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7章 死がふたりを分かつまで
7-2 付け入るスキは、与える気も無し
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‥‥‥挙式を挙げて、一年が経過していた。
少々余計な入れ知恵も時たま仕込まれつつ、夫婦関係にひびは入らずに蜜月も過ごせて、順風満帆な毎日を送れているのは、幸せである。
幸せな分、その穴埋めが来そうな気がして怖いと思う部分もあるのだが、その穴埋めは幼少期の頃やあの滅茶苦茶疲れた数多くの騒動がやってくれたと思いたい。
そして今、もう一つ幸せが舞い降りようとしていた。
「ふむ、結果を見る限りじゃと確定じゃな。しかも‥‥‥」
「「しかも?」」
「双子じゃな。おめでとう、新しい命が宿っているのじゃ」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「やりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドマドン所長の言葉を聞き、僕らはそろって嬉しい声を上げる。
本日は久しぶりに研究所に訪れてハクロの身体検査を受けていたのだが、その身体検査の中で一つ妙な反応があるという結果が出て精密検査を受けることにしたのだが、悪い知らせではなくはるかに超えるいい知らせを聞くことが出来た。
どうやら今、ハクロのお腹に双子の赤ちゃんが出来ていたようで、子供を授かることが出来たようである。というか、お腹の中に普通にできたってことは、一応彼女は今胎生ってことで良いのだろうか?
「とはいえ、油断は禁物じゃから落ち着くのじゃ」
「「はい!!」」
ドマドン所長の説明によると、今回の検査結果では確かにハクロのお腹に新しい命が宿っていることはほぼ確定らしい。
とはいえまだまだ妊娠初期の段階でもあり、ここでやらかせば流産のリスクが非常に高いようだ。
「あとはのぅ、本当に胎生になりきっているのかというのも問題じゃ。昔と比べるとほぼ人型になったとはいえ、内臓のあちこちは人ならざるものなのは変わりないし、内部で子供が健やかに成長できるのかという問題もあるのじゃ。そもそも、人なのかモンスターなのか、それともまた別の何かかという事もわかぬのじゃし、ここで喜び過ぎて何かあったら、お主ら速攻で自殺しそうなので釘をさしておくのじゃ」
「いや、流石にそこまでしない‥‥‥のかな?」
「キュル、アルス生きている限り、私も生きるけど、自殺されたら後追うかも」
とりあえず今のところは、まだ不安な面も大きいので飛翔して帰宅せずに、ゆったりと馬車を利用して帰宅したほうが良いようだ。
いや、馬車の揺れ自体も現在だいぶ改良が進んでおり、酷いものが失せているとはいえ、乗り物に長時間乗って向かうのはそこまで良くもないので、安定するまでここで過ごしていたほうがいいかもしれないという提案を受けた。
何しろ、モンスター研究所は不測の事態に備えていろいろできるようになっているからこそ対応しやすいし、母体の安定まで快適に過ごせるのは約束できる。
ついでに言うのであれば、夫婦になってからもあちこちの事業に手を出して色々と成功しており、通信関係の魔道具に関連も発達させたので、自領におらずとも仕事は可能ではあるのだ。領民たちとちょっとあえなくなるのは寂しいが、それでも安定すればすぐにでも帰ることは可能だろう。
「それなら、しばらくここに滞在させてもらう方が良いかも。ドマドン所長、大丈夫ですよね?」
「うむ。問題ないのぅ。儂としては孫のようなものがひ孫を誕生させるようなものじゃし、見届けるまでは全力で応援するのじゃ」
ぐっと指を立て、そう告げるドマドン所長。
見た目がいくら瓶底メガネ幼女とは言え、中身の方の年齢を考えるとかなりの御年でもあり不安が無いわけではない。
だからこそ悔いが無いように過ごしているそうだが、そのためにも僕らに確実に子供を無事に授けることができるように動きたくもなったらしい。
「キュルル、それじゃ、お願いします、ドマドンおばあちゃん。子供がしっかり生まれる時まで、頑張ります」
「うむ、頑張るのはお主だけではなく、そのお腹の新しい命もじゃけどな。何にしても、絶対に万が一が無いように、しっかりとこちらもサポートをするのじゃ!」
まさかのハクロの妊娠発覚と、安定期までの滞在となったが、それでも無事に過ごせそうであった…‥‥
「ところで一つ良いかのぅ?」
「なんですか?」
「何、たいしたことでもないのじゃが妊娠初期段階のまだ予断を許さぬ時期なのじゃが、妙な点があるのじゃよね」
「妙な点?」
「やけに安定しているというか、不安な要素が極端に少なすぎるのじゃよ。そもそもここへ来る前にも動いていたろうし、宿っているのであれば不調とかもあっておかしくないのじゃけれども、精密検査の結果じゃと過ごし健康体でもある点が気になるのじゃよね」
‥‥‥あ、それってもしかしてあれか?機械神から直接貰った加護に、確か関わるのがあったような。それのせいで発覚がちょっと分からなかったけれども、そうだとするなら不安はない‥‥‥のかな?
少々余計な入れ知恵も時たま仕込まれつつ、夫婦関係にひびは入らずに蜜月も過ごせて、順風満帆な毎日を送れているのは、幸せである。
幸せな分、その穴埋めが来そうな気がして怖いと思う部分もあるのだが、その穴埋めは幼少期の頃やあの滅茶苦茶疲れた数多くの騒動がやってくれたと思いたい。
そして今、もう一つ幸せが舞い降りようとしていた。
「ふむ、結果を見る限りじゃと確定じゃな。しかも‥‥‥」
「「しかも?」」
「双子じゃな。おめでとう、新しい命が宿っているのじゃ」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「やりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドマドン所長の言葉を聞き、僕らはそろって嬉しい声を上げる。
本日は久しぶりに研究所に訪れてハクロの身体検査を受けていたのだが、その身体検査の中で一つ妙な反応があるという結果が出て精密検査を受けることにしたのだが、悪い知らせではなくはるかに超えるいい知らせを聞くことが出来た。
どうやら今、ハクロのお腹に双子の赤ちゃんが出来ていたようで、子供を授かることが出来たようである。というか、お腹の中に普通にできたってことは、一応彼女は今胎生ってことで良いのだろうか?
「とはいえ、油断は禁物じゃから落ち着くのじゃ」
「「はい!!」」
ドマドン所長の説明によると、今回の検査結果では確かにハクロのお腹に新しい命が宿っていることはほぼ確定らしい。
とはいえまだまだ妊娠初期の段階でもあり、ここでやらかせば流産のリスクが非常に高いようだ。
「あとはのぅ、本当に胎生になりきっているのかというのも問題じゃ。昔と比べるとほぼ人型になったとはいえ、内臓のあちこちは人ならざるものなのは変わりないし、内部で子供が健やかに成長できるのかという問題もあるのじゃ。そもそも、人なのかモンスターなのか、それともまた別の何かかという事もわかぬのじゃし、ここで喜び過ぎて何かあったら、お主ら速攻で自殺しそうなので釘をさしておくのじゃ」
「いや、流石にそこまでしない‥‥‥のかな?」
「キュル、アルス生きている限り、私も生きるけど、自殺されたら後追うかも」
とりあえず今のところは、まだ不安な面も大きいので飛翔して帰宅せずに、ゆったりと馬車を利用して帰宅したほうが良いようだ。
いや、馬車の揺れ自体も現在だいぶ改良が進んでおり、酷いものが失せているとはいえ、乗り物に長時間乗って向かうのはそこまで良くもないので、安定するまでここで過ごしていたほうがいいかもしれないという提案を受けた。
何しろ、モンスター研究所は不測の事態に備えていろいろできるようになっているからこそ対応しやすいし、母体の安定まで快適に過ごせるのは約束できる。
ついでに言うのであれば、夫婦になってからもあちこちの事業に手を出して色々と成功しており、通信関係の魔道具に関連も発達させたので、自領におらずとも仕事は可能ではあるのだ。領民たちとちょっとあえなくなるのは寂しいが、それでも安定すればすぐにでも帰ることは可能だろう。
「それなら、しばらくここに滞在させてもらう方が良いかも。ドマドン所長、大丈夫ですよね?」
「うむ。問題ないのぅ。儂としては孫のようなものがひ孫を誕生させるようなものじゃし、見届けるまでは全力で応援するのじゃ」
ぐっと指を立て、そう告げるドマドン所長。
見た目がいくら瓶底メガネ幼女とは言え、中身の方の年齢を考えるとかなりの御年でもあり不安が無いわけではない。
だからこそ悔いが無いように過ごしているそうだが、そのためにも僕らに確実に子供を無事に授けることができるように動きたくもなったらしい。
「キュルル、それじゃ、お願いします、ドマドンおばあちゃん。子供がしっかり生まれる時まで、頑張ります」
「うむ、頑張るのはお主だけではなく、そのお腹の新しい命もじゃけどな。何にしても、絶対に万が一が無いように、しっかりとこちらもサポートをするのじゃ!」
まさかのハクロの妊娠発覚と、安定期までの滞在となったが、それでも無事に過ごせそうであった…‥‥
「ところで一つ良いかのぅ?」
「なんですか?」
「何、たいしたことでもないのじゃが妊娠初期段階のまだ予断を許さぬ時期なのじゃが、妙な点があるのじゃよね」
「妙な点?」
「やけに安定しているというか、不安な要素が極端に少なすぎるのじゃよ。そもそもここへ来る前にも動いていたろうし、宿っているのであれば不調とかもあっておかしくないのじゃけれども、精密検査の結果じゃと過ごし健康体でもある点が気になるのじゃよね」
‥‥‥あ、それってもしかしてあれか?機械神から直接貰った加護に、確か関わるのがあったような。それのせいで発覚がちょっと分からなかったけれども、そうだとするなら不安はない‥‥‥のかな?
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