった国、クラスタ皇国である。

 皇国は妖狐の能力を知り、その妖としての力は国の自衛のために十分役に立つ手段として考え、重用して大切に扱い、いざという時には互いに助け合うようにしていたそうである。
 悪しき方面に使うよりも、仲良くしておいた方が得が良いと考えていた者たちが多かったおかげで、結果として妖狐としての力を持つ狐の獣人たちは皇国へ住み着き、良好な関係を築いていたそうだ。



 そんな関係が構築されている中でも、気が付けばいる悪しき者たちが、悪用方面で妖狐としての力を利用しようとたくらみ始めた。

 火を吐いたりすることに関しては、そこはどうでもいい。妖術だろうとも、魔法でも似たような事を行うことは簡単なのだから。
 妖狐の持つ力の中でも、彼らが目を付けたのは、妖術の中にある幻覚を見せて惑わせる能力に対して、悪しき者たちは目を付けたのである。

 もちろん、その類に関しても魔法で似たようなものがあるが、妖術によって作られる幻覚は別物だった。
 ただごまかすだけなのが魔法なのだが、妖術では質量や性質までもが完全に同じにできたのである。
 
 例えば、金の延べ棒を幻として出しても質量があったりするので、妖術で見せて取引して設けたり、人の姿を変えることによって毎晩変わった女を楽しむなどのあくどい使用方法を、彼らは悪い頭で考えてしまったのだ。
 そして、更なる悪用を企んだ者たちが出てきて蠢き始めたことで、次第に皇国内は妖狐の力を持つ者たちにとっては、過ごしにくい国へと変わり果てた。


 ゆえに、こんなところにはいられないと、妖狐の力を持つ者たちは国へ申し上げた。
 さらに、年々脅しなどもかけようとしてくる動きも読み取れたために、これ以上、野心などに巻き込まれるのはごめんであり、やらかしてくるのであれば、この国そのものを皆で協力して消し去ってしまうぞと脅しをかけたのである。

 流石に皇国も悪しき者たちも、妖術の恐ろしさを知っているがゆえに、そう告げられては、従うしかない。たとえ、力で押さえつけようとしても、兵士たちを変化させられて使い物にならない状態に変えられたりするのだから‥‥実際に、ある戦争では妖狐が人々を蛙に変えてしまったりなど、やったことはあるらしい。

 ゆえに、タマモたちの皇国内での地位は安定し、ちょっかいを賭けられるようなことも無くなった。
 別に不相応な出世も興味はなく、ただ真面目に過ごし、妖狐としての力を持つ者は黄金狐様として平和に祀られ続けたのだ。


 そんな事もあったというのに…年月が経てば、喉元過ぎれば熱さを忘れるというように、あの屑貴族デボブリン=B=ミッシェライドという人物は現れ、妖狐の力を知って悪しき野望を抱いたのである。

 だがしかし、そんな馬鹿な輩に対してタマモたちはNOと告げた。

 皇国の上層部もさすがにこれ以上やらかされたら困ると言って、咎めたのだが…‥‥それは何の意味もなさなかった。
 野心溢れ、邪悪に満ちた屑野郎には、普通は考えたらやらないようなことも平然と遣らかすように、常識は通じない。
 そしてある時、野心溢れる大馬鹿野郎はある事を思いついた。

「そうだ、だったら奪えばいいのか」

 何の因果なのか、こういう奴らに限って、呪いに関しての技術に長けているものたちを使役することが出来ており、金でさらに強力なものを雇うことすら可能だった。
 その中に、相手の能力を奪い、己のモノにしてしまう呪いを扱えるものがいたのだ。
 だがしかし、制限がなければとんでもない類のものになっただろうが、そんな便利なものには当然ながら制約や代償が存在しており、好き勝手に扱えるようなものはない。
 その呪いの条件に大抵あるような‥‥「他の呪いとの影響によって、対象に死がおとずれなければならない。ただし、直接呪い殺すようなものでは不可能」などがあげられたらしい。 

 ゆえに、足りない頭の中身を使って、デボブリンは考えた。

 まず、妖狐の力を持つ者たちの中から、奪った時にもっとも強そうな能力を持つ対象を定めた。
 その対象として定められたのがタマモだったのである。
 けれども、妖狐としての力がある影響なのか、どうも呪いに関しての耐性が非常に高く、そんな都合の良い呪いをかけることは厳しかった。

 そこで、弱体化させてから呪いをたっぷりかけてしまえばいいと屑は思いついた。

 どんな強者でも隙があり、その隙を突かれ…‥‥まずは記憶を奪う呪いを使うことで、でタマモの記憶を封じ、すばやく対策に講じられることを防いだ。
 呪いにある程度耐性があったが…‥‥それでも、その呪いだけはひときわ強力なものにして、その耐性すら打ち破り、かけられたようだ。

 そして記憶を封じた後、様々な呪いをかけまくり、何重にもして弱体化をさらに強めたのである。
 これで、後は天に身を任せれば、呪いによって不幸が襲い掛かり、能力がダウンし、身体的にも幼い少女が生き延びることができないと考えつつ、念には念を押して、国外へ出た後に、あの森へタマモを放置したそうだ。

 ゆっくりと亡き者にしてしまえば、あるいは極限にまで命を削ってしまえば、その妖狐の力を手中に収められると考え‥‥


――――――――

「そして、ゴブリンに犯されそうになっていたんじゃよなぁ‥‥」

 話し終え、しみじみとそうつぶやきつつ、一息をつくタマモ。
 口調が変わっているのは、こちらが本来の彼女のものらしい。妖狐になった者たちは非常に長い年月を姿が変わらぬまま過ごすことが可能らしく、実年齢は知ることができない。

 というか、流石に女性の年齢を鑑定するのは不味いかなと思ってしなかっただけだったりする…やったらどうなるのか、ブラック企業で相手の年齢を盛大にばらして、袋叩きになる同僚がいたからわかっているのd。

 そんな事も考えている間に、タマモは耳をピコピコ動かし、真っ直ぐ此方へ向いた。

「何にしても、この件で、すでに一族の者はあの屑がやらかしたことを理解したじゃろうな。この身が戻り、色々とやりつくした今、隠蔽すら不可能じゃろう」
「となれば、次に予想できるのは」
「皇国からの離脱ですかね?」

 タマモの言葉に、エルたちは予想が付いた。
 流石にこう悪しきものに狙われたことが起きてしまったのであれば、もう居つくのは無理だろう。
 例え頼まれたとしても、やる気もないし、元々何もなくとも適当に暮らせた一族だったので、今更国から出て放浪しても大丈夫だそうだ。

「とはいえ、皇国の方から追っ手などが来そうだよね」
「ふふん、そのあたりは問題ないのじゃ。元から手を出してきたのはあの屑の独断とはいえ、それでも皇国の貴族であった者。ゆえに、そこから訴えて手出しできにくいように細工を仕掛けつつ、妖狐の力を持つ者たちで、妖術でドロンパッパと煙のように消え失せるのみじゃよ」

 にやりと笑いながら言うそう告げるタマモ。その顔は明らかに悪だくみたっぷりで、妖狐という言い方が正しくあっているような感じである。
 煙に巻いて逃げるという言葉のように、彼女達の一族は国から出ることが、決定するようだ。

「でも、一族の元へ戻る気はないのぅ」
「え?」
「わっちというか、この素の状態をさらけ出しにくいから…そもそも礼儀にうるさい爺やに婆やもおったし、名前が無くてずっと黄金狐様として称えられているせいで、ややこしい事もあったのじゃよ。力が強い分、余計に厄介でな‥‥単純に元々の一族での優位な方にいただけというにすぎぬが…‥‥何にせよ、今はもうただのタマモじゃ」

 にかっと笑い、エルに笑顔を彼女は向ける。

「わっちはもう、一族からも国からも抜け、何にもないただの妖狐の獣人。何もかも忘れ、森でさまよい、エルに助けられ、タマモという名を与えられた者にすぎぬ。ゆえに、わっちは決めたのじゃ」
「決めたって、何を」
「そりゃもう、わっちは戻らぬと決めたし、助けられ、名も与えられ、家族として接してくれた……エルの家族になると、決意したのじゃ!」

 ぐっと指を立て、そう宣言するタマモ。
 絶縁とまではいかなくとも、黄金狐として祭り上げられている日々も、非常に退屈だったらしい。
 なので、一族が今回の件で国を出るだろうが、その道とは違えることを決めたようだ。

「‥‥‥あと、エルの将来が少々心配で見離せないというのもあるがのぅ。あの解呪魔法、やり過ぎでこの先絶対に何かやらかすとしか思えないのじゃよ」
「わかります、わかりますよ。エルって何か絶対に大きなことをやらかしそうですもんね」
「ふみゅっ、私が産まれる原因にもなったし、本人が頑張っても、絶対にをやらかして、騒ぎを起こすしか思えない」

 ちょっと耳と尻尾を垂れてそうつぶやくタマモに同意したハクロとカトレア。
 あまりの言いように、色々と台無しにされたような気がするのだが‥‥否定できない。


 強く言えないのは、なんか悲しいというか、彼女達は僕のことを何だと思っているのか‥‥‥


――――――――――――――――――――――――
SIDEタマモ

 とりあず、今晩は遅いということでエルたちは家へ戻り、寝ている母にばれないようにこっそり侵入して、部屋に入った。
 事情説明は翌朝にするつもりだが、今はもう眠いので布団まっしぐらである。

 そんな中で、タマモは与えられている部屋に入り、ベッドに横になった。

「‥‥‥にしても、今日は色々あったのぅ」

 枕に頭を乗せ、尻尾は妖術で寝やすいように本数を減らしたところで、そうつぶやく。
 呪いをかけてきた貴族に報復し、エルに全てを話した。
 もし、彼が妖狐という力に魅力を感じ、屑貴族と同じように見てきたら嫌であったが、その心配はいらなかったようだ。
 その目はいつも通り、家族に接するように変わらない目であった。

「まぁ、そもそもあやつが権力欲などに溺れるとは思えぬ。ゆえに、一番安心な人物でもあるのじゃ」

 そうつぶやき、瞼を閉じて彼女は眠りにつく。

「‥‥‥でも、ただの家族と言うのは残念じゃ。まぁよい、将来的にエルが大きくなったその時は、夜の相手をしてもらうかのぅ。尻尾、最大本数を増やすには、純潔を捧げる相手が必要というモノがあるからのぅ…まぁ、増やす増やさないの話はどうでもいいが‥‥」

 眠る前にそう考えてつぶやき…‥‥なんとなく、身体が少し熱くなったような気がしたのであった。
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