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探しましょう、あなたとの夢を
第五十三話 便利な魔法は使うに限る
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…雪が降り積もり、あたり一面は銀世界となる今日この頃。
寒さゆえにコタツの中にもぐってゆっくり過ごしたい人も多そうだが、降り積もり過ぎると今度は雪による交通の支障や建物の倒壊の危険性もある。
流石に物凄いドカ雪が降ってきたわけではないが、それでも対策するに越したことはなく、積もった雪をどうにかして除雪する道を選ぶ人が多いようだ。
地道にスコップを使って掘ったり、炎の魔法で溶かしたり溶けやすくして掘削したり、雪だるまを作って遊びと兼ねて行うなど、様々な手段がある。
そんな中で、ハクロが取った手段としては…
【それそれそれっと!!次々収納に入れてしまえば、楽々お片付けができますね!!】
「わーお、示した部分からすぽぽんと収められていくから、どこか不思議な光景に見えるなぁ…」
雪かきをするのに道具を使用せず、彼女は収納魔法をフル活用していた。
流石にまとめて一気に収納すると、後で整理するのが面倒なので少しづつ入れていく形のようだが、それでも除雪後の雪の置き場に困らないし、お手軽さでいえば群を抜いているだろう。
【それに、ある程度蓄えておけば、暑い夏場に取り出して涼めますしね】
「そういう活用法もあるか…」
「ふーむ、便利だな、収納魔法」
「でもあれって、覚えるのが非常に大変というからなぁ…それでもあのお手軽さがうらやましいよ」
ひょいひょい気楽にハクロが雪を収納していく中で、周囲で除雪作業をしていた人たちがそう口々に言う。
無理な肉体労働もせずに、お手軽にできる除雪というのはどこの世界でも欲されるものなのだろうか…いや、雪が降る地域限定だろうな。物凄く暑い砂漠地帯だと…水の確保とかで需要はあるか?
とにもかくにも、どんどんハクロが除雪していくからこそ、あっという間に周囲の雪は多少残されつつも綺麗に失われていく。
まだまだ降っている様子だが、この調子であれば積雪よりも除雪のほうのペースが上回るので、大して積もらなくなるだろう。
「それにしても、魔法有りとはいえ、短時間できれいさっぱりしまうとは…凄いよ、ハクロ」
【ふふふ、旦那様に褒められて物凄く気分が良いですよ】
褒めると物凄い笑顔でそう口にするハクロ。
魔法の力があるとはいえ、前世では考えられないような速度で終わらせてしまったことに素直に感嘆させられるだろう。
【旦那様に褒められてノリノリなので、王都全部の雪をしまっていきますよー!!】
「そこまでガンガン収納すると、間違って人とか収納しないよね?」
【大丈夫ですよ。収納魔法はすごく万能ってわけでもなくて、しまえないものもありますからね。…状況に応じてしまっているものを出せるのは非常に便利ですが、流石にしっかり分けて行かないと、ごちゃごちゃになって出しづらいですからね…】
わかりやすく言えば、某青猫ロボットの慌てふためく感じになるってことだろうか。
一応、多少は融通が利くようでそんなことになるのはそうそうないようだが、万能な魔法というわけでもないので、そこはしっかりと分けてしまうほうが後々楽らしい。
【でも、やる気に満ち溢れてますからどんどんやって…ん?】
腕をぐるぐる回し、まだまだやる気十分なそぶりを見せていた中、ふと、ハクロが何かに気が付いたように動きを止めた。
【…ふむ、これちょっと、不味いですかね】
「何が?」
【多分、魔獣なら感じ取れると思うのですが…旦那様、これ以上冷えるのは嫌ですよね?】
「え、ああ、うん。そうだけど」
【なら、せっかくですし…ちょっと狩ってきますね】
そう言いながら、ハクロは収納からモフモフなコートを取り出して着用し、どこかへ向かい始めた。
「何をする気なんだろうか…?」
この寒い中で、何を感じて何を狩ろうとしているのか。
何とも言いようがない不安を抱かされるのであった…
【ああ、そうそう私の留守中に旦那様が襲撃されないように、糸を付けておきますね】
「すぐ戻ってきたけど、何つけたの、コレ」
【何かあれば、私が一瞬で瞬間移動してこれる印です】
…さらっとやばいもの、習得していないかな?え、瞬間移動ってついに空間跳躍系のものを習得してしまったの?
寒さゆえにコタツの中にもぐってゆっくり過ごしたい人も多そうだが、降り積もり過ぎると今度は雪による交通の支障や建物の倒壊の危険性もある。
流石に物凄いドカ雪が降ってきたわけではないが、それでも対策するに越したことはなく、積もった雪をどうにかして除雪する道を選ぶ人が多いようだ。
地道にスコップを使って掘ったり、炎の魔法で溶かしたり溶けやすくして掘削したり、雪だるまを作って遊びと兼ねて行うなど、様々な手段がある。
そんな中で、ハクロが取った手段としては…
【それそれそれっと!!次々収納に入れてしまえば、楽々お片付けができますね!!】
「わーお、示した部分からすぽぽんと収められていくから、どこか不思議な光景に見えるなぁ…」
雪かきをするのに道具を使用せず、彼女は収納魔法をフル活用していた。
流石にまとめて一気に収納すると、後で整理するのが面倒なので少しづつ入れていく形のようだが、それでも除雪後の雪の置き場に困らないし、お手軽さでいえば群を抜いているだろう。
【それに、ある程度蓄えておけば、暑い夏場に取り出して涼めますしね】
「そういう活用法もあるか…」
「ふーむ、便利だな、収納魔法」
「でもあれって、覚えるのが非常に大変というからなぁ…それでもあのお手軽さがうらやましいよ」
ひょいひょい気楽にハクロが雪を収納していく中で、周囲で除雪作業をしていた人たちがそう口々に言う。
無理な肉体労働もせずに、お手軽にできる除雪というのはどこの世界でも欲されるものなのだろうか…いや、雪が降る地域限定だろうな。物凄く暑い砂漠地帯だと…水の確保とかで需要はあるか?
とにもかくにも、どんどんハクロが除雪していくからこそ、あっという間に周囲の雪は多少残されつつも綺麗に失われていく。
まだまだ降っている様子だが、この調子であれば積雪よりも除雪のほうのペースが上回るので、大して積もらなくなるだろう。
「それにしても、魔法有りとはいえ、短時間できれいさっぱりしまうとは…凄いよ、ハクロ」
【ふふふ、旦那様に褒められて物凄く気分が良いですよ】
褒めると物凄い笑顔でそう口にするハクロ。
魔法の力があるとはいえ、前世では考えられないような速度で終わらせてしまったことに素直に感嘆させられるだろう。
【旦那様に褒められてノリノリなので、王都全部の雪をしまっていきますよー!!】
「そこまでガンガン収納すると、間違って人とか収納しないよね?」
【大丈夫ですよ。収納魔法はすごく万能ってわけでもなくて、しまえないものもありますからね。…状況に応じてしまっているものを出せるのは非常に便利ですが、流石にしっかり分けて行かないと、ごちゃごちゃになって出しづらいですからね…】
わかりやすく言えば、某青猫ロボットの慌てふためく感じになるってことだろうか。
一応、多少は融通が利くようでそんなことになるのはそうそうないようだが、万能な魔法というわけでもないので、そこはしっかりと分けてしまうほうが後々楽らしい。
【でも、やる気に満ち溢れてますからどんどんやって…ん?】
腕をぐるぐる回し、まだまだやる気十分なそぶりを見せていた中、ふと、ハクロが何かに気が付いたように動きを止めた。
【…ふむ、これちょっと、不味いですかね】
「何が?」
【多分、魔獣なら感じ取れると思うのですが…旦那様、これ以上冷えるのは嫌ですよね?】
「え、ああ、うん。そうだけど」
【なら、せっかくですし…ちょっと狩ってきますね】
そう言いながら、ハクロは収納からモフモフなコートを取り出して着用し、どこかへ向かい始めた。
「何をする気なんだろうか…?」
この寒い中で、何を感じて何を狩ろうとしているのか。
何とも言いようがない不安を抱かされるのであった…
【ああ、そうそう私の留守中に旦那様が襲撃されないように、糸を付けておきますね】
「すぐ戻ってきたけど、何つけたの、コレ」
【何かあれば、私が一瞬で瞬間移動してこれる印です】
…さらっとやばいもの、習得していないかな?え、瞬間移動ってついに空間跳躍系のものを習得してしまったの?
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