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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.1-63 逃走と女神
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「「「「待ちやがれこのやろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
ずどどどどっと勢いよく闇夜の中、爆走して追いかける欲望戦隊。
道中モンスターが出てくるも障害物扱いにもならず、勢いで吹っ飛ばしていく。
そんな彼らが追いかける先にあるのは、正体不明の人物。
いったいどういう目的があるのかは知らないが…どうやらブラックバットを横取りしたのは間違いなさそうだ。
その手元にある気配はない。となれば、アイテムと化して持っている状態なのだろうか。
野生のモンスターを一時的に手元に保管することが可能な特殊なアイテムの存在はあると聞くが、そうたやすく入手できないはず。
となれば、それ相応に準備をしてきた相手なのかもしれないが、それはそれ。これはこれ。
自分たちで手に入れられそうだったブラックバットを、どこの誰とも知らない輩に横取りされてはたまらないと思い、全力で欲望戦隊は追跡する。
気が付けば相当な距離を爆走していたようで、覆っていた超濃硫酸の雲が移動しており、朝日があって昼間のエリアに到達してきたようだ。
姿が目視しづらかった闇夜であったが、明ければ徐々にその相手の姿を見ることが出来る。
どこの誰かと思ってその正体を確認するが…
「なんだありゃ!?でっけぇ着ぐるみなんだが!!」
明るくなって見えてきたのは、闇夜に紛れる真っ黒な色合いをした着ぐるみを着た人物。
かなり寸胴な何かの獣の着ぐるみのようだが、いかんせん下手なのかそれともある程度のデフォルメをかけたのか、元の獣が何かわからない謎の獣のボディ。
何かは四角い箱のようなものを抱えて走っているようだが、恐らくはあの中にブラックバットが収納されていると予測される。
「とにもかくにも、ブラックバットをよこせ、いや、返せぇぇぇぇ!!」
「それは我々が追い求めたもので、奪われるいわれはないぞごらぁぁぁ!!」
見えてきたのであれば狙いやすくなるので、攻撃を開始する欲望戦隊。
遠距離攻撃として石や木、酒瓶に気弾などを投げつけ、ぶつけ、相手が止まることを狙う。
だがしかし、そんな攻撃なんぞ当たらないとあざ笑うかのように軽々と謎の着ぐるみの人物は回避し、くるりと回ったりバク中したりと余裕を見せている。
「めちゃくちゃうざい動き方で、あおってきているな!!」
「あの感じ、絶対にNPCじゃ無くて無駄に力のあるプレイヤーだ!!」
「そんな力があるなら、無駄に使うなぁぁぁl!!」
恐ろしい速度のブーメランが返ってきそうなツッコミが入るが、そんなことは誰も気にしていない。
今言えることはただ一つ、このままでは逃げ切られてしまうだろう。
不味いと思っていた…その時だった。
――――ひゅぅっ
「ん?」
一瞬、何か風が通り過ぎるような音がした。
ただ風が吹くならばまだしも、感じ取るは先ほどまでなかった気配。
何事かと思い、タローンがその方向に目を向ければ…そこには、闇があった。
違う、そうじゃない。闇夜のように、真っ黒なもの。
でも、見たことが無いものではなく、むしろここにいる全員が一度は目にしたことのある…
「く、黒き女神様!?」
「「「ぬ、ぬわんだとぉぅ!?」」」
タローンの叫び声に対して、全力疾走をしていたタローンたちも思わずその方向に目を向ける。
そこにはなんと、今まで何度も遭遇し、時には戦ったことのある、恐ろしくも美しくもある、黒色の女神がいた。
欲望戦隊たちのように走ってはおらず、宙を飛ぶような姿。
それでもどこか優雅であり、忙しく移動しているようではないが、何やら移動する方向は同じで、ぐっと速度を上げて欲望戦隊たちを抜かし、黒い着ぐるみのそばに近づく。
「------!!」
「追いついた…ちょっとここで消えてもらうね」
着ぐるみの何者かが驚いたような動きをするが、もう遅い。
黒き女神が手をかざした次の瞬間、黒い稲妻のようなものが落ちる。
激しい雷のような閃光が瞬いたにも関わらず、音もない一撃。
けれどもそれは、何モノにも耐えられないかという威力だったらしく、収まったときには箱のみを残して、着ぐるみの人物が消失していたのであった…
ずどどどどっと勢いよく闇夜の中、爆走して追いかける欲望戦隊。
道中モンスターが出てくるも障害物扱いにもならず、勢いで吹っ飛ばしていく。
そんな彼らが追いかける先にあるのは、正体不明の人物。
いったいどういう目的があるのかは知らないが…どうやらブラックバットを横取りしたのは間違いなさそうだ。
その手元にある気配はない。となれば、アイテムと化して持っている状態なのだろうか。
野生のモンスターを一時的に手元に保管することが可能な特殊なアイテムの存在はあると聞くが、そうたやすく入手できないはず。
となれば、それ相応に準備をしてきた相手なのかもしれないが、それはそれ。これはこれ。
自分たちで手に入れられそうだったブラックバットを、どこの誰とも知らない輩に横取りされてはたまらないと思い、全力で欲望戦隊は追跡する。
気が付けば相当な距離を爆走していたようで、覆っていた超濃硫酸の雲が移動しており、朝日があって昼間のエリアに到達してきたようだ。
姿が目視しづらかった闇夜であったが、明ければ徐々にその相手の姿を見ることが出来る。
どこの誰かと思ってその正体を確認するが…
「なんだありゃ!?でっけぇ着ぐるみなんだが!!」
明るくなって見えてきたのは、闇夜に紛れる真っ黒な色合いをした着ぐるみを着た人物。
かなり寸胴な何かの獣の着ぐるみのようだが、いかんせん下手なのかそれともある程度のデフォルメをかけたのか、元の獣が何かわからない謎の獣のボディ。
何かは四角い箱のようなものを抱えて走っているようだが、恐らくはあの中にブラックバットが収納されていると予測される。
「とにもかくにも、ブラックバットをよこせ、いや、返せぇぇぇぇ!!」
「それは我々が追い求めたもので、奪われるいわれはないぞごらぁぁぁ!!」
見えてきたのであれば狙いやすくなるので、攻撃を開始する欲望戦隊。
遠距離攻撃として石や木、酒瓶に気弾などを投げつけ、ぶつけ、相手が止まることを狙う。
だがしかし、そんな攻撃なんぞ当たらないとあざ笑うかのように軽々と謎の着ぐるみの人物は回避し、くるりと回ったりバク中したりと余裕を見せている。
「めちゃくちゃうざい動き方で、あおってきているな!!」
「あの感じ、絶対にNPCじゃ無くて無駄に力のあるプレイヤーだ!!」
「そんな力があるなら、無駄に使うなぁぁぁl!!」
恐ろしい速度のブーメランが返ってきそうなツッコミが入るが、そんなことは誰も気にしていない。
今言えることはただ一つ、このままでは逃げ切られてしまうだろう。
不味いと思っていた…その時だった。
――――ひゅぅっ
「ん?」
一瞬、何か風が通り過ぎるような音がした。
ただ風が吹くならばまだしも、感じ取るは先ほどまでなかった気配。
何事かと思い、タローンがその方向に目を向ければ…そこには、闇があった。
違う、そうじゃない。闇夜のように、真っ黒なもの。
でも、見たことが無いものではなく、むしろここにいる全員が一度は目にしたことのある…
「く、黒き女神様!?」
「「「ぬ、ぬわんだとぉぅ!?」」」
タローンの叫び声に対して、全力疾走をしていたタローンたちも思わずその方向に目を向ける。
そこにはなんと、今まで何度も遭遇し、時には戦ったことのある、恐ろしくも美しくもある、黒色の女神がいた。
欲望戦隊たちのように走ってはおらず、宙を飛ぶような姿。
それでもどこか優雅であり、忙しく移動しているようではないが、何やら移動する方向は同じで、ぐっと速度を上げて欲望戦隊たちを抜かし、黒い着ぐるみのそばに近づく。
「------!!」
「追いついた…ちょっとここで消えてもらうね」
着ぐるみの何者かが驚いたような動きをするが、もう遅い。
黒き女神が手をかざした次の瞬間、黒い稲妻のようなものが落ちる。
激しい雷のような閃光が瞬いたにも関わらず、音もない一撃。
けれどもそれは、何モノにも耐えられないかという威力だったらしく、収まったときには箱のみを残して、着ぐるみの人物が消失していたのであった…
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