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2章 学園初等部~
2-14 楽しく出来ているのは良いのだが
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…‥‥水泳の授業で一生懸命遊び、非常に疲れた晩。
寮の自室で、アルスはぐっすりと眠っており、ハクロも小さくなる薬で体を縮め、枕になって眠っていた。
【‥‥‥キュルゥ?】
っと、ゆっくりと眠っていたハクロは、ふと何かを感じ取り目を覚ました。
辺りはまだ暗く、そとは月明かりが差し込むぐらいで良く見えるわけでもない。
けれども何となく、何か起きたような気がしたのだ。
【キュルル】
疑問に思いつつも枕となっている今は動く訳にもいかないし、何か調べてもすぐに分かるわけでもない。
なので、何かを感じたことなどを忘れて、また眠りに就くのであった……
「今日も水泳の授業があるはず‥‥‥だったんだけどなぁ」
‥‥‥朝になり、朝食を僕らは取っていた。
本日の予定を確認しつつ、午後からまた水泳の授業がある事を見て彼女が喜び、ちょっと楽しみにしていた。
だがしかし、その楽しみは突然奪われてしまった。
朝食後、午前中の授業を受けに向かおうとしたところで、突然飛び込んできた緊急のお知らせ。
学園の特大掲示板にでかでかと何が起きたのか詳細に書かれたものがあったが‥‥‥その内容を見て生徒たちも僕らもそろって溜息を吐いた。
【キュルルルゥ‥‥‥】
「ダンジョンの生成確認、か…‥‥」
そう、水泳の授業に使っていたプールの施設。
そこに何と、ダンジョンという代物が出現してしまい、飲み込まれて使えなくなったという知らせである。
――――――――――――――
『ダンジョン』
迷宮などと呼ばれる摩訶不思議な生成物であり、いつどこにどのようにしてできるのかということが予測できない代物。
その内部はダンジョンによって様相が異なれども、外見ではありえないほどの空間が広がっており、様々な資源が産出される。
だがしかし、その代償というかのように強力なモンスターが跋扈していたりするので、常人が知らずにはいれば命を落としかねない危険物でもある。
―――――――――――――――
モンスター研究科目でも、ガルバンゾー先生の授業中に聞いた説明を思い出し、僕らはそろって再び溜息を吐く。
というのも、このダンジョンは普通の人が立ち入れない物になっているので、当然プールが使用不可能になったということなのだ。
【キュルルゥ、キュルル】
「うん、悲しいよねハクロ‥‥‥でも大丈夫、直ぐに国がどうにかしてくれるはずだよ」
ダンジョンというのは無限の資源の宝庫とも言われるが、その代償と言うようにモンスターが中からあふれ出てくるケースもある。
なのでその対処のためにも国が素早く動き、騎士団で制圧するなど様々な手段をもって抑え込むらしい。
もちろん、適切に抑え込まれたダンジョンはその後は管理下に置かれ、資源採掘所となるらしいのだが、その際に何とかして飲み込まれたプール施設も救い出されるだろう。
それまで待てばいいだけの話だが‥‥‥まぁ、こういう事は国に任せるしかあるまい。
僕らのような素人が入れるようなところでもないからね。
「にしても、異世界だなぁと思うところはあったけど‥‥‥挑みに行く必要が無いのも良いか」
異世界転生物と言えば、そう言う類に挑む話もあるだろう。
もちろん、このダンジョン自体もうまくいけば一獲千金のチャンスはあるようで、冒険者と呼ばれるような人たちが命がけで挑み、富や名声を得るという歴史もある。
だがしかし、それはあくまでも成功を収めた時の話であり、ほとんどの場合は大失敗して全滅するそうだ。
なので、無駄な犠牲を出さないように簡単に入れないようにしているという話もあるが‥‥‥わざわざ僕らが向かうようなこともないし、大人しく待てばいいだけだ。
転生したからってダンジョンに挑みに行く必要はない。することもできないし、するだけの力もないからね。
「とりあえずハクロ、国が何とかしてくれるまでプールは我慢しようか」
【キュルルゥ】
「我慢できないなら‥‥‥あ、そうだ。タライに水を張って、小さくなる薬でちょうどいいサイズになって泳ごうか?その手が使えるよね」
【キュル!?‥‥‥キュルルゥ♪】
それは盲点だったというように、一瞬驚いたハクロだったが直ぐに考え、提案を嬉しそうに受け入れるのであった。
‥‥‥あ、でもタライと水が必要だけど、それって基本風呂場じゃないと用意できないな。
ハクロの糸を利用して容器ぐらいは出来そうだけど、水の方は無害な薬でも生成して、地道に貯めればいいか。うん、場合によっては薬湯モドキになるけど、楽しめそうならいいかもね。
緑色のプールはちょっと見た目的にも悪いし、ピンクとかそういうのにしつつ、寮内で濡れていたら変に思われるだろうし、さっさと乾かす手段も用意すれば完璧かな。
‥‥‥昼頃になり、帝国の王城内で皇帝は状況報告を聞いていた。
「…‥‥ダンジョンが生成されたか。まさか、帝都の防壁横に作られるとはな」
「自然生成されるからこそ、防止策が無いですからね。直ちに騎士団を向かわせ、被害が出る前に鎮静化をするようにしています」
皇帝の命令を受け、臣下の者たちは動く。
ダンジョンはうまく扱えばそれこそ国に巨万の富を生み出すが、その富を生み出す前に被害を出されては元も子もない。
各地にダンジョンを利用したダンジョン都市が発展していたりはするのだが、失敗すれば周辺が廃墟になりかねないリスクもあるのだ。
今のところは帝国直属の騎士団を向かわせて制圧中ではあるが、順調に進み数日もあれば抑え込めるらしい。
「しかしな‥‥‥まさか、帝都郊外にダンジョンの生成の報告を受けた時からそう間を置かずにして内部の方に来たか…‥‥今年はついていないな」
ダンジョンの生成自体は、そもそも稀な物。
帝国の歴史が長いからこそ各地にダンジョン都市が点在しているのだが、それでも普通は数年に一度ほどの珍しさなのだ。
「何にしても、プールを潰されたのは痛かったな…‥‥ぐぅ、今年はまだ、入っていないというのに」
どこかズレているような気がするが、おかしい話ではない。
帝都のプールは実は皇帝もお忍びで妃と利用することがあって楽しんでいたのだが‥‥‥もうじき入れる機会があると楽しみにしていたところでのダンジョン生成である。
悔しいというか、間が悪かったというか、最悪な生成時期であり、その産まれる時期をずらすのは無理でも、場所をもう少しどうにかして欲しかったと皇帝は心の底から思うのであった。
「それと、皇帝陛下。間諜からの報告です」
「なんだ?」
「本日は水泳の授業が中止されたことにたいしてハクロが悲しんだことを受け、彼女の主が小さなプールを自室内で作り上げ楽しんでいたそうです。その際に、薬の精製能力を確認したそうですが、それでもまだ小さいプールなのがちょっとだけ不満そうな顔をしていたのを受け、間諜たちがより早い制圧によって彼女をプールで思いっきり楽しませてあげたいという報告がありました」
「‥‥‥思いっきり私情が入りまくっているな」
…‥‥安全なモンスターであると公表したのは良いのだがそれでも不安などもあって監視の目が付いている。
だがしかし、その監視の目が思いっきり監視対象に情が移りまくっているのは問題ではないかと皇帝は思った。
詳細に書き記した報告書を渡され、それに目を通し‥‥‥皇帝はふと思った。
「入っても安全なぐらい、彼らには悪意もないようだが‥‥‥この発想は無かったな。確かに、小さなタライであれば体を小さくする薬とやらでも十分な広さを確保できるか。むぅ、この情報はまだ漏らさないようにしろ」
「はっ」
体を小さくする薬も、有用性は非常に大きい。
その他にも様々な薬の生成事例を知りつつも、無理やりに聞き出すことはないが‥‥‥こうやって見ていると、どことなくもどかしいようにも思えてしまう。
「様々な薬が可能という事は、胃薬に頭痛薬も可能ということが考えられるからな‥‥‥出来ればどうにかして、話をしたいが‥‥‥先ずはダンジョンの方から考えるか」
欲しい物が目の前にあるのに、それがすぐには手に入らぬもどかしさ。
何にしても、ダンジョンを出来るだけ早く掌握してもらってからでも、その話しを彼から何とかしてもらえるようにできないかと、皇帝は模索する。
「‥‥‥まぁ、一人で考えても案は出ぬし、妻に相談してみるか」
そうぽつりとつぶやき、皇帝は正妃の元へ向かった。
今回ばかりは流石に怒られるような案件は無いのだが…‥‥果たして、良い案が出るのかどうかは分からない。
…‥‥けれども、皇帝のこの判断は、正しかったらしい。
数時間後にはある程度のやり方を見つけることができ、ダンジョン制圧の報告も受け、一気に肩の荷の幾つかが下りたかのような爽快感を味合うことになるのであった。
「ああ、相談してよかった。うまくいけば取引も可能となり、城内の者達の負担も減るだろう」
自分の健康も考えつつ、城内で働く臣下たちのことも考え、そうつぶやく皇帝。
そしてそんな彼を見て、にこにこと笑う正妃。
「ええ、そうでしょう。妻たるもの、夫である皇帝を支えるのは当たり前ですものね。‥‥‥それと、一つ聞いてもいいかしら」
「なんだ?」
「その子の精製能力とかで色々と気になるところがあるのだけど…‥その芝居を打つために、その場に出ていいかしら?」
「…‥‥まぁ、良いだろう。彼らに悪意などが無いのは確認済みだ」
何か気になったが、一緒にいても問題はないはず。
そう思い、皇帝はそう返答したが…‥‥正妃の方は何か思うような顔をしていたのであった。
「様々な薬の精製‥‥‥これってあれよね?チートっていうモノに近いわよね…‥‥」
寮の自室で、アルスはぐっすりと眠っており、ハクロも小さくなる薬で体を縮め、枕になって眠っていた。
【‥‥‥キュルゥ?】
っと、ゆっくりと眠っていたハクロは、ふと何かを感じ取り目を覚ました。
辺りはまだ暗く、そとは月明かりが差し込むぐらいで良く見えるわけでもない。
けれども何となく、何か起きたような気がしたのだ。
【キュルル】
疑問に思いつつも枕となっている今は動く訳にもいかないし、何か調べてもすぐに分かるわけでもない。
なので、何かを感じたことなどを忘れて、また眠りに就くのであった……
「今日も水泳の授業があるはず‥‥‥だったんだけどなぁ」
‥‥‥朝になり、朝食を僕らは取っていた。
本日の予定を確認しつつ、午後からまた水泳の授業がある事を見て彼女が喜び、ちょっと楽しみにしていた。
だがしかし、その楽しみは突然奪われてしまった。
朝食後、午前中の授業を受けに向かおうとしたところで、突然飛び込んできた緊急のお知らせ。
学園の特大掲示板にでかでかと何が起きたのか詳細に書かれたものがあったが‥‥‥その内容を見て生徒たちも僕らもそろって溜息を吐いた。
【キュルルルゥ‥‥‥】
「ダンジョンの生成確認、か…‥‥」
そう、水泳の授業に使っていたプールの施設。
そこに何と、ダンジョンという代物が出現してしまい、飲み込まれて使えなくなったという知らせである。
――――――――――――――
『ダンジョン』
迷宮などと呼ばれる摩訶不思議な生成物であり、いつどこにどのようにしてできるのかということが予測できない代物。
その内部はダンジョンによって様相が異なれども、外見ではありえないほどの空間が広がっており、様々な資源が産出される。
だがしかし、その代償というかのように強力なモンスターが跋扈していたりするので、常人が知らずにはいれば命を落としかねない危険物でもある。
―――――――――――――――
モンスター研究科目でも、ガルバンゾー先生の授業中に聞いた説明を思い出し、僕らはそろって再び溜息を吐く。
というのも、このダンジョンは普通の人が立ち入れない物になっているので、当然プールが使用不可能になったということなのだ。
【キュルルゥ、キュルル】
「うん、悲しいよねハクロ‥‥‥でも大丈夫、直ぐに国がどうにかしてくれるはずだよ」
ダンジョンというのは無限の資源の宝庫とも言われるが、その代償と言うようにモンスターが中からあふれ出てくるケースもある。
なのでその対処のためにも国が素早く動き、騎士団で制圧するなど様々な手段をもって抑え込むらしい。
もちろん、適切に抑え込まれたダンジョンはその後は管理下に置かれ、資源採掘所となるらしいのだが、その際に何とかして飲み込まれたプール施設も救い出されるだろう。
それまで待てばいいだけの話だが‥‥‥まぁ、こういう事は国に任せるしかあるまい。
僕らのような素人が入れるようなところでもないからね。
「にしても、異世界だなぁと思うところはあったけど‥‥‥挑みに行く必要が無いのも良いか」
異世界転生物と言えば、そう言う類に挑む話もあるだろう。
もちろん、このダンジョン自体もうまくいけば一獲千金のチャンスはあるようで、冒険者と呼ばれるような人たちが命がけで挑み、富や名声を得るという歴史もある。
だがしかし、それはあくまでも成功を収めた時の話であり、ほとんどの場合は大失敗して全滅するそうだ。
なので、無駄な犠牲を出さないように簡単に入れないようにしているという話もあるが‥‥‥わざわざ僕らが向かうようなこともないし、大人しく待てばいいだけだ。
転生したからってダンジョンに挑みに行く必要はない。することもできないし、するだけの力もないからね。
「とりあえずハクロ、国が何とかしてくれるまでプールは我慢しようか」
【キュルルゥ】
「我慢できないなら‥‥‥あ、そうだ。タライに水を張って、小さくなる薬でちょうどいいサイズになって泳ごうか?その手が使えるよね」
【キュル!?‥‥‥キュルルゥ♪】
それは盲点だったというように、一瞬驚いたハクロだったが直ぐに考え、提案を嬉しそうに受け入れるのであった。
‥‥‥あ、でもタライと水が必要だけど、それって基本風呂場じゃないと用意できないな。
ハクロの糸を利用して容器ぐらいは出来そうだけど、水の方は無害な薬でも生成して、地道に貯めればいいか。うん、場合によっては薬湯モドキになるけど、楽しめそうならいいかもね。
緑色のプールはちょっと見た目的にも悪いし、ピンクとかそういうのにしつつ、寮内で濡れていたら変に思われるだろうし、さっさと乾かす手段も用意すれば完璧かな。
‥‥‥昼頃になり、帝国の王城内で皇帝は状況報告を聞いていた。
「…‥‥ダンジョンが生成されたか。まさか、帝都の防壁横に作られるとはな」
「自然生成されるからこそ、防止策が無いですからね。直ちに騎士団を向かわせ、被害が出る前に鎮静化をするようにしています」
皇帝の命令を受け、臣下の者たちは動く。
ダンジョンはうまく扱えばそれこそ国に巨万の富を生み出すが、その富を生み出す前に被害を出されては元も子もない。
各地にダンジョンを利用したダンジョン都市が発展していたりはするのだが、失敗すれば周辺が廃墟になりかねないリスクもあるのだ。
今のところは帝国直属の騎士団を向かわせて制圧中ではあるが、順調に進み数日もあれば抑え込めるらしい。
「しかしな‥‥‥まさか、帝都郊外にダンジョンの生成の報告を受けた時からそう間を置かずにして内部の方に来たか…‥‥今年はついていないな」
ダンジョンの生成自体は、そもそも稀な物。
帝国の歴史が長いからこそ各地にダンジョン都市が点在しているのだが、それでも普通は数年に一度ほどの珍しさなのだ。
「何にしても、プールを潰されたのは痛かったな…‥‥ぐぅ、今年はまだ、入っていないというのに」
どこかズレているような気がするが、おかしい話ではない。
帝都のプールは実は皇帝もお忍びで妃と利用することがあって楽しんでいたのだが‥‥‥もうじき入れる機会があると楽しみにしていたところでのダンジョン生成である。
悔しいというか、間が悪かったというか、最悪な生成時期であり、その産まれる時期をずらすのは無理でも、場所をもう少しどうにかして欲しかったと皇帝は心の底から思うのであった。
「それと、皇帝陛下。間諜からの報告です」
「なんだ?」
「本日は水泳の授業が中止されたことにたいしてハクロが悲しんだことを受け、彼女の主が小さなプールを自室内で作り上げ楽しんでいたそうです。その際に、薬の精製能力を確認したそうですが、それでもまだ小さいプールなのがちょっとだけ不満そうな顔をしていたのを受け、間諜たちがより早い制圧によって彼女をプールで思いっきり楽しませてあげたいという報告がありました」
「‥‥‥思いっきり私情が入りまくっているな」
…‥‥安全なモンスターであると公表したのは良いのだがそれでも不安などもあって監視の目が付いている。
だがしかし、その監視の目が思いっきり監視対象に情が移りまくっているのは問題ではないかと皇帝は思った。
詳細に書き記した報告書を渡され、それに目を通し‥‥‥皇帝はふと思った。
「入っても安全なぐらい、彼らには悪意もないようだが‥‥‥この発想は無かったな。確かに、小さなタライであれば体を小さくする薬とやらでも十分な広さを確保できるか。むぅ、この情報はまだ漏らさないようにしろ」
「はっ」
体を小さくする薬も、有用性は非常に大きい。
その他にも様々な薬の生成事例を知りつつも、無理やりに聞き出すことはないが‥‥‥こうやって見ていると、どことなくもどかしいようにも思えてしまう。
「様々な薬が可能という事は、胃薬に頭痛薬も可能ということが考えられるからな‥‥‥出来ればどうにかして、話をしたいが‥‥‥先ずはダンジョンの方から考えるか」
欲しい物が目の前にあるのに、それがすぐには手に入らぬもどかしさ。
何にしても、ダンジョンを出来るだけ早く掌握してもらってからでも、その話しを彼から何とかしてもらえるようにできないかと、皇帝は模索する。
「‥‥‥まぁ、一人で考えても案は出ぬし、妻に相談してみるか」
そうぽつりとつぶやき、皇帝は正妃の元へ向かった。
今回ばかりは流石に怒られるような案件は無いのだが…‥‥果たして、良い案が出るのかどうかは分からない。
…‥‥けれども、皇帝のこの判断は、正しかったらしい。
数時間後にはある程度のやり方を見つけることができ、ダンジョン制圧の報告も受け、一気に肩の荷の幾つかが下りたかのような爽快感を味合うことになるのであった。
「ああ、相談してよかった。うまくいけば取引も可能となり、城内の者達の負担も減るだろう」
自分の健康も考えつつ、城内で働く臣下たちのことも考え、そうつぶやく皇帝。
そしてそんな彼を見て、にこにこと笑う正妃。
「ええ、そうでしょう。妻たるもの、夫である皇帝を支えるのは当たり前ですものね。‥‥‥それと、一つ聞いてもいいかしら」
「なんだ?」
「その子の精製能力とかで色々と気になるところがあるのだけど…‥その芝居を打つために、その場に出ていいかしら?」
「…‥‥まぁ、良いだろう。彼らに悪意などが無いのは確認済みだ」
何か気になったが、一緒にいても問題はないはず。
そう思い、皇帝はそう返答したが…‥‥正妃の方は何か思うような顔をしていたのであった。
「様々な薬の精製‥‥‥これってあれよね?チートっていうモノに近いわよね…‥‥」
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