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出会いましょう、新しい世界と共に
第六話 意気揚々と先へ行き
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…どこかで誰かの胃が爆破されただろうが、そんなことはさておき、無事にハクロも一緒についていけることになった。
蜘蛛の魔獣である彼女がどういう立場でついていけるのかといえば…
「…保護者兼要注意観察対象かぁ」
王都へ向かう一日前、家の中で荷物の整理をしながら明日の準備を進める中で、伯爵家から頂いた彼女の王都滞在許可書というものと、その理由が書かれた書類を読んでルドはそうつぶやいた。
保護者という枠組みになっているのは理解できるだろう。彼女の詳しい年齢は不明だが、見た目などから大人の立場の方にはあり、子供を見るうえで保護者としての扱いができるというのは考えられるからだ。
だが、要注意観察対象というのは…これはもう、しっかり見ていないといけない相手として登録されているようだ。
何しろ、うかつに機嫌を損ねれば、いや、ルドと離れるようなことがあった場合、彼女が暴走する可能性は否定できない。実際に、この許可が得られるまで本気で国を滅ぼしかねなかったし、そのこともあってか、注意書きにはしっかりと彼女と一緒にいてほしいということも書かれており、やらかした場合、伯爵の胃がはるか宇宙の彼方へ旅立つことが予想できる。
いや、伯爵の胃どころか大勢が旅立ちかねない…うん、責任重大だな。
「ハクロ、一応これ、大人の人たちが一生懸命走りまわって得てくれたものだから、しっかり注意事項を読んで守ってよ?そうじゃないと、一緒に向かえないからね」
【わかっていますよ、旦那様。旦那様にご迷惑をおかけになることがない様に、何をどうしたらいいのか把握するのも大事ですからね】
騒ぎになるようなことをやらかしている時点で、十分かけているような気がしなくもないのだが…ツッコミを入れたところで、意味をなさないだろう。
何にしても、明日には村に王都へ向かうための馬車が到着して、それに乗車して向かっていくことになる。
今年入学する人たちが先に向かうことになるようで、先に通っていた人たちはもう少し後のほうに出る馬車に乗ることになる。
そして、村一つから出る子供の数は少ないが、道中他の村や町にも立ち寄って、教育機関へ入学できる者たちを乗せていくことからかなり大型の馬車が追加されながら進むことになるようだ。
「確か、明日一緒に出るのはクレヤンとルンバの二人だったかな?」
この村の中で一緒に遊ぶ同年代の少年たちであり、仲は悪くはない。
でも、道中の村々で途中から乗車してくる人たちと仲良くできるかは…そこは、不安なところだろう。
というか、一番の不安要素がそばにいるからなぁ。
「ハクロ、途中で乗ってくる人たちはハクロのことは全く知らない人が多いから、不安にさせるようなことはしちゃ駄目だよ」
【大丈夫ですよ、私が他の人を不安にさせるような魔獣に見えますかね?】
「うーん、蜘蛛部分を除けば別の不安もありそうだけど…例えば、気に入らないからって理不尽な理由で喧嘩を売ってきて俺を殴るやつがいたら?」
【---(ピーピー)】
「さらっとえげつないことやらないでよ!?」
色々と表には出せないようなR18G指定になりそうなものを言わないで!!聞いてしまったこっちの背筋がぞわっと悪寒を感じさせられたんだけど!!
普段優しいけど、戦闘時とかの時の冷酷な雰囲気のギャップ差が激しいってば!!
道中でうかつに誰かがやらかして、肉塊…いや、それよりももっと悲惨な目に遭わないようにするためにも、全力で彼女を褒めて抑えたり、注意喚起を徹底しようと心の中で決めるのであった。
「あ、そうだハクロ、こっちの荷物はまとまったから、収納魔法で収納してくれ」
【わかりましたよー。えっと、どこに入れたかわかるようにラベルを貼ってと…】
…転生者にありそうなチートな魔法なのに、自分は持たずハクロが持っているのはちょっとずるいような気がするが、頼めば入れてくれるから良しとしよう。
便利といえば便利だけど、慌てると某青猫ロボのように思ったものを出せなくなるって欠陥もあるというが…うーん、やっぱり羨ましく思ってしまうな。
夜が更けていく中、コレデナイト辺境伯爵の屋敷内では、辺境伯が眠れぬ夜を過ごしていた。
「ふぅ…どうにかこうにか許可を取って向かえるようにしたが…凄まじい力を持つ魔獣を暴れさせないようにするとは、こうも大変なことだったとはなぁ」
「ご苦労様です、伯爵様」
「これならば、たまにちょっかいをかけてくる馬鹿どもの相手をしている方がましだな」
辺境伯…一見すると、辺境の地のほうにいる立場から、王族がいる王都から離れているのでそこまで地位は高くないと思い込む輩はいるだろう。
だが、実際のところはそうではなく、むしろ国境との近くにいるために他国との接触もあり、争いごとが起きかけたり、国境線を守るための戦いが必要になるなど、何かと重要なことが多いために貴族としての力は上なのである。
そのため今回のハクロの王都に入る許可に関しても、少々の無理があったとはいえ、希望を叶えるほどの力はあった。
まぁ、下手に暴れられるよりも自由に過ごしてもらうことで、暴れたときに考えられる損害をなくして可能な限りの利益を確保するという目的もあったが…それでも、色々と苦労しただろう。
「だが、王都が壊滅するよりもマシだな…幸い、彼女がルドという少年にくっついているため、下手なフリーの魔獣よりも制御しやすいな」
これが何も大事なものがない、ただ暴れるだけの災害のような相手だったら、流石に逃亡せざるを得ない。
けれども、ハクロはそうではなく、きちんとした人に近い理性もあるようだし、付き合い方をうまくしていけば領地の発展に役立つので、その付き合い方を探りつつ仲良くする方が利益を出せるだろう。
「しかし…そうなってくると、今度は別の不安があるな」
「といいますと?」
無言でワイングラスを出してきたので、意図を読み取って執事は注ぎながら問いかけた。
「いや、こちらはしばらく住んでもらったからこそ、彼女の実力が良く理解させられている。それでも、見たことがない奴だと…下手なことをやらかしそうでな」
分類的に蜘蛛の魔獣に分けられているが、ハクロの人部分の造形は絶世の美女と言って過言ではないだろう。
人ならざる蜘蛛の部分がありつつも、そこを目にしないようにすれば美しい容姿である。
その容姿に対して、下心丸出しになる輩に心当たりが多すぎて、さらに言えばそこで欲を出してやらかしそうな者たちもおり…思考を放棄したくなる。
「馬鹿をやらかして、一つの貴族家が灰燼になったとしても、出来る限り自己責任で解決してもらおう…そのためにも、色々根回しもしたからなぁ…」
「こういう時に、学生時代に友人を作ってつながりを持っていたのは良かったことでございますな」
持つべきものは、友である。
かつて偉大な恩師が言った言葉に、救われたような気持になる辺境伯爵。
もしも持たずに、何も対策をせずに放置していたら…その時こそ、色々と終った可能性があるだろう。
「とりあえず、あとは在学中に面倒ごとがない様に、祈るだけだな…ああ、何故だろう。彼らの親ではないはずなのに、親のような心配を持ってしまうのは…」
「伯爵様も親でございましょう。他国へ留学されている、ご子息様へたまにお会いに向かうのもよろしいかと思われますぞ」
「それもそうだな。よし、ここまで頑張った自分への褒美として、今度の休みに子供たちへ合いに向かうとしよう。予定を調整してくれ」
「わかりました」
疲れた時があったときは、大事な身内に会って精神を癒すのも手である。
子供の元気な顔を見るのも、親としては喜ばしいことなので、楽しみにするのであった…
「ああ、そういえば伯爵様。そのご子息様より手紙が」
「何かあったか?」
「ええ、何でも隣国のほうから噂話で入ってきたようですが、先日滅びの谷の黒竜という名の魔獣が何者かによって倒されたようで、その亡骸からとれる素材で潤ったから祭りがおこなわれるそうで…」
「ほぅ、誰かは知らぬが素材を放棄しつつ、厄介ごとの種だったと聞く魔獣を倒すとは…ん?」
…ふと、何やら最近どこかで聞いたような言葉があった気がした。
しかし、そこで気が付くのは何か不味いと思い、考えを振り払うのであった。
「うん、気のせいだ、多分。祭りなら、それはそれで楽しめそうだな…」
蜘蛛の魔獣である彼女がどういう立場でついていけるのかといえば…
「…保護者兼要注意観察対象かぁ」
王都へ向かう一日前、家の中で荷物の整理をしながら明日の準備を進める中で、伯爵家から頂いた彼女の王都滞在許可書というものと、その理由が書かれた書類を読んでルドはそうつぶやいた。
保護者という枠組みになっているのは理解できるだろう。彼女の詳しい年齢は不明だが、見た目などから大人の立場の方にはあり、子供を見るうえで保護者としての扱いができるというのは考えられるからだ。
だが、要注意観察対象というのは…これはもう、しっかり見ていないといけない相手として登録されているようだ。
何しろ、うかつに機嫌を損ねれば、いや、ルドと離れるようなことがあった場合、彼女が暴走する可能性は否定できない。実際に、この許可が得られるまで本気で国を滅ぼしかねなかったし、そのこともあってか、注意書きにはしっかりと彼女と一緒にいてほしいということも書かれており、やらかした場合、伯爵の胃がはるか宇宙の彼方へ旅立つことが予想できる。
いや、伯爵の胃どころか大勢が旅立ちかねない…うん、責任重大だな。
「ハクロ、一応これ、大人の人たちが一生懸命走りまわって得てくれたものだから、しっかり注意事項を読んで守ってよ?そうじゃないと、一緒に向かえないからね」
【わかっていますよ、旦那様。旦那様にご迷惑をおかけになることがない様に、何をどうしたらいいのか把握するのも大事ですからね】
騒ぎになるようなことをやらかしている時点で、十分かけているような気がしなくもないのだが…ツッコミを入れたところで、意味をなさないだろう。
何にしても、明日には村に王都へ向かうための馬車が到着して、それに乗車して向かっていくことになる。
今年入学する人たちが先に向かうことになるようで、先に通っていた人たちはもう少し後のほうに出る馬車に乗ることになる。
そして、村一つから出る子供の数は少ないが、道中他の村や町にも立ち寄って、教育機関へ入学できる者たちを乗せていくことからかなり大型の馬車が追加されながら進むことになるようだ。
「確か、明日一緒に出るのはクレヤンとルンバの二人だったかな?」
この村の中で一緒に遊ぶ同年代の少年たちであり、仲は悪くはない。
でも、道中の村々で途中から乗車してくる人たちと仲良くできるかは…そこは、不安なところだろう。
というか、一番の不安要素がそばにいるからなぁ。
「ハクロ、途中で乗ってくる人たちはハクロのことは全く知らない人が多いから、不安にさせるようなことはしちゃ駄目だよ」
【大丈夫ですよ、私が他の人を不安にさせるような魔獣に見えますかね?】
「うーん、蜘蛛部分を除けば別の不安もありそうだけど…例えば、気に入らないからって理不尽な理由で喧嘩を売ってきて俺を殴るやつがいたら?」
【---(ピーピー)】
「さらっとえげつないことやらないでよ!?」
色々と表には出せないようなR18G指定になりそうなものを言わないで!!聞いてしまったこっちの背筋がぞわっと悪寒を感じさせられたんだけど!!
普段優しいけど、戦闘時とかの時の冷酷な雰囲気のギャップ差が激しいってば!!
道中でうかつに誰かがやらかして、肉塊…いや、それよりももっと悲惨な目に遭わないようにするためにも、全力で彼女を褒めて抑えたり、注意喚起を徹底しようと心の中で決めるのであった。
「あ、そうだハクロ、こっちの荷物はまとまったから、収納魔法で収納してくれ」
【わかりましたよー。えっと、どこに入れたかわかるようにラベルを貼ってと…】
…転生者にありそうなチートな魔法なのに、自分は持たずハクロが持っているのはちょっとずるいような気がするが、頼めば入れてくれるから良しとしよう。
便利といえば便利だけど、慌てると某青猫ロボのように思ったものを出せなくなるって欠陥もあるというが…うーん、やっぱり羨ましく思ってしまうな。
夜が更けていく中、コレデナイト辺境伯爵の屋敷内では、辺境伯が眠れぬ夜を過ごしていた。
「ふぅ…どうにかこうにか許可を取って向かえるようにしたが…凄まじい力を持つ魔獣を暴れさせないようにするとは、こうも大変なことだったとはなぁ」
「ご苦労様です、伯爵様」
「これならば、たまにちょっかいをかけてくる馬鹿どもの相手をしている方がましだな」
辺境伯…一見すると、辺境の地のほうにいる立場から、王族がいる王都から離れているのでそこまで地位は高くないと思い込む輩はいるだろう。
だが、実際のところはそうではなく、むしろ国境との近くにいるために他国との接触もあり、争いごとが起きかけたり、国境線を守るための戦いが必要になるなど、何かと重要なことが多いために貴族としての力は上なのである。
そのため今回のハクロの王都に入る許可に関しても、少々の無理があったとはいえ、希望を叶えるほどの力はあった。
まぁ、下手に暴れられるよりも自由に過ごしてもらうことで、暴れたときに考えられる損害をなくして可能な限りの利益を確保するという目的もあったが…それでも、色々と苦労しただろう。
「だが、王都が壊滅するよりもマシだな…幸い、彼女がルドという少年にくっついているため、下手なフリーの魔獣よりも制御しやすいな」
これが何も大事なものがない、ただ暴れるだけの災害のような相手だったら、流石に逃亡せざるを得ない。
けれども、ハクロはそうではなく、きちんとした人に近い理性もあるようだし、付き合い方をうまくしていけば領地の発展に役立つので、その付き合い方を探りつつ仲良くする方が利益を出せるだろう。
「しかし…そうなってくると、今度は別の不安があるな」
「といいますと?」
無言でワイングラスを出してきたので、意図を読み取って執事は注ぎながら問いかけた。
「いや、こちらはしばらく住んでもらったからこそ、彼女の実力が良く理解させられている。それでも、見たことがない奴だと…下手なことをやらかしそうでな」
分類的に蜘蛛の魔獣に分けられているが、ハクロの人部分の造形は絶世の美女と言って過言ではないだろう。
人ならざる蜘蛛の部分がありつつも、そこを目にしないようにすれば美しい容姿である。
その容姿に対して、下心丸出しになる輩に心当たりが多すぎて、さらに言えばそこで欲を出してやらかしそうな者たちもおり…思考を放棄したくなる。
「馬鹿をやらかして、一つの貴族家が灰燼になったとしても、出来る限り自己責任で解決してもらおう…そのためにも、色々根回しもしたからなぁ…」
「こういう時に、学生時代に友人を作ってつながりを持っていたのは良かったことでございますな」
持つべきものは、友である。
かつて偉大な恩師が言った言葉に、救われたような気持になる辺境伯爵。
もしも持たずに、何も対策をせずに放置していたら…その時こそ、色々と終った可能性があるだろう。
「とりあえず、あとは在学中に面倒ごとがない様に、祈るだけだな…ああ、何故だろう。彼らの親ではないはずなのに、親のような心配を持ってしまうのは…」
「伯爵様も親でございましょう。他国へ留学されている、ご子息様へたまにお会いに向かうのもよろしいかと思われますぞ」
「それもそうだな。よし、ここまで頑張った自分への褒美として、今度の休みに子供たちへ合いに向かうとしよう。予定を調整してくれ」
「わかりました」
疲れた時があったときは、大事な身内に会って精神を癒すのも手である。
子供の元気な顔を見るのも、親としては喜ばしいことなので、楽しみにするのであった…
「ああ、そういえば伯爵様。そのご子息様より手紙が」
「何かあったか?」
「ええ、何でも隣国のほうから噂話で入ってきたようですが、先日滅びの谷の黒竜という名の魔獣が何者かによって倒されたようで、その亡骸からとれる素材で潤ったから祭りがおこなわれるそうで…」
「ほぅ、誰かは知らぬが素材を放棄しつつ、厄介ごとの種だったと聞く魔獣を倒すとは…ん?」
…ふと、何やら最近どこかで聞いたような言葉があった気がした。
しかし、そこで気が付くのは何か不味いと思い、考えを振り払うのであった。
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