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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-105 つぶれるのが先か、それとも…

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ーーーギギギギィギシィイイ…!!

「いやな音が聞こえてくるけど…グレイ号、大丈夫なのか?」
『シールドにより、船体にかかる圧力軽減。しかし、水中とは異なり特殊な重力場によるもののため、完全に打ち消せず、現在シールド内ですが深海以上の強力な圧力がかかっておりマス』

 船が圧力でぎしぎしときしめく音が聞こえ、艦内が非常灯で真っ赤に染まる。

 強力な重力場によって光も引き寄せられており、船で何とか逆らって逃れようとしたが、ほぼ諦めた。

「今はギリギリ生存のほうにエネルギーを回して、重力の行きつく先へ向かっているけど…奥へ向かえば向かうほど、圧力がすさまじくなるか」

 誰がどういう意志をもって、このようなものを作り上げたのかはわからない。

 ただ一つ言えるとすれば、そう簡単に逃れることができない重力の墓場が出来上がっていることぐらいか。


【現在、艦内エネルギーの大半を生存方面へ回しておりマス。電源の一部は、ルトからの供給デス】
【ギャベェ!!呼び出されたと思ったらなんか電源扱いという厳しいものに!?】

【まぁ、この面子の中で電源代わりにできるのはね…】
【ユッキ、雪兵部隊も駆け足で発電し、頑張っているのユッキ】
【セレアも走っている様子だシャゲェ】
【リンも走ってます、ピキィ】

 ハウス内にいたテイムモンスターたちも呼び出し、足りない部分を補うために、それぞれの能力を活かしてもらっている。

 妖精糸で内側の強化を行ったり、黒い炎で補助エンジンのさらなる補助をしてもらったりしているが…これはどれほどまで持つのか。

「ロロ、グレイ号の耐久としては後どのぐらいまでなら持つかな?」
【元々潜水向きに作っているわけではないのですが、多少の圧力に耐えきれるようにしているため…そうですね、この圧力の加算から計算すると、後20分ぐらい進んだ先で圧壊のリスクが90%を超えるでしょウ。主様はデスペナルティで済みますが、この異常な重力場がリスポーン先に出て来て、リスキルと言うものを仕掛けられたら終わりデス】

 艦橋に戻ってきてあちこちのシステムの確認をするロロに尋ねたが、そこまで時間が残されていないようだ。

【ただ、緊急事態に付き外部を…現実世界を介しての通信で、運営側より救助艇が向かっておりマス。空間破砕掘削船ギガドリルタクスが重力場すらも砕いて到着するでしょウ】
「名前がそのまますぎるけど、救助の可能性はあるか・・・」

 ロロの話によれば、超緊急事態に使用される特殊な魔導船の一種であり、どこでも確実に到達し脱出できる穴をあけて救助を行う船のようだ。

「ただ、それでもまだまだ先へ流されるか…この発生源に関しての情報は?」
【重力場の影響で妨害されて厳しかったですが、特殊カメラによって多少影を得ることが出来まシタ。スクリーンに映し出しマス】

 そう言いながら操作盤を動かし、上にあるスクリーンに映像が映し出される。

「これは…何だ?」

 映し出されていたのは、ぽつんと何もない空間にたたずむ、丸い球体のような物。


【分析の結果、一種の金属塊のようデス。生命反応が無いか確認したところ、人のものに近い反応が検出されましたが…ひどいノイズが混ざっており、純粋なものではないでしょウ】
「あんな球体の人間がいてたまるか」

 おかしなものなのだが、どうも確実に何者かの意思は感じ取れるような物であり、近づけば会話ができる可能性もある。

【しかし、重力の密度がひどすぎて、駄目ですネ。要は、話しの通じない相手の可能性が高いデス】

 そもそもの話、こんなヤバい重力場を作り出す時点で、まともな相手ではないだろう。
 いっそ、欲望戦隊のほうを引き寄せて、囚われたままにしてもらったほうが良いのかもしれない。

(…あれ、もしかして今、物凄く世界のためになるような案を出したような)

 少しばかり心の中でそう思ったが、肝心の戦隊はいない様子。
 先日の騒動でだいぶひどいペナルティを受けているようで、ログイン自体はできるらしいが…現実のほうでこれまた恐ろしいお仕置きを受けており、中々入れない様子だと、マッチョンからのフレンドメールで確認しているため、実行はまだ先になりそうだ。


「とりあえず、このまま状況を維持して助けを待てば…」
ギギギギギギィ・・・ギシイイイイイイイ!!
「っ!?なんだ、急に音が?」
『アダダダダダダダダダダ!?船体圧力急上昇!!重力場が加算され、急速に圧力が!!』
【これは…どうやら、最悪なことになってきたようですネ。重力場の発生源が急速接近中!!それに伴い、周辺圧力上昇しており、計算では後5分もしない間に対峙することになりマス!!】

 話している間に、相手のほうが動いたようだ。

 接近してくる重力源、その目的は何なのかはわからない。

 ひとまず今は、船の生存のほうへ手を回すのであった…

ギシイイイイイ!!バンッツ!!バンッツ!!
『つあぁああああああ!?第2副砲潰れたぁぁぁいたぁぁアァァッ!!』

「…ところでロロ、グレイ号が痛みを訴えているけど、船に痛覚を備え付けたの?」
【いえ、そのような機能は無いはずですガ?あったら帆船からこの戦艦までの間に、どれほどの激痛を訴えるでしょうカ?】

『激痛な時点で、相当無茶苦茶サレテイルーーーー!!いや、そうじゃなくてこれ、気分的な問題デーーーー!』

…どうやら実際に痛覚が生じているわけではないらしいが、破損した箇所が何となくうずいて深いらしい。
 船の感覚、わかりづらいが…うん、まぁ、自分自身の身体を理解しているのであれば、その分意識が向いてしあって感じてしまうのだろうか…
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