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2.元傾国の悪女は、平凡な今世を熱望する
2.幸せの必要条件(1)
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(あんのクッソ王子め!)
宣言通り、エルヴィス殿下はわたしのことを容赦なく扱き使った。
書類の作成はもとより、ある時は教師たちとの調整に。またある時は生徒達への意向調査に。文字通り殿下の手足となって奔走した。
二ヶ月後には学園祭なんかも控えているし、正直言って忙しすぎる。
(生徒会長なんてクソ面倒くさいって言ってたくせに!)
殿下の無駄に良い外面のせいで、本来ならばやらなくても良いような仕事まで生徒会に回ってきている。そのせいでわたしや他のメンバーが忙しくなるんだから、堪ったもんじゃなかった。
「すみません、ザラ。殿下は頼まれると断れない性格で」
側近の一人、タレ目で中性的な顔立ちをしたレオンがペコリと頭を下げる。殺伐とした生徒会の中で、唯一の癒し系男子。だけど、空気が読めないというか……タイミング悪くわたしの地雷を踏むことが多い人だ。
「……断れない性格?」
嫌味っぽく言い返しつつ、口の端がヒクヒク動く。
殿下は表向きは温和で優しい、完璧な王子様かもしれない。だけど、生徒会室にいる時は清々しいほど『俺様プリンス』に変貌する。後者の方が本性なんだから、レオンの言う『断れない性格』って言うのは明らかに語弊がある。
(わたし、何回あいつに『却下』って言われたか覚えてないんだけど)
休暇の申請を出しても、仕事を減らすよう頼んでも、邪悪な笑みで却下された。深く根に持って当たり前だろう。
レオンはもう一度「すみません」って口にしながら苦笑を浮かべた。
(ホント、あいつのせいで予定が狂いまくりなんだけど)
魔術科から生徒会役員が立つのは学園の伝統だ。
一番の理由は在籍する生徒の比率の問題なんだけど、魔法が使えるってことは結構重宝されるらしい。おかげで、レオンや他のメンバーからもあれこれ頼まれて、手を抜く暇もありゃしなかった。
(何よ。魔法を使えるのはわたしだけじゃないのに)
この部屋の主であるエルヴィス殿下は、普通科(っていっても在籍するのは貴族だけだけど)に在籍しているくせに、実は強い魔力を持っている。
けれど、側近たちにもその事実を隠しているのか、将又単に面倒くさいだけなのか、魔法を使う案件は、全てわたしに回って来ていた。
その癖、殿下本人は涼し気な顔をして生徒会室の中央に鎮座しているものだから、見ていて中々腹立たしい。
まぁ、側近が王子相手に仕事を割り振るなんて、難しい話なのかもしれないけど。だったら生徒会長なんて役職を引き受けるなって話だし。
(っていうか、王子というよりキングよね、あの人)
自分=法律というか、俺様というか……。どうやったらあんなに人使いが荒くなれるのか。あんなにも自分に自信を持てるのか。教えてほしいぐらいだ。
最初のうちはある程度の敬意を持って接していたわたしも、段々と真面目に応対するのが面倒くさくなり、今では口調とか対応とか、結構適当になっている。
宣言通り、エルヴィス殿下はわたしのことを容赦なく扱き使った。
書類の作成はもとより、ある時は教師たちとの調整に。またある時は生徒達への意向調査に。文字通り殿下の手足となって奔走した。
二ヶ月後には学園祭なんかも控えているし、正直言って忙しすぎる。
(生徒会長なんてクソ面倒くさいって言ってたくせに!)
殿下の無駄に良い外面のせいで、本来ならばやらなくても良いような仕事まで生徒会に回ってきている。そのせいでわたしや他のメンバーが忙しくなるんだから、堪ったもんじゃなかった。
「すみません、ザラ。殿下は頼まれると断れない性格で」
側近の一人、タレ目で中性的な顔立ちをしたレオンがペコリと頭を下げる。殺伐とした生徒会の中で、唯一の癒し系男子。だけど、空気が読めないというか……タイミング悪くわたしの地雷を踏むことが多い人だ。
「……断れない性格?」
嫌味っぽく言い返しつつ、口の端がヒクヒク動く。
殿下は表向きは温和で優しい、完璧な王子様かもしれない。だけど、生徒会室にいる時は清々しいほど『俺様プリンス』に変貌する。後者の方が本性なんだから、レオンの言う『断れない性格』って言うのは明らかに語弊がある。
(わたし、何回あいつに『却下』って言われたか覚えてないんだけど)
休暇の申請を出しても、仕事を減らすよう頼んでも、邪悪な笑みで却下された。深く根に持って当たり前だろう。
レオンはもう一度「すみません」って口にしながら苦笑を浮かべた。
(ホント、あいつのせいで予定が狂いまくりなんだけど)
魔術科から生徒会役員が立つのは学園の伝統だ。
一番の理由は在籍する生徒の比率の問題なんだけど、魔法が使えるってことは結構重宝されるらしい。おかげで、レオンや他のメンバーからもあれこれ頼まれて、手を抜く暇もありゃしなかった。
(何よ。魔法を使えるのはわたしだけじゃないのに)
この部屋の主であるエルヴィス殿下は、普通科(っていっても在籍するのは貴族だけだけど)に在籍しているくせに、実は強い魔力を持っている。
けれど、側近たちにもその事実を隠しているのか、将又単に面倒くさいだけなのか、魔法を使う案件は、全てわたしに回って来ていた。
その癖、殿下本人は涼し気な顔をして生徒会室の中央に鎮座しているものだから、見ていて中々腹立たしい。
まぁ、側近が王子相手に仕事を割り振るなんて、難しい話なのかもしれないけど。だったら生徒会長なんて役職を引き受けるなって話だし。
(っていうか、王子というよりキングよね、あの人)
自分=法律というか、俺様というか……。どうやったらあんなに人使いが荒くなれるのか。あんなにも自分に自信を持てるのか。教えてほしいぐらいだ。
最初のうちはある程度の敬意を持って接していたわたしも、段々と真面目に応対するのが面倒くさくなり、今では口調とか対応とか、結構適当になっている。
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