アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-46 星の息吹

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…航路をオンラインの世界に戻れるようにするのはいい。
 だがしかし、船の修理が済んで終わったように見えるが、まだ他に問題があることを、ハルたちは思い出した。

「…そういえば、結局あの緊急ワープの原因になった、波〇砲みたいなエネルギー波って、誰がやったのか分かったのか?」

 セットした航路に合わせての自動操縦なので、のんびりと現実世界の宇宙の海を進みオンラインの世界へ戻るルートを取る中、外を見ていてふとハルはそう口にした。

「言われてみれば、何だったのかな、アレ?運営に問い合わせたの?」
【ええ、もちろん問い合わせ済みデス、アルケディア・オンラインの世界でのあの高エネルギー反応は流石に異常でしたので、監視部門と呼ばれるところに連絡したのですが…】

 修理の合間にも、何がどうなってここにきてしまったのかという報告をロロは運営にしていたようだが、その中でワープの原因に関しての情報も確認していたらしい。
 アルケディア・オンラインの世界はかなり広大な世界だが、犯罪が無いようにあちこちしっかりと監視の目があるようで、僕らがいたあのアステロイドベルトのあたりでも、しっかり映像が記録されていたらしい。


【監視カメラによると、あの攻撃は何か特殊な形状をした宇宙船の様なものが行っていることが確認できました】
「特殊な形状?」
【ハイ。一撃砲撃特化というべきか…わかりやすい見た目を言うなら、ちくわデス。もしくは、空き地にあるイメージの土管デス】
「ようは、一本の筒状の宇宙船ってこと?」
【そうなりますネ。ただ、魔導船の類かといえばそうでもなく、筒状でエンジンも何も見当たらないのに、中空からエネルギーを生みだして砲撃を行っている変なものでシタ】

 どういう記録映像があったのか、ダウンロード済みの映像をモニターに映してもらう。
 見れば、確かにちくわや土管と言って良いような筒状の形状のものが宇宙空間に浮いており、曽於内部に光が充填したかと思えば、砲撃する光景が映し出されていた。

「これの攻撃か…撃ちだした後も、まだその場にいたの?」
【いえ、発射後はすっと溶け込むように消えました。出現も同様の方法で、どこからかワープをしているようですが…場所の特定ができないのデス】

 アルケディア・オンラインの世界のワープ航法はいくつかあるが、この謎の船の航法はわかっていないらしい。
 監視映像の解析でどこに飛んだのか解析もできるはずなのだが、どうもこの船はその解析すらもできないような特殊な航法で動いているらしい。

「そもそも、筒状っぽくて、エンジンも何もないように見えるのに、一発であの莫大なエネルギー波を撃ちだせるようなもの…本当に、なんだこれ?」
【船というか、何かの兵器の類のようデス。ほら、コロ〇ーレーザーのような…】
「でもあれも、一応たくさんのパネルを付けてそこからエネルギーを収束してのものだよね?この筒状の物体、そんなエネルギーを受け取れるような装置もなければ生み出す様なものもないようだし…どうやって、動いているの?」

 うーんっと全員で考えるも、どういう理屈なのかもわからない。
 そもそも、どうしてあそこで砲撃を放ったのかその理由も不明だし、正体不明の不気味さがうかがえるだろう。

「ネット上の情報だと…あ、どうも他にも同じような突然のエネルギー波の攻撃を受けたって言う話があるみたい。ほら、この掲示板に」
「どれどれ…本当だ。突然攻撃を喰らって、速攻でデスペナルティを貰ってしまったとかいうのがあるね」

 他にも被害を受けている人がいるようで、僕ら個人を狙ってやったようなものとも言い難い。
 無差別的なもののようだが、その目的が全く分からない。

「膨大なエネルギーの砲撃を各所で行う、謎の船か…一体、何が目的なんだろうか?」

 何かの実験を行う実験艦のようなものなのだろうか?
 実はこの攻撃はテストであり、これをより大型化・複雑化したものを密かに建造している場所があるとか…そういう可能性も考えられる。

【ただ、これちょっと放置はできないようで、運営側も動いていますネ】
「というと?」
【この謎のエネルギー攻撃ですが、成分分析を行ったところ…アルケディア・オンライン内に存在する星々と同等の波長をもつ生体波動が計測されまシタ】

 ロロの話では、こういうエネルギー攻撃系は何かしらの特徴があるので、そこから何か鍵がつかめないかと思って分析したところ、オンライン上の星と似たようなエネルギーの波を観測したらしい。
 
【どうも、星一つを犠牲にしなければ出ないような類で…人工惑星を作り上げるとかそういうのは別にいのですが、あの砲撃一つで一つの星が消滅するのと同じような反応が観測されているのデス】
「つまり…何か、星を犠牲にしてやっているってこと?」
【ハイ。オンライン内の星は、プレイヤーたちには感じ取れないですが毎日増えたり減ったり色々ありまして…計測したところ、予定されているよりも、いくつか誤差レベルですが星の消滅が少し多く発生していまシタ】

 つまり、どこかの星をあの船は勝手に利用して、攻撃を行っているということだ。

「なんだそりゃ…無茶苦茶じゃん。本当に何の目的で、そんなことを…?」


 何者が行っているのかわからないが、星を犠牲にして行う攻撃を無差別的にやっているのは、明らかにやばいとしか言いようがない。

【そのような技術、私たちの方にも共有はされていないのですが…誰かが生み出し、やらかしたようデス】

 現在運営側の方でも捜査中であり、場合によってはプレイヤーならアカウント停止レベル以上の措置を取る予定らしい。
 明らかにオンラインの世界に影響を与えており、放置しておけばそのうち星がすべてなくなる危険性だってあるのだ。

 何者がやっているのかわからないが、その行動の不気味さに、ハルたちは嫌な予感を覚えるのであった…


「こういう時に限って、そういう関係者がやってきたりするんだよなぁ」
「ハルの経験上の言葉、説得力あるかも」
【向こうから近づいてくれれば、わかりようがあるのですけれどネ。そううまくいくのか…いえ、主様のこれまでのやらかしなら、可能性は大きそうデス】
「…それはそれで、嫌な信頼の抱かれ方なような気がするんだけど」
「でも、事実でしょ?」

…何も、言い返せない。求む、反論方法。
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