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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.0-7 一応、法の整備なども進みつつ

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‥‥‥リアルモンスタードールに関しては、現状は家の中でしか使えないようだ。

 何しろ、元々がアルケディア・オンラインに使用するVRMMO用の機器から電波やら何やらを受け取っているらしく、それから離れると効果を失うようだ。
 まあ、そのあたりは今後アップデートなどで範囲も広がるかもしれないし、今はまだ家の中にいてくれた方が都合が良いだろう。町中を普通にモンスターが動いているとなると、どう考えても騒ぎになる未来しか見えないからね。


 それでも現実に出れることだけでもテイムモンスターたちにとっては非常に好奇心溢れているようで、日中僕がログインせずに仕事に行っている間、ロロに見張ってもらいつつ部屋の中で好き勝手してもらうことにした。
 万が一に備えて防犯設備なども増やしたいが‥‥‥一応、現実でもゲームの中と同じような力が使えるのであれば、侵入者などがいてもその人たちの身の心配をするレベルになるだろう。炎や電撃の時点で、常人にはキッツいもんね。むしろ留守中の安全が高まった気がする。




 そんなわけで本日も見送られつつ、出社したのだが‥‥‥どうやら数年後にちょっとだけ制限をかけたものが発売されるという情報は公表されたようで、その話題に関して社内は盛り上がっていた。

「うぉぉぉぉ!!時間がかかるとは言え、それでも出てくるのであればそれで問題ない!!」
「延期されたとしても、うちのでっかいわんこを現実でももふるんだぁぁぁぁ!!」
「あほぅ!!ココは格好いいドラゴンでも呼べたらいいだろ!!」
「テイム出来ていないだろう?と言うかまだ、遭遇もできてないだろ?」
「いつか見つけ、テイムし、来るべき日に備えるだけだ!!」

「‥‥‥正確な発売日時や値段が公表されていないのに、凄い盛り上がりようだな」
「それでも楽しみなことは、プレイしている人たちなら同じだとは思うよ」
「ワクワクする発表、叶えるために頑張れるんだぁ」

 色々と楽しみになりつつ、やる気を出す社員一同。
 テイムモンスターを現実に呼びだせれば、それこそ寝ても覚めても共に生活を送れるような形なので、その生活を得たいのだろう。

 なお、社員のテイムモンスターを入手できているのは、実は半々ぐらいだったりする。全員がテイムモンスターを得ているわけではなくて、まだ得られない人もいるのだ。
 テイム条件や確率、こだわりに愛情を注ぐ作業などが多すぎる事で、まだその一歩を踏み出しきれなかったり、入ったとしても深みがあり過ぎてきりがない。

 まぁ、テイムモンスターに対して虐待とかするような人はここにはいないだろうなぁ‥‥‥いたとしても、どうなるのかは、テイムシステムが実装された時に判明しているからね。


 それはそうと、こういう現実に出てくる類となると人型のモンスターとかが人気になりそうだが、そうでない人も案外多い。
 モフモフ艶々つるつるふかふかもっそりんっと、様々な感触があるので、それらを楽しみたい人もいるようで、自分が得たテイムモンスターを純粋に呼び出したい人ばかりでもあるのだ。

「そう考えると、全員アルケディア・オンラインを楽しみまくっているなぁ。なんかドールが発売されたら、また社長辺りが何かやらかす気しかしないけどね」
「テイムモンスター品評会のような、自慢し合いと言うか、うちの子が一番可愛い選手権とかをやりそうだもんな」

 うんうんと同僚の言葉に、全員頷く。

 まぁ、楽しめているのであればそれで良いし、特に問題無さそう‥‥‥

「いや、でも技術が進んで出て来たとして、街中にでるとかありなのか?」
「あー、一部馬とか狼とか、重量がすごい奴や逆に軽すぎて飛ぶ奴もいるし、危ないかも?」
「そのあたりの法整備もされるのかねぇ?」

‥‥‥現実味のある言葉が出てきて、全員少しばかり落ち着いた。
 うん、夢のある話に対して冷静になれるのは良いけど冷まされるのもどうなのか。

「あ、その心配はないぞー!しっかりと考えられているからな!!」
「え?そうなの…‥って、太郎丸さん!?」
「いつの間に出社を!?」
「と言うか、遠方の方で仕事中では!?」

 ふと気が付くと、いつの間にかしばらく見かけていなかった太郎丸さんが社内にいた。

 いつの間にと言いたいが、どうやらついさっきようやくこちらの職場に戻ることが出来たようで、本日からまたココの部署で勤務するらしい。

「いやー、それにしても参ったよ。遠方の方の職場で働かされるのは、慣れない事ばかりで大変だったなぁ」
「一体何をしていたんですか?」
「メーゼ・イワド社との契約確認や、その子会社との新規契約、アルケディア・オンライン内でのプレイ確認やその他調整、細かい法律確認などなど…‥‥ははは、凄い激務過ぎて給料が上がったけどキッツいわぁ」

 女性社員たちによる儀式にも耐えていた人なのに、滅茶苦茶遠い目をする太郎丸さん。
 一応、残業とかは特になく、きちんと定時出社退社などはあったらしいが、その分濃密な内容が多く、非常に疲れたようである。

「とは言え、実体化して現実で触れ合えるドールなんていう代物の情報を聞いて、心を躍らせたね‥‥‥だって、得られれば確実に楽園が作れるじゃないかぁぁぁ!!」

 疲れているはずなのに、やる気をみなぎらせて彼はそう叫んだ。

 人の欲望と言うものは、無限のエネルギーを供給するのかと、その場にいた社員一同そう思うのであった…‥‥



「でも、テイムできないと意味ないですよね?」
「そうそう。そう言えば、太郎丸さんの好みのようなテイムモンスターって数はありますけど」
「まだ誰も、テイムしていないんですっけ?」
「‥‥‥ぐあああああああああ!!絶対に得たいのに、何故なんだぁぁぁぁ!!四六時中確実に可愛がりまくるのに、どうしてなんだぁぁぁぁ!!アルケディア・オンラインの中で孤児院とかがあるのを知ってそこでも積極的にやったのに、どういう訳か集まるのがオッサンばかりなのもどうなんだァァ!!」
「それ、孤児院とは違うのでは?」
「いや間違いなくそのはずなんだよ!!念のためバグかなと思って訴えてみたけど、そんな形跡もなく正常に稼働しているそうで、本当に分からなあぁぁぁい!!春、いや、ハルさん!!実体化させるドールが発売されたら全力で奢るので、どうにかこうにかアリスちゃんのようなのを増やして触れさせてほしいぃぃぃ!!」
「絶対に、断ります」

 まず、確実に触れる前に、燃やし尽くす気がする。

 うちの子に罪を犯させたくないし、絶対に今の時点でドールを得ていることは秘密にしておこう。

ぷぺぺぺ~♪

「あれ?誰かの携帯がなってますよ?」
「あ、僕のだ。ごめんごめん、マナーモードにしてなかった。でも、着信じゃなくてメールの通知音か」

 えっと、差出人は…‥‥おや?から?珍しいな。
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