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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~
ver.6.0-43 終わりの星はもう間もなく
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色々と準備を行ってから頑張って仕事をこなし、ようやく迎えた休日。
いつもなら普通に家でアルケディア・オンラインにログインを行うが…この日は、一味も二味も違っていた。
「マジで、無重力でのVRMMOがやれるのか…今更だけど、後々骨密度や筋力、大丈夫なのか?無重力で過ごすと、そういうのが減るって話を聞いたことあるけど…」
「一応、地上との違いによる健康状態の変化に対応できるように、遠心力による人工重力室や、大型トレーニングルームはあるようだよ。もちろん、無重力化での過ごす時間も、流石に制限があるようだけど…ある程度の対策はしているようだね」
本日、僕らは宇宙エレベーターに搭乗し、現実世界での宇宙に来ていた。
火星行きの便であり、いくつか設けられ始めた速度違いのもののうち、オンラインプレイ可能な3時間での到達コースに乗っているわけだが、この特殊な環境は中々味わえるものではないだろう。
まぁ、オンラインの宇宙フィールドでも無重力体験ができなくもないのだが、現実のほうがより全身で味わっている感じが大きい。
なお、周囲への安全確保のために、他のお客とぶつからないように個室でかつ、周辺へ勢いで動いてぶつかって怪我をしたりすることを防ぐための安全装備の着用が義務付けられていたりするのだが…それでも、生の無重力体験というのは面白いものである。
…この間、生の宇宙空間に生身(?)で出たけどね。もっと言えば、事故で現実世界のほうにグレイ号事出たあれもカウントできるのだが…気にしないでおこう。
とにもかくにも、オンラインプレイを行いたいところだが、無重力体験というのもこれはこれで楽しみたいものである。
生身の肉体で、現実世界での宇宙空間の体験…宇宙エレベーターが無ければ、生涯味わう機会がほとんどないものだ。
こういう時にこそ、この人の肉体で存分に…
「…」
「あれ?どうしたの、急に黙り込んで」
「いや、今ちょっとだけ人外のというか、嫌な自覚が少し出たかも」
人の肉体という言い方、今更だけど何だろう、この感覚。
確かに死後に女神になる人生があるとはいえ、少しばかり人から離れた思考を抱いちゃったような気がしなくもない。
人じゃなくて妖精になることもできるが、これはこれでどちらにしても人外になるのは間違っていないというか、人外の文字のごとく、人から外れている。
「そう考えると、この先怖いなぁ。人として無意識のうちに、離れていくのかな」
女神の力を使っているのもあるだろうが、次第に薄れゆく人としての自分。
将来的に決まっている道だとしても、まだ人な以上、人の道を外れ行くのは少しばかり恐怖を抱くものだ。
「…大丈夫だよ、ハル。ここに人外の大先輩がいるでしょ」
「…それもそうか」
無重力での浮かれ気分が少し消沈しかけたが、ミーちゃんの言葉に気を取り直す。
考えれば彼女の場合、真祖なので人外の先輩と言えるだろう。
人外が身近にいる時点で、そもそも人としての道を盛大に踏み外している気がしなくもないが…うん、気にしないでおこう。
先祖がアレな時点で、すでに人から外れるのは決まっていたようなものだ。
何かこう、ツッコミを入れたくなるような、諦めたくなるような、何とも言えない気分にはなかったが、盛り下がりつつもオンラインへログインを行うのであった…
「そういえば、ロロさんが留守番しているけど、エレベーターに連れてこなくてよかったの?」
「あー、どうやら使用人たちのメンテナンスのようで…多分今日、オンラインの世界で彼女たちの姿は見ないんじゃないかな…?」
…珍しく、使用人一斉休業である。
レイドバトルがそろそろ始まるけど、彼女たちに何かあるのだろうか?
いつもなら普通に家でアルケディア・オンラインにログインを行うが…この日は、一味も二味も違っていた。
「マジで、無重力でのVRMMOがやれるのか…今更だけど、後々骨密度や筋力、大丈夫なのか?無重力で過ごすと、そういうのが減るって話を聞いたことあるけど…」
「一応、地上との違いによる健康状態の変化に対応できるように、遠心力による人工重力室や、大型トレーニングルームはあるようだよ。もちろん、無重力化での過ごす時間も、流石に制限があるようだけど…ある程度の対策はしているようだね」
本日、僕らは宇宙エレベーターに搭乗し、現実世界での宇宙に来ていた。
火星行きの便であり、いくつか設けられ始めた速度違いのもののうち、オンラインプレイ可能な3時間での到達コースに乗っているわけだが、この特殊な環境は中々味わえるものではないだろう。
まぁ、オンラインの宇宙フィールドでも無重力体験ができなくもないのだが、現実のほうがより全身で味わっている感じが大きい。
なお、周囲への安全確保のために、他のお客とぶつからないように個室でかつ、周辺へ勢いで動いてぶつかって怪我をしたりすることを防ぐための安全装備の着用が義務付けられていたりするのだが…それでも、生の無重力体験というのは面白いものである。
…この間、生の宇宙空間に生身(?)で出たけどね。もっと言えば、事故で現実世界のほうにグレイ号事出たあれもカウントできるのだが…気にしないでおこう。
とにもかくにも、オンラインプレイを行いたいところだが、無重力体験というのもこれはこれで楽しみたいものである。
生身の肉体で、現実世界での宇宙空間の体験…宇宙エレベーターが無ければ、生涯味わう機会がほとんどないものだ。
こういう時にこそ、この人の肉体で存分に…
「…」
「あれ?どうしたの、急に黙り込んで」
「いや、今ちょっとだけ人外のというか、嫌な自覚が少し出たかも」
人の肉体という言い方、今更だけど何だろう、この感覚。
確かに死後に女神になる人生があるとはいえ、少しばかり人から離れた思考を抱いちゃったような気がしなくもない。
人じゃなくて妖精になることもできるが、これはこれでどちらにしても人外になるのは間違っていないというか、人外の文字のごとく、人から外れている。
「そう考えると、この先怖いなぁ。人として無意識のうちに、離れていくのかな」
女神の力を使っているのもあるだろうが、次第に薄れゆく人としての自分。
将来的に決まっている道だとしても、まだ人な以上、人の道を外れ行くのは少しばかり恐怖を抱くものだ。
「…大丈夫だよ、ハル。ここに人外の大先輩がいるでしょ」
「…それもそうか」
無重力での浮かれ気分が少し消沈しかけたが、ミーちゃんの言葉に気を取り直す。
考えれば彼女の場合、真祖なので人外の先輩と言えるだろう。
人外が身近にいる時点で、そもそも人としての道を盛大に踏み外している気がしなくもないが…うん、気にしないでおこう。
先祖がアレな時点で、すでに人から外れるのは決まっていたようなものだ。
何かこう、ツッコミを入れたくなるような、諦めたくなるような、何とも言えない気分にはなかったが、盛り下がりつつもオンラインへログインを行うのであった…
「そういえば、ロロさんが留守番しているけど、エレベーターに連れてこなくてよかったの?」
「あー、どうやら使用人たちのメンテナンスのようで…多分今日、オンラインの世界で彼女たちの姿は見ないんじゃないかな…?」
…珍しく、使用人一斉休業である。
レイドバトルがそろそろ始まるけど、彼女たちに何かあるのだろうか?
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