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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.0-34 代償はゆっくりと
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…暴露されまくり、灰になったミーちゃんが棺桶に入れられる。
「これ、本当に元に戻るよね」
「大丈夫よ。真祖はこの程度で命を落とすことはない。あとは真祖用に調合された復活剤とお湯を入れて…蓋を閉じてしばらくすれば、元に戻るわ」
カップラーメンみたいなものなのだろうか。
いや、流石に三分以上かかるそうだし、ラーメンってわけでもないのだが、復活の手順が何となくそれっぽい。
とりあえず、横に棺桶を置いたままにしつつ、話を進めていく。
女神の血を引いているのはわかった、こういうのに限って悪いことも一緒にありそうだ。
「滅茶苦茶な力が使えるのはオンラインの世界でも実証済みだけど、現実でも出てきた。これって、肉体的には大丈夫なの?」
「うーん、現状は短時間の顕現しかできていないから、影響としては微々たるものだし…まぁ、計算上生きている間は何もないとは思う」
「生きている間?」
「そう。今はまだ、男の肉体としての生身があるからこそ、女神の肉体が構成されたとしても現実との齟齬が生じてしまい、長時間女神になり続けることはない。いくら血を引いていたとしても、どうしても超えられない概念があるからこそ、そんなに大した問題はならないな」
「なるほど…」
女神の力があったとしても、乱用するようなことは不可能。
流石に血を引いていたとしても、元々女神としての力が形成されていったのがアルケディア・オンラインの世界ゆえに、ベースとなる情報はオンラインの世界のモノ。
現実への関りが生じ、女神の血をもとに現実へ出てきたとしても、長時間出てこれるようなものではないらしい。
「せいぜい、一日に30分だけ、それ以上を超えることはできない。女神…神の力を有していても、現実の世界に顕現するのはそれだけ大変なことだし、いくら血を引いていたとしても、春、その黒き女神の基本情報はオンラインの世界に由来してしまうから、どうしても現実の世界では世界の抑止力というようなものが作用して、長時間顕現は不可能だ」
「ずっとなり続けたり、戻ることが出来なくなるってことはないか」
「そういうこと。…ただ、それはあくまでも、まだ生きているということが重要なこと。多少は女神の影響を受けて寿命がちょっとは延びるかもしれないけど…不死になったわけじゃないからね」
今は生きているからこそ、そこまで変なことになるのはない。
現実世界でも女神の肉体を得られるが、一時的なものに過ぎない。
しかし…問題が生じるとすれば、現実の肉体の生が終える、死後の時だろう。
「…今はまだ、生きているってこと自体が神の力への枷となって、大したことになることはない。けれども、死んでその肉体から抜け出た時が…そこから女神としての人生が、いえ。神生が発生する可能性があるのよね」
「女神としての生きる道が?」
「ええ、そうよ。まだかなり長く先のことだけど…うん、まぁ、なっちゃった以上は仕方が無いわね」
女神の力を得てしまったその代償に、死後のほうが安寧が亡くなったようだ。
いや、死後になんでその道ができるのかとツッコミを入れたいが…なってしまったものはしょうがない。
「まだまだ精神的にも未熟だけど、そうね、長く生きればその分じっくりと成熟できるかもしれないし…なる頃合いには、十分受け入れられる装用ができていれば問題ないわ」
「いや、女神になる未来が確定しそうな時点で、十分問題なんだけど。僕、男なんですが…」
「あら、知り合いの神に元男で現在女神になっている人もいるから、慣れれば大丈夫だと思うわよ」
「既に前例が!?」
…どうやら前例がいなかったわけでもないようで、逆のこともあったらしい。
けれども皆、その時が来たら自然に受け入れてしまうようだ。
「…何だろうな、このまだ若いのに死後の不安が出来てしまう人生って」
「他の人じゃ中々体験できないから、物凄く珍しいことなんだと思って気楽にいけばいいよ」
「そういわれましてもねぇ…」
とにもかくにも、今はこれ以上の情報を得られるわけでもないようで、ひとまずここで切り上げることにする。
どうやらフロンおば、お姉ちゃんもすごく暇ということでもないようで、ここに来るために多少の時間調整も行っていたらしい。
「そろそろ時間ね。ロロ、春とミントを上へ戻して、ここ埋めて頂戴」
【了解いたしました、フロン様】
「ロロが素直に他の人の命令を聞いているのか…」
【主様、私の方にも色々と事情があるのデス。どうなるか、わかりやすい例も、起きてましたしネ】
そう言われると、何故か納得してしまう。
ミーちゃん、いまだに棺桶の中にいるからなぁ…復活剤やお湯と一緒に灰の状態で入れられたままなので、ちゃぷちゃぷと液体の音が聞こえてくる。
【上への輸送には、こちらの即席エレベーターのご利用をどうぞ】
「家の中に作って良いものじゃないと思うんだけど」
【ご安心ヲ。ここを封鎖したら、すぐに撤去いたしマス】
エレベータの中に入り、上へ向かうボタンを押し、扉がゆっくりと閉まり始める。
フロンお姉ちゃんはまた別の経路を利用するようで、部屋の奥に向かって歩み始める。
「ああ、そうそう、忘れるところだったわ、春」
「ん?」
「これ、渡しておくわ」
そう言いながらひょいっと投げ込まれてきたのは、何やら錠剤がたっぷり入った瓶と、そこそこ大きな注射器だった。
「そっちの注射器は、痛みなく血を抜ける献血器よ。灰からの復活は相当消耗するから、それで抜いてミントに与えるといいわ。そしてその錠剤は抑制薬よ。これからひと月ほどは、朝と晩の一日二回、1錠ずつ飲まないと、まだ不安定な女神の力がうっかり出て、職場で女神になる可能性があるから、喜劇じみたことにならないように守ってね」
「一番重要なものを一番最後に言わないでほしかったなぁ!?」
さらっと起こりえたかもしれない事態を言われて、思わず叫んでしまう。
どうやら女神としての力が目覚めてきたのは良いのだが、まだまだ不安定な部分があるようで、うっかり職場や人ごみの中で女神の姿に切り替わるかもしれないうリスクまで生まれていた。
万が一、そんな事態になったらそれこそ大騒動になるのが目に見えているので、抑えられる薬があるだけでも非常にありがたい。
「計算上、それだけで薬が無くなったころ合いに、自由に切り替えられるはず。もしも、この言いつけを守らなかったら…そうね―――」
プシュガシャン
「扉が閉まって、肝心のところが聞こえなかったんだけどぉぉぉぉぉぉ!?」
タイミングが悪いというかなんというか、さらにとんでもないものを聞き逃してしまった。
でも、しっかり守らなければどうなるのかは…うん、ミーちゃんがその身をもって示してしまったので、厳重に守らざるを得ないだろう。
何にしても、話を終えて色々な謎が解決したのは良いのだが、どっと疲れた気分になるのであった…
「…ああ、そういえば言うのを忘れていたわね」
自身の場所へ戻り、改めて仕事へ移り始めようとするなか、フロンはふと思い出して呟いた。
「そもそも何で、オンラインの世界で形成されて行ったものが、現実世界に出ても大丈夫なのか、女神になる媒体自体は血ではっきりしたけれども…うん、聞かなくても大丈夫そうだし、問題は無いわね。それよりも後で、死後の女神進路相談の用意をしておこうかな。えっと、こういうのに強いのはその系統に連なる子や、別系統だけども類に入るあの龍帝や…受け入れやすいように、ゆっくり、慣らしたほうが良いのかしら?」
「これ、本当に元に戻るよね」
「大丈夫よ。真祖はこの程度で命を落とすことはない。あとは真祖用に調合された復活剤とお湯を入れて…蓋を閉じてしばらくすれば、元に戻るわ」
カップラーメンみたいなものなのだろうか。
いや、流石に三分以上かかるそうだし、ラーメンってわけでもないのだが、復活の手順が何となくそれっぽい。
とりあえず、横に棺桶を置いたままにしつつ、話を進めていく。
女神の血を引いているのはわかった、こういうのに限って悪いことも一緒にありそうだ。
「滅茶苦茶な力が使えるのはオンラインの世界でも実証済みだけど、現実でも出てきた。これって、肉体的には大丈夫なの?」
「うーん、現状は短時間の顕現しかできていないから、影響としては微々たるものだし…まぁ、計算上生きている間は何もないとは思う」
「生きている間?」
「そう。今はまだ、男の肉体としての生身があるからこそ、女神の肉体が構成されたとしても現実との齟齬が生じてしまい、長時間女神になり続けることはない。いくら血を引いていたとしても、どうしても超えられない概念があるからこそ、そんなに大した問題はならないな」
「なるほど…」
女神の力があったとしても、乱用するようなことは不可能。
流石に血を引いていたとしても、元々女神としての力が形成されていったのがアルケディア・オンラインの世界ゆえに、ベースとなる情報はオンラインの世界のモノ。
現実への関りが生じ、女神の血をもとに現実へ出てきたとしても、長時間出てこれるようなものではないらしい。
「せいぜい、一日に30分だけ、それ以上を超えることはできない。女神…神の力を有していても、現実の世界に顕現するのはそれだけ大変なことだし、いくら血を引いていたとしても、春、その黒き女神の基本情報はオンラインの世界に由来してしまうから、どうしても現実の世界では世界の抑止力というようなものが作用して、長時間顕現は不可能だ」
「ずっとなり続けたり、戻ることが出来なくなるってことはないか」
「そういうこと。…ただ、それはあくまでも、まだ生きているということが重要なこと。多少は女神の影響を受けて寿命がちょっとは延びるかもしれないけど…不死になったわけじゃないからね」
今は生きているからこそ、そこまで変なことになるのはない。
現実世界でも女神の肉体を得られるが、一時的なものに過ぎない。
しかし…問題が生じるとすれば、現実の肉体の生が終える、死後の時だろう。
「…今はまだ、生きているってこと自体が神の力への枷となって、大したことになることはない。けれども、死んでその肉体から抜け出た時が…そこから女神としての人生が、いえ。神生が発生する可能性があるのよね」
「女神としての生きる道が?」
「ええ、そうよ。まだかなり長く先のことだけど…うん、まぁ、なっちゃった以上は仕方が無いわね」
女神の力を得てしまったその代償に、死後のほうが安寧が亡くなったようだ。
いや、死後になんでその道ができるのかとツッコミを入れたいが…なってしまったものはしょうがない。
「まだまだ精神的にも未熟だけど、そうね、長く生きればその分じっくりと成熟できるかもしれないし…なる頃合いには、十分受け入れられる装用ができていれば問題ないわ」
「いや、女神になる未来が確定しそうな時点で、十分問題なんだけど。僕、男なんですが…」
「あら、知り合いの神に元男で現在女神になっている人もいるから、慣れれば大丈夫だと思うわよ」
「既に前例が!?」
…どうやら前例がいなかったわけでもないようで、逆のこともあったらしい。
けれども皆、その時が来たら自然に受け入れてしまうようだ。
「…何だろうな、このまだ若いのに死後の不安が出来てしまう人生って」
「他の人じゃ中々体験できないから、物凄く珍しいことなんだと思って気楽にいけばいいよ」
「そういわれましてもねぇ…」
とにもかくにも、今はこれ以上の情報を得られるわけでもないようで、ひとまずここで切り上げることにする。
どうやらフロンおば、お姉ちゃんもすごく暇ということでもないようで、ここに来るために多少の時間調整も行っていたらしい。
「そろそろ時間ね。ロロ、春とミントを上へ戻して、ここ埋めて頂戴」
【了解いたしました、フロン様】
「ロロが素直に他の人の命令を聞いているのか…」
【主様、私の方にも色々と事情があるのデス。どうなるか、わかりやすい例も、起きてましたしネ】
そう言われると、何故か納得してしまう。
ミーちゃん、いまだに棺桶の中にいるからなぁ…復活剤やお湯と一緒に灰の状態で入れられたままなので、ちゃぷちゃぷと液体の音が聞こえてくる。
【上への輸送には、こちらの即席エレベーターのご利用をどうぞ】
「家の中に作って良いものじゃないと思うんだけど」
【ご安心ヲ。ここを封鎖したら、すぐに撤去いたしマス】
エレベータの中に入り、上へ向かうボタンを押し、扉がゆっくりと閉まり始める。
フロンお姉ちゃんはまた別の経路を利用するようで、部屋の奥に向かって歩み始める。
「ああ、そうそう、忘れるところだったわ、春」
「ん?」
「これ、渡しておくわ」
そう言いながらひょいっと投げ込まれてきたのは、何やら錠剤がたっぷり入った瓶と、そこそこ大きな注射器だった。
「そっちの注射器は、痛みなく血を抜ける献血器よ。灰からの復活は相当消耗するから、それで抜いてミントに与えるといいわ。そしてその錠剤は抑制薬よ。これからひと月ほどは、朝と晩の一日二回、1錠ずつ飲まないと、まだ不安定な女神の力がうっかり出て、職場で女神になる可能性があるから、喜劇じみたことにならないように守ってね」
「一番重要なものを一番最後に言わないでほしかったなぁ!?」
さらっと起こりえたかもしれない事態を言われて、思わず叫んでしまう。
どうやら女神としての力が目覚めてきたのは良いのだが、まだまだ不安定な部分があるようで、うっかり職場や人ごみの中で女神の姿に切り替わるかもしれないうリスクまで生まれていた。
万が一、そんな事態になったらそれこそ大騒動になるのが目に見えているので、抑えられる薬があるだけでも非常にありがたい。
「計算上、それだけで薬が無くなったころ合いに、自由に切り替えられるはず。もしも、この言いつけを守らなかったら…そうね―――」
プシュガシャン
「扉が閉まって、肝心のところが聞こえなかったんだけどぉぉぉぉぉぉ!?」
タイミングが悪いというかなんというか、さらにとんでもないものを聞き逃してしまった。
でも、しっかり守らなければどうなるのかは…うん、ミーちゃんがその身をもって示してしまったので、厳重に守らざるを得ないだろう。
何にしても、話を終えて色々な謎が解決したのは良いのだが、どっと疲れた気分になるのであった…
「…ああ、そういえば言うのを忘れていたわね」
自身の場所へ戻り、改めて仕事へ移り始めようとするなか、フロンはふと思い出して呟いた。
「そもそも何で、オンラインの世界で形成されて行ったものが、現実世界に出ても大丈夫なのか、女神になる媒体自体は血ではっきりしたけれども…うん、聞かなくても大丈夫そうだし、問題は無いわね。それよりも後で、死後の女神進路相談の用意をしておこうかな。えっと、こういうのに強いのはその系統に連なる子や、別系統だけども類に入るあの龍帝や…受け入れやすいように、ゆっくり、慣らしたほうが良いのかしら?」
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