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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.3-142 ありそうだったけどなかったもの

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 ミステリートレインの旅路も終わり、無事に帰還した今日この頃。
 本日はアルケディア・オンラインの久しぶりのアップデートということもあり、ミーちゃんと一緒にログインをできるはずだったのだが…

「…まさか、伯母さんのほうの用事で連れていかれるとはなぁ」
「その代わりに今日は休みだから、遊びに来たよ!」

 ミーちゃん、悲しいことにまたもや何かあったらしく、本日は欠席、
 その代わりにというか、妹の冬華がトーカとしてログインしており、本日は初期フィールドのある星にて合流していた。

 なお、トーカにもいくつかのテイムしたモンスターがいるはずだが、今回は全員ハウスシステム内にて留守番中。
 僕の方もマリーだけを出している状態だったが、これにはきちんとした理由があった。

「アップデート内容に、テイムモンスター熟練度の追加か…」
「室内モンスター用トレーニング器具をセットし、運動させることでテイムモンスターのステータスのアップか」

 今回のアップデートは、今までありそうでなかった部分の細かい調整が行われたらしい。
 テイムモンスターたちはこれまで全員一緒に出して戦闘を行ってたが、個体ごとの戦闘回数によって熟練度というステータスがセットされたようで、その数値が高ければ高いほど戦闘時のステータスがわずかながらもアップするらしい。

 調べてみたところ、僕のモンスターの中では一番最初からいたマリーがすでに限界値に達していたようで、後は他もう少しってところでなっていたので、せっかくだからステータスを強化することにした。

【シャゲシャゲェ】
「しかし、マリーのほうが一番高かかったか…あと10で、リンもなっていたんだけどなぁ」
「ずっとやっていた分もありつつ、一緒に過ごしていた時間とかも加算されているみたい。卵からふ化させたものがいたら、より加算され容易くなっているみたいだよ」

 そのおかげか、コユキやシアなども他のメンツより加入時期が遅かった割には、熟練度の度合いが皆と同じぐらいになっていた。
 セレアやルト、アリスもそこそこ高くあり、トレーニング器具を使えば皆短時間でカンストできそうだ。

「それに他アップデートで追加要素が…関係システムの変化か」
「フレンドに登録している相手から7人までを『親友』設定すると、一緒にパーティを組んだ時のステータスが1.2倍上昇するみたいだよね」

 お互いが了承していることが条件で、脅迫や取引によるものだと設定できないそうだが、使いようによっては中々強力なものが出た模様。
 その他にも、個人情報を機会が読み取ってなのか、家族関係などのものがあれば、それはそれでわずかにステータスが向上するようにもなっているようだ。

「そのうえ追加されたのが…『ブライダルシステム(仮想)』かぁ…プレイヤー同士のゲーム内での結婚によってカップルが成立すれば、こちらも双方が一緒にいるとステータスの大幅な上昇があるようだよね」
「オンラインならではの、関係構築による強化要素…今までありそうだったけど、なかったもんね」

 まぁ、そのブライダルシステムは要はゲーム内での結婚なので、この際告白してしまえと一気に告白ブームができたようで、あっちこっちにカップルが成立して祝福されているらしい。
 だがその一方で、こういうシステムがなかなか実装されなかった理由と言っていい様なものとして…

「…相手がいない人による、PvPの申し込みも増加か」
「リア充爆破!!ということで、実際に爆発系のスキルを使っている人がわんさか出始めたようだよ」

 文字通り爆破するやつがいてたまるかと言いたいが、ここはオンラインの世界。
 当然のように、現実では手に入れにくい様な爆発物も用意したり自前で起こせたりすることが可能であり、多少のペナルティがあれどもリア充特攻爆弾魔になる人もいるようだ。

 このぐらいであれば、しばらくすれば沈静化して平穏になるだろうが…当分はあちこちで祝福と怨嗟の爆発が起きるというカオスな状況が引き起こされるだろう。
 そして何よりも、こういう要素がある場合不安になるとすれば…

「…欲望戦隊がヤバそうだったけど…ああ、こっちはどうにかなったのか」

 リア充滅ぶべし委員会でも開いていそうな、究極の変態の集まりと言っても過言ではないだろう欲望戦隊。
 あの一味がこのブライダルシステムに対して、血の涙を流して全力で抗議として爆破を繰り返しかねない集団になる危険性があったわけなのだが、それを予想していなかったわけではなく、対策を取っていた人たちがすでに動いたらしい。

 あのメンツだと何気に孫がいるからこそ相手もいるミートさんには、その奥さんがブライダルシステムで結び、他の人を襲わないように拘束したようだ。
 一方で、タローンやスッケン、カックウもひとり身なのでこちらも危険性がありそうだったが…驚くべきことに、彼らによるリア充爆撃隊を防ぐために、立ち上がってブライダルシステムで結ばれた人がいたようなのだ。

 あの欲望戦隊が、まさかこのアップデートによって追加されたブライダルシステムによって、ついに変態の氷河期が消え去って春になったのかと思ったのだが…現実は悲しいものだった。


「…まさか、ティラリアさんからその解決策がだされるとは、思わなかった」
「でもこれ、解決したの?余計に悲惨なことになってない?」
「言わなくていいよ、トーカ。奴らに多少同情の余地はあるけどさ…」

…このブライダルシステム。対象はプレイヤー限定なのかと思いきや、実はちょっとした抜け道があった。
 各惑星に新しく特殊なダンジョンが追加されたようで、そのダンジョンの奥地にあるアイテムの中に、テイムモンスターと結ぶことが出来るようになるものが追加で出されたらしい。

 確かに、他のプレイヤーが苦手ででもステータス向上が狙えるならば、自分のモンスターでも構わない人とかもいるだろう。
 それに、マリーやリンのように人型に近いモンスターも少なくはないので、それらと結ばれたい人もいるのであれば需要はある。

 だが、今回は被害が出ないようにという名目で、悪用というべきかなんというか、彼らにとって不本意な使用がされたらしい。

「ミートンさんの奥さんによる全国シルバー連合とティラリアさんのところの未婚雌恐竜軍団の共闘による…いや、やめておこう」

…さんざん迷惑をかけられてはいたが、流石に男としては同情する。
 本来は双方の同意がなければだめなシステムでもあるらしいが…あっちはあっちで恐竜帝国の謎技術によってできた魅了のようなもので…ああ、彼らの冥福を祈るだけしかあるまい。

「でも、これはこれで相手ができたのであれば良いことではなかろうか」
「現実逃避のために、目を思いっきりそむけてない?」

 とりあえず、僕らには降りかかるようなものではないと思いつつ、アップデート要素は他にもいろいろとあるらしいので、そちらを楽しむ方向へ気持ちを切り替えるのであった…


「あ、でも情報だとカックウさんだけ何やら喜んでいるらしい」
「新しい扉でも開いたのかな…?」

…性癖は人それぞれだろうし、気にするようなことでもあるまい。むしろ、それで幸せになった人がいるのであれば、祝福してあげるべきか…
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