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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~
ver.2.6-58 クリムゾンクリスタルの谷
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魔界の風景は黄昏時の色合いであり、場所によってはかなり幻想的な風景になり得るだろう。
襲い来る魔界のモンスターたちさえ無視できるような、安全な地帯であればその光景をノンビリと楽しめ、記念に画像に保存するために、ちょうどいい撮影スポットも確保しやすくなるはずである。
「ついでに船上からなら、高い位置から煌めくクリムゾンクリスタルも見やすい…‥‥空から見る気色も、また良いものだねぇ」
【シャゲシャゲェ】
【バルルルゥ】
うんうんと、僕のつぶやきに皆が頷きつつ、クリムゾンクリスタルの谷を大空から見下ろす。
船に乗ってしまえばあっという間に辿り着けてしまったし、空ならばあのキメラたち以外の敵も少ないので、快適に過ごしやすいのだ。
「それにしても、黄昏時の色合いに反射しての赤い光は幻想的だけど、ちょっとこう、黒魔術的な怪しさもあるな」
【実際、クリムゾンクリスタル自体は何かと魔界内で行われる儀式で使用されることが多いらしいデス。魔界限定の特殊鉱石だけに利用価値が色々と存在するようデスネ】
町の方で購入しておいた、魔界のガイドブックを読みながらロロがそう答える。魔界が弱肉強食の世界だとしても、その中にある神秘などを求めて動く人もいるようで、そう言った人たちが出版した本があったようだ。
そしてその中にはクリムゾンクリスタルを利用した錬金術や薬の調合、武器への転換などの方法もあるようで、毎年魔界内でのベストセラー賞に輝くのだとか。‥‥‥アルケディア・オンラインにも、ベストセラー賞があるのか。
何にしても中々幻想的な光景を生み出している谷だが、その利用価値の多さの割には、あちこちに綺麗なクリムゾンクリスタルが出ているのが気になるところだろう。
「採掘され尽くして、何もない谷になりそうなんだけどね」
【枯渇はしないそうですネ。クリムゾンクリスタルの発生理由は、魔界にしみ込んだ命が結晶化して出来上がるそうで、弱肉強食な世界でもある魔界だからこそ、生み出され続けるのでむしろ定期的な間引きが必要になるそうデス】
幻想的な景色の割には、物凄く物騒な理由があった。納得はしたけれども、あの結晶の一つ一つが命の輝きによって出来上がったものだと考えると、なんか複雑な気分になる。
でも、そんな事を考えさえしなければ確かに絶景の観光スポットであり、お勧めされる理由は良く分かるだろう。船の上からでもこんなに綺麗なのだから、地上で見てもかなり良い光景なのは間違いない。
「このままスクリーンショットしつつ、今日はここでログアウトしても‥‥‥ん?」
【ガウウ?】
っと、満足してきたので今日はここまででいいかと思っていた‥‥‥その時、ふと僕らは気が付いた。
「何だ、あれ?」
クリムゾンクリスタルの谷の奥の方で、一瞬何かが動いた。
いや、ほんの僅かではなく、気が付けば徐々にその赤い輝きの位置が移動してきて、こっちに向かってきているような、サイズがちょっとばかりおかしいような…‥‥
どずぅん、どずぅん、どずうぅん
「‥‥‥なぁ、皆、気のせいかな?なんかこう、大きな足音が聞こえてきているんだけど」
【オォォン】
【ギャベェイ】
どずぅんどずぅん、どどどどずぅ!!
「そしてついでに大きな塊が、こっちに気が付いて動いて‥‥‥」
【バルルルルル!!】
【気のせいではないようデス】
ドッゴォォォォォォォン!!
【グリリィィィィィィ!!】
「マジか、クリスタルのドラゴンが出て来たんだが!?」
周辺の岩場が吹き飛ばされ、周囲を輝きながら散っていくクリスタル。
そしてその吹き飛ばした元凶の姿が現れたが…‥‥それは全身をクリムゾンクリスタルで覆われた、いや、全身がクリスタルそのものの巨大なドラゴン。
確かまだ、ファンタジーをベースにしているアルケディア・オンラインでも、一部の鉱石や装備などに出ている程度でドラゴンそのものは実装されていないはず。
それなのに、目の前にいるのはどう見てもクリムゾンクリスタルで出来たドラゴンで、どう見たってこっちに目を向けており、襲う気満々なようにしか見えない。
「ロロ、魔導船グレイ号最大船速!!ドラゴンに襲われる前にすぐにこのエリアから脱出!!」
【了解デス!!ウッドマリーンズ緊急作動!!船体180度反転、現空域から全速離脱!!】
【【【ヨーヨー!!】】】
ドゴォォォォォンっと後方の混合爆裂薬による特性のジェットエンジンが火を噴き上げ、勢いよく船が加速し始める。
流石にドラゴン相手に戦うには準備不足過ぎるし、この不測の事態でてんぱってはいるのだが取りあえず今は逃げるしかない。
【グリィィィィィィィィィィ!!】
「って、追ってきているんだけど!?マリー、毒ガスを後方へ放出!!敵の目くらましを!!」
【シャゲェェ!!】
【ロロ、船をより加速させろ!!】
【了解、オーバーブースター全開、焼き尽くすギリギリで離脱させマス!!】
追われてきたので煙幕を後方にはりつつ、全力で船を進ませる。
それでも後方からドラゴンは追いかけてきており、敵対もしっかりしているのか時々ブレスを撃ち出してきてこちらを狙ってくる。
ゴォォォォォォォォウ!!
ドッゴォォン!!
ドゴォォォン!!
「ひぇぇぇ!!滅茶苦茶やって来るんだけど!?」
【どうやらしつこく追いかけて来るようデス。後部速射爆裂薬なども投下しているのですが、攻撃を緩める気はなく、明かに私達を獲物とみなして襲って来てますネ】
「どうしてこうなった!?」
魔界の空を全速力で突き進んでいるのだが、まったく離れることがないクリムゾンクリスタルドラゴン。
ただ偶然姿を見かけただけなのに、何が何でも喰らおうとする意志をひしひしと感じさせられる。
「ああもう、ここで黒き女神になってしまうのも手だけど、ちょっと不味いか!!」
この魔界には今、あの欲望戦隊が滞在しているわけで、離れた場所にいても嗅ぎつけてやってくる可能性が否定できない。
流石にあの戦隊の前でなるのは嫌なので、できるだけ温存したいがこの場では四の五の言って居られそうにもないだろう。
「っと、門が見えてきた!!表門へ向けろ!!」
かなりの速度で航行していたせいか、いつの間にか魔界に入る際に使用することになる『魔界門:表』
のところまで来ていたようで、ぐんぐん目の前にせまって来る。
どうやら今都合のいい事に他のプレイヤーたちが入ってきているわけでもないようで、このまま船ごと突っ込んで魔界から出ることができるかもしれない。まぁ、後方からドラゴンが追ってきて出てくる可能性も否定できなくはないが、あの巨体だと通過するにはちょっと狭いだろう。
ようやくこれで逃げ切れるかと、門があとちょっとのところになった‥‥‥次の瞬間。
【グリィィィィィィ!!】
バウゥッ!!ボッゴォォォォォォン!!
―――グリュン!!
「へ?」
後方から放たれたブレスが船を掠め、門へ直撃した。
壊れはしなかったようだが、その衝撃でぐるんと門が回転した時、門の色合いが一瞬真っ黒に切り替わった。
―――――
>『魔界門:表』に強力なエネルギーが注がれました!!
>今からほんの10分間、反転!!
>『魔界門:裏』への道が解放されました!!
―――――
ログに出てくる、突然の状況報告。
そしてそれを読む間もなく、色合いが変わった門の中へ船が突っ込む。
ドンガラガッシャバァンバリバリィィィィィィィ!!
「うわぁぁぁぁぁ!?」
【シャゲェ!?】【ガウゥゥ!?】【バルルルゥ!?】
【ギャビィベェェ!?】【オォォォォン!?】
【きゃぁぁぁ!?】
【【【ヨーヨーヨー!?】】】
凄まじい轟音が鳴り響き、そのままどこか別のところに流される感覚を感じ取るのであった‥‥‥‥
襲い来る魔界のモンスターたちさえ無視できるような、安全な地帯であればその光景をノンビリと楽しめ、記念に画像に保存するために、ちょうどいい撮影スポットも確保しやすくなるはずである。
「ついでに船上からなら、高い位置から煌めくクリムゾンクリスタルも見やすい…‥‥空から見る気色も、また良いものだねぇ」
【シャゲシャゲェ】
【バルルルゥ】
うんうんと、僕のつぶやきに皆が頷きつつ、クリムゾンクリスタルの谷を大空から見下ろす。
船に乗ってしまえばあっという間に辿り着けてしまったし、空ならばあのキメラたち以外の敵も少ないので、快適に過ごしやすいのだ。
「それにしても、黄昏時の色合いに反射しての赤い光は幻想的だけど、ちょっとこう、黒魔術的な怪しさもあるな」
【実際、クリムゾンクリスタル自体は何かと魔界内で行われる儀式で使用されることが多いらしいデス。魔界限定の特殊鉱石だけに利用価値が色々と存在するようデスネ】
町の方で購入しておいた、魔界のガイドブックを読みながらロロがそう答える。魔界が弱肉強食の世界だとしても、その中にある神秘などを求めて動く人もいるようで、そう言った人たちが出版した本があったようだ。
そしてその中にはクリムゾンクリスタルを利用した錬金術や薬の調合、武器への転換などの方法もあるようで、毎年魔界内でのベストセラー賞に輝くのだとか。‥‥‥アルケディア・オンラインにも、ベストセラー賞があるのか。
何にしても中々幻想的な光景を生み出している谷だが、その利用価値の多さの割には、あちこちに綺麗なクリムゾンクリスタルが出ているのが気になるところだろう。
「採掘され尽くして、何もない谷になりそうなんだけどね」
【枯渇はしないそうですネ。クリムゾンクリスタルの発生理由は、魔界にしみ込んだ命が結晶化して出来上がるそうで、弱肉強食な世界でもある魔界だからこそ、生み出され続けるのでむしろ定期的な間引きが必要になるそうデス】
幻想的な景色の割には、物凄く物騒な理由があった。納得はしたけれども、あの結晶の一つ一つが命の輝きによって出来上がったものだと考えると、なんか複雑な気分になる。
でも、そんな事を考えさえしなければ確かに絶景の観光スポットであり、お勧めされる理由は良く分かるだろう。船の上からでもこんなに綺麗なのだから、地上で見てもかなり良い光景なのは間違いない。
「このままスクリーンショットしつつ、今日はここでログアウトしても‥‥‥ん?」
【ガウウ?】
っと、満足してきたので今日はここまででいいかと思っていた‥‥‥その時、ふと僕らは気が付いた。
「何だ、あれ?」
クリムゾンクリスタルの谷の奥の方で、一瞬何かが動いた。
いや、ほんの僅かではなく、気が付けば徐々にその赤い輝きの位置が移動してきて、こっちに向かってきているような、サイズがちょっとばかりおかしいような…‥‥
どずぅん、どずぅん、どずうぅん
「‥‥‥なぁ、皆、気のせいかな?なんかこう、大きな足音が聞こえてきているんだけど」
【オォォン】
【ギャベェイ】
どずぅんどずぅん、どどどどずぅ!!
「そしてついでに大きな塊が、こっちに気が付いて動いて‥‥‥」
【バルルルルル!!】
【気のせいではないようデス】
ドッゴォォォォォォォン!!
【グリリィィィィィィ!!】
「マジか、クリスタルのドラゴンが出て来たんだが!?」
周辺の岩場が吹き飛ばされ、周囲を輝きながら散っていくクリスタル。
そしてその吹き飛ばした元凶の姿が現れたが…‥‥それは全身をクリムゾンクリスタルで覆われた、いや、全身がクリスタルそのものの巨大なドラゴン。
確かまだ、ファンタジーをベースにしているアルケディア・オンラインでも、一部の鉱石や装備などに出ている程度でドラゴンそのものは実装されていないはず。
それなのに、目の前にいるのはどう見てもクリムゾンクリスタルで出来たドラゴンで、どう見たってこっちに目を向けており、襲う気満々なようにしか見えない。
「ロロ、魔導船グレイ号最大船速!!ドラゴンに襲われる前にすぐにこのエリアから脱出!!」
【了解デス!!ウッドマリーンズ緊急作動!!船体180度反転、現空域から全速離脱!!】
【【【ヨーヨー!!】】】
ドゴォォォォォンっと後方の混合爆裂薬による特性のジェットエンジンが火を噴き上げ、勢いよく船が加速し始める。
流石にドラゴン相手に戦うには準備不足過ぎるし、この不測の事態でてんぱってはいるのだが取りあえず今は逃げるしかない。
【グリィィィィィィィィィィ!!】
「って、追ってきているんだけど!?マリー、毒ガスを後方へ放出!!敵の目くらましを!!」
【シャゲェェ!!】
【ロロ、船をより加速させろ!!】
【了解、オーバーブースター全開、焼き尽くすギリギリで離脱させマス!!】
追われてきたので煙幕を後方にはりつつ、全力で船を進ませる。
それでも後方からドラゴンは追いかけてきており、敵対もしっかりしているのか時々ブレスを撃ち出してきてこちらを狙ってくる。
ゴォォォォォォォォウ!!
ドッゴォォン!!
ドゴォォォン!!
「ひぇぇぇ!!滅茶苦茶やって来るんだけど!?」
【どうやらしつこく追いかけて来るようデス。後部速射爆裂薬なども投下しているのですが、攻撃を緩める気はなく、明かに私達を獲物とみなして襲って来てますネ】
「どうしてこうなった!?」
魔界の空を全速力で突き進んでいるのだが、まったく離れることがないクリムゾンクリスタルドラゴン。
ただ偶然姿を見かけただけなのに、何が何でも喰らおうとする意志をひしひしと感じさせられる。
「ああもう、ここで黒き女神になってしまうのも手だけど、ちょっと不味いか!!」
この魔界には今、あの欲望戦隊が滞在しているわけで、離れた場所にいても嗅ぎつけてやってくる可能性が否定できない。
流石にあの戦隊の前でなるのは嫌なので、できるだけ温存したいがこの場では四の五の言って居られそうにもないだろう。
「っと、門が見えてきた!!表門へ向けろ!!」
かなりの速度で航行していたせいか、いつの間にか魔界に入る際に使用することになる『魔界門:表』
のところまで来ていたようで、ぐんぐん目の前にせまって来る。
どうやら今都合のいい事に他のプレイヤーたちが入ってきているわけでもないようで、このまま船ごと突っ込んで魔界から出ることができるかもしれない。まぁ、後方からドラゴンが追ってきて出てくる可能性も否定できなくはないが、あの巨体だと通過するにはちょっと狭いだろう。
ようやくこれで逃げ切れるかと、門があとちょっとのところになった‥‥‥次の瞬間。
【グリィィィィィィ!!】
バウゥッ!!ボッゴォォォォォォン!!
―――グリュン!!
「へ?」
後方から放たれたブレスが船を掠め、門へ直撃した。
壊れはしなかったようだが、その衝撃でぐるんと門が回転した時、門の色合いが一瞬真っ黒に切り替わった。
―――――
>『魔界門:表』に強力なエネルギーが注がれました!!
>今からほんの10分間、反転!!
>『魔界門:裏』への道が解放されました!!
―――――
ログに出てくる、突然の状況報告。
そしてそれを読む間もなく、色合いが変わった門の中へ船が突っ込む。
ドンガラガッシャバァンバリバリィィィィィィィ!!
「うわぁぁぁぁぁ!?」
【シャゲェ!?】【ガウゥゥ!?】【バルルルゥ!?】
【ギャビィベェェ!?】【オォォォォン!?】
【きゃぁぁぁ!?】
【【【ヨーヨーヨー!?】】】
凄まじい轟音が鳴り響き、そのままどこか別のところに流される感覚を感じ取るのであった‥‥‥‥
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