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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-86 避けられぬ約束

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―――約束は一度した以上、守るものである。
 たとえ、それがどのようなものだとしても、あれだけのことをしでかしまくった以上、後に引けなくなっているからこそ、その重要性は増すだろう。


 だがしかし、それでも多少の抵抗をしなければ、色々な意味で危ない可能性もある。

「まぁ、それでもやってきてくれるのは良いことなのデース。その行動に敬意を表して、本日はこの星間国家ファッション最先端のビキニアーマー専門店通りを貸し切りにしているので、人目を気にしなくて済むように配慮させてもらったのデース」
「百歩譲って、貸し切りにしてくれたのは良いけど…ビキニアーマー専門店通りって何?何を治める星々の一つに開業しているの?」
「しっくりするのが欲しかったので、こりまくったらこうなっていたのデース。今ではこのアルケディア・オンラインの特殊装備販売ランキングにて、先月ついに第3位として紹介されたのデース!」

 どんなランキングだ、それは。

 かくかくしかじかと話を聞けば、現実ではどう考えても切ることができない装備品があっても、このオンライン上ならば堂々と着こなせるからこそ、特殊装備に特化した専門職になる者たちが出てくるらしく、その手の輩によっていつの間にか出来上がっていたものなのだとか。


…そう、そしてハルは今、先日のティラリアとのPvPの勝者への約束を果たすために…このビキニアーマー専門店通りに来ているのであった。

 なお、ミントは逃亡…したわけではなく、本日は吸血界隈での仕事と叔母さんの手伝いに狩りだされているため、ログインしていない。

 見られていたらそれはそれで最悪だったので、都合が良かったというべきか…また何か疲れて帰ってきそうだから、いたわれるようなものを考えたほうが良いだろう。



 とにもかくにも、やってきてしまった、星間国家随一の専門店特化通り。
 その中の一つ、ビキニアーマー専門店通りだが、貸し切りによって人怪我無いとはいえ、それでも堂々と店頭に様々な種類のものが並んでいる様子は現実ではどう考えても見ることができない、珍しい光景。

 大きかったり小さかったり、金属製や革製、布地、葉っぱ、スライム等々、専門通りというだけあってか、かなり種類が多いようだ。

「ついでに、実はバフもかかるように、それなりに強力なエンチャント装備にもなっているのデース!!この店の、レッドジェルビキニアーマーは、同じ値段の鎧装備品よりも防御力が高くなったりするのデース」

 表面積が大きく減っているはずなのに、どうして軽々超える防御の数値を出すのだろうか。
 それは創作ものでは永遠の課題になりそうな案件のため、ツッコミを入れるのは避けておきたいが…それでも心の中では言いたくなる。

「さて、一緒に好きなものを探すのデース!ハルさん…いえ、黒き女神!貸し切りとはいえ、宇宙ソラから不法侵入者変態が迷い込んでもおかしくはないのデース。万全の警備として、通りの周囲には精鋭たちを取り揃えているので、容易く進入できないデースが、何事もイレギュラーな事態があってもおかしくないのデース」
「具体的にはどういうのを配置したの?」
「上空に、ステルスラドン軍団が飛び交っているのデース。目には見えないステルス能力を持った、プテラノドンのような見た目の者たちで、しっかり武装済みなのデース」

 今は目に見えないが、ステルス機能を解除すればものすごい数の翼竜の群れがいると思えばいいのだろうか。

 雲一つない晴れやかな青空のはずだが、いないように見えている…ちょっと怖いかもしれない。

『ついでにグレイ号から通信なのですガ、蟻の子一匹通さないほどの密度の生命反応があることを確認済みなのデス』

 さらっと星の港に停泊中のグレイ号にいるロロからの通信が入ったが、よっぽど固いガードを固めているようだ。

 このビキニアーマー装備を一緒に買うためだけに、どれほど動員させたのか…想像したら、恐ろしくもあるだろう。

 それでも、約束をした以上は、この厳重過ぎる警備体制までしかれているのであれば、清濁を併せて吞み、対応しなければならない。

 気を取り直して黒き女神の姿…ひとまずは第一形態のほうから切り替え、装備品ビキニアーマーの買い物を始めるのであった…

「…ところで、あの黒と白の二人に分かれるのはやらないのデースか?やれるなら白ロリ黒大人か白大人黒ロリなあの可愛らしい姿に囲まれて、買い物したかったのデース」
「流石に精神的な方の負担が大きいので…」

…二人になると戦術の幅も増えるが、この状況でやらかせば二倍の苦労を背負うことがよくわかっているからこそ、絶対になる気はないのであった。
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