アルケディア・オンライン ～のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです～

Ver.5.0 ～世界の焔と、導きの篝火～

ver.5.2-137 ファンタジー生物はぬるりと

…人のありように関して、本人があずかり知らぬところでいつの間にか話題に上がっていることが多い。
　それは、情報社会となりつつある中でより加速し、時に炎上、惨状、退場等、受け取る人によって勝手に加速的に広まり、どうなるのかわからないのだ。

　それはたとえ、人であっても、人ならざるものだとしても変わらないものであるからこそ、非常に厄介なものなのだ…



　そう、神であってもそれは免れらないものである。










「－－－合言葉を言え」
「わかった」

…アルケディア・オンラインの中、魔界にある都市。
　都市の奥の方にある隠された酒場前にて、姿を隠した者たちが入店しようとしていた。

「今週のぉ！！黒き女神様に着用してほしい装備はぁ！！」
「天界７番都市のメイド喫茶、２番の服！！」
「よし、間違ってない。通れ」

　ツッコミどころがある合言葉だが、この場で誰もツッコミを入れない。
　
　合言葉を確認し、正解したので内部へ彼らは入店する。


「遅れてすまない。ちょっと、目撃情報弾を整理していたら、時間が過ぎてしまった」
「ふむ、理由としては正当なものだ。無理もないが後で全員に流すように。それでは、今回はここで…」








「…怪しい集団の目撃情報？」
「そうなんだよね。ここ最近、あちこちの都市で奇声を上げつつ、何やら集まっている集団の目撃情報があるみたいなんだよ」

　本日のアルケディア・オンラインの中で、ハルはちょっとここ最近は妖精やその他のことで忙しかったのもあり、いざという時のニガ団子等のアイテム補充作業をしている最中、たまたま遭遇した中三病と共に話し合っていた。

　なお、ミーちゃんに関しては今日はログインをせずに吸血界隈での集まりに出席のため不在。
　中三病さんがそもそもここに自由にいるのはどうしてなのかということに関しては、こちらは先日の大騒動以来、何やらティラリアさんの束縛が緩んできたのが理由らしい。

　
　それはさておき、プレイヤー同士ということで近況や何か役立つ情報がないかなどの話で盛り上がっている中、そんな奇妙な情報が出てきた。

「こういう怪しい集会の様なものは厄介事の臭いしかないが…それでも、興味が引かれた。中二病などというものは既に克服したはずだが、それでも悪い少年心をくすぐるようなものじゃないか。怪しい集会、面白そうな取引、ちょっと見てみたくなるだろう？」
「まぁ、本当の犯罪レベルのものだったらヤバいけど、このオンラインでそんなことをする輩はいないだろうし、ある程度大丈夫なんだろうけど…それ、どういうものなのか、わかったの？」
「いや、わからない。どうもあちこちで開かれているのは間違いないのだろうけれども、変な合言葉があるらしくて…」
「変な合言葉？」

　怪しい集まりの中で、外部からの侵入者を寄せ付けないために、合言葉を設定するのは不自然なものではないだろう。
　ちょっと悪めの中二病のような心がくすぐられるような気がしなくもないが、変なものとはどういうものなのか？

「そういうのは、前線・攻略組とかでも探っていそうなものだけど…ぽっけねこさんたちから聞けないの？」
「いや、彼らは今、宇宙フィールドの第58星雲のほうの攻略中らしくて…すぐに連絡が取れないんだ。それにどうも、これはイベントなどでの集まりではなく、プレイヤー側のほうで起こしているもののようで、攻略情報に触れるものでもないようなんだ」

　要はプレイヤーイベントに近いものであり、攻略には関係ないもの。
　誰が行っているのかは不明だが、このぐらいだと攻略組が動くことは無いだろう。


「それで、ハルさんにも一緒に来てもらって探ってもらえないかな…と」
「んー、中三病さんの悩み事ならティラリアさん関係で色々同情して動けたけど、今回はそうでもないっぽいし…どうなんだろうなぁ」
「というか多分、無関係で済めないと思うよ」
「ん？」
「だってその集会…合言葉がどうも…らしいんだ」
「え？なんて」
「黒き女神に、着せたい衣服が合言葉らしい」
「…どういうこと？」

　何故、黒き女神自分に着せたい衣服が合言葉になるのか。
　いや、単純に都合の良い合言葉にしているだけで、女神云々関係ないだけのことかもしれないが、人の女神姿での衣服の勝手な想像はやめてほしい。

　いつぞやかのバニーや水着のようなこともあるが…それでも他人に好き勝手着せ替えをされているような想像を招くものはきついものがある。

…ネット上で、女神フィギュアの魔改造品が一時期出回っていたなどの闇情報も、精神的にね…こっそり、特殊形態で色々と電子の海に細工して、どうにか抑えたのは秘密だったりする。



　とにもかくにも、何やら聞き逃せない者でありつつ、変な厄介事の予感もするなどの集まり。
　放置しておくにしても、出来れば合言葉だけでも別のものに変えてほしくもある。
　色々と謎が多いが、ひとまず確認のために協力することにしたのであった…


「でも、正面から堂々と尋ねても門前払いを喰らいそうだよね？」
「すぐに知れればいいのだが、結構ガードが固くて…」

　いっそ、女神の姿になって直接突撃する手段もできそうだが、その手の輩には逆効果でさらに面倒事を招きそうなのは理解している。
　ならば、どうにかして潜り込めるような方法を探して…