9 / 39
【1章】王位継承戦と魅かれゆく心
しくじりと涙と残酷な笑顔
しおりを挟む
それからしばらくは、とても忙しい日々が続いた。
初めに誰が宴のどの部分を担当するのか、王子たちの間で調整をしなければならない。皆が同じことを企画しても、意味がないどころか、共倒れになるからだ。
具体的には、会場の設営や食事、音楽等の手配について、どの王子がそれぞれ担当するのか。それから、当日の指揮系統の確立が必要だった。
けれど、3人の王子たちはお世辞にも仲が良いとは言えないらしく、顔を合わせようともしない。おかげでクララは城内を駆けまわり、伝令役を務める羽目になった。
「で、結局俺たちは舞台担当になった、と」
「はい……スミマセン」
クララは唇をギザギザにしながら、勢いよく頭を下げる。コーエンは小さくため息を吐いた。
本当はフリードは、会場の設営を希望していた。そう他の王子にも意向を伝えたのだが。
****
「フリードのような軟弱ものに、会場設営の大役は務まらない。俺と俺の部下たちならば、完璧にその役割を果たせる。そうだな、シリウス!」
「はい、殿下」
質素堅実。城内とは思えない程、全く飾り気のない第1王子の執務室。
ピリピリと張り詰めた空気のこの部屋には、主であるカールと内侍イゾーレ、それからカールの側近である赤髪の騎士・シリウスがいて、直立不動の姿勢をとっている。
(相変わらず威圧的だなぁ)
クララは負けじと背筋を伸ばしながら、真っ直ぐにカールを見上げた。
「お言葉ですが、フリード殿下は決して軟弱な方ではございません。それに、実際に動くのはお二人ではないと存じますが」
本当はクララは、フリードの強さを知りはしない。けれど、王妃から幼い頃の彼のヤンチャ具合を聞いているので、軟弱とまでは言えないはずだ。
それに、会場設営の際に実務に当たるのは、騎士たちであって王子たちではない。ならば、どちらが担当をしても、差はないはずだ。
「ならば問おう。おまえは今、どうして姿勢を正している?そんなに身体を強張らせてこの場に立っているんだ?」
カールは小ばかにしたような笑みを浮かべながら、クララを見下ろした。すると蛇に睨まれた蛙の如く、身体が知らずビクビクと震えてしまう。
(くそぅ……己の身体が恨めしい)
悔し気に歯噛みしながら、クララはカールを睨みつけた。
「つまりはそういうことだ。俺が指揮官を務めれば、皆の士気が上がる。緊張感が増す。よって、スムーズかつ完璧に任務を遂行できる。これが俺とフリードとの差だ」
満足そうに笑っているカールがあまりにも憎たらしい。何か反論できる余地はないか考えあぐねていると、シリウスが何やら憐みの視線を送って来た。諦めろ、と表情が物語っている。
「スカイフォール様、異論はございませんね?」
「…………はい」
止めとばかりに降り注ぐ、イゾーレの氷のような視線。クララの心がポキッと音を立てて折れてしまった。
****
「なるほど、そんなことがあったんだね」
「それでお前は、スゴスゴと帰って来たと」
ソファに沈み込み、打ちひしがれているクララの隣にフリードが腰掛ける。コーエンの呆れたような声音が、クララの心を抉った。
「いえ、その後すぐにヨハネス様の元に赴きました。それで交渉を始めたんですが――――」
****
「饗宴における主役は、なんといっても食事だよね」
ヨハネスはニコリと微笑みながら、金色に光る扇で口元を覆い隠した。遠い異国からの伝来ものだろうか。風変わりな素材が用いられている。
執務室の様子も、カールとは打って変わって豪奢だ。家具も照明も、壁紙に至るまで、贅を凝らしているのが窺える。
「ですから、その……」
「当然、食事の手配は私たちが行いますわ」
ピシャリとそう言い放ったのはレイチェルだった。彼女が動くたびに漂う強めの花の香りに、クララは顔を顰める。
(お料理に香りが移ってしまいそう……)
とはいえここは、グッと言葉を呑み込む。どうせ食事の準備をするのは、彼女自身ではないのだ。伝えたところでそう反論されて終わりだろう。
「けれど、殿下はとても素晴らしいバイオリンの名手とお聞きしました。楽団の皆さまとの親交も深いとか。殿下が舞台の演出をなさったら、絶対に素晴らしい宴になると思うのです」
クララは微笑みながら、用意しておいた殺し文句を述べる。事前にコーエンから仕込まれた上目づかいも忘れてはいない。クララの心臓が緊張でドキドキと鳴った。
「フリードの奴、本当に君のことを手懐けてるんだなぁ」
クックッと楽し気に喉を鳴らしながら、ヨハネスは笑う。そして、クララの手をそっと握りながら、目を細めた。
「言いたいことは分かるよ。だけどごめんね。答えはノーだ」
頭の中でガーーンと何かが割れるような音が鳴り響く。残酷な笑みがクララの心に突き刺さった。
「これはね、僕が王太子になれるまたとないチャンスなんだ。他の課題がどんなものになるか分からない以上、これを逃すわけにはいかない」
答えはある程度予想できていたものの、やはりショックは大きい。
(どうしよう……殿下とコーエンになんて説明したら…………)
クララが呆然としている内に、手の甲に柔らかな感触が触れた。見ればヨハネスがクララを見上げながら、悪戯っぽく微笑んでいる。
「かっ、軽々しくそういうことをなさらないでください!」
クララは手を振り払いながら、頬を赤らめた。コーエンといいフリードといい、城の人間はどうしてこうもパーソナルスペースが狭いのだろう。そう思わずにはいられなかった。
(まぁ、フリード殿下とヨハネス殿下は血を分けた兄弟だものなぁ)
やはり血は争えない、ということなのかもしれない。
ヨハネスは楽し気に微笑むと、そっとクララの耳元に唇を寄せた。
「だって仲良くしておいた方が良いと思わない?もしも僕が王太子になったら、君は僕の妃になる可能性もあるんだし」
「…………えっ」
クララの心臓がザワザワと騒ぐ。ヨハネスの青い瞳が妖艶に光った。
(ヨハネス殿下は知っているんだ)
前回の王太子選抜で何が起こったのか。どうして国王――――自分の父親に3人の妃がいるのか。
そしてそれがクララの将来に起こりうることを明示している。なんとも残酷な笑顔で。
(もしかして、フリード殿下も御存じなのかしら?)
おいそれと口にすることは憚られる話題のため、フリードにもコーエンにも、王妃から聞いた過去については伝えていない。
けれど、既に知っている可能性が高いなら話は別だ。今後のためにも、クララのおかれた状況を改めて共有した方が良いのかもしれない。
「その様子なら、君は知っていたみたいだね」
耳元でなおもヨハネスの声が響く。ゴクリと唾を呑みながら、クララは眉間に皺を寄せた。
「そういうわけだから、悪く思わないでね」
気づけばクララはヨハネスの執務室を追われ、無機質な扉を見つめていた。
****
「と、いうわけでして」
最後の方のくだりだけを省略し、クララはフリードたちにヨハネスとのやり取りを説明する。
盛大なため息が自然、口から漏れた。
「まぁ、あの二人相手に頑張った方なんじゃない?」
コーエンはぶっきら棒に呟きながら、クララを見つめる。
ズタボロになっていた心が、ほんの少しだけ穏やかになった。
「うんうん。クララは良くやってくれたよ」
フリードはまるで犬でも撫でるかの如く、クララの頭を撫でてくれる。じわりと瞳に涙が溜まった。
「おっ、おい。クララ?」
コーエンは普段の不敵さは何処へやら、慌てたようにクララの方へ駆け寄る。
「っていうか、割振りは最初からほぼほぼ決まってたんだよ。おまえが気にする必要ないから、な?」
「……っ、ごめ、なさい」
己の無力さが、こんなことで涙を流してしまう自分の弱さが、クララには腹立たしくて堪らない。早く泣き止もうと思うのに、心も身体も言うことをきいてくれない。
そのとき、クララの身体がふわりと包み込まれた。微かに香る花の香り。フリードがクララのことを優しく抱き締めていた。
「大丈夫、大丈夫」
まるで子どもをあやすかのような声。ささくれだらけの心が安らいでいく。
(慰められたいわけでも、許されたいわけでもないはずなのになぁ)
それでも、ひとの温もりというものは抗いがたい。クララはフリードの胸に顔を埋めながら、そっと涙を流した。
初めに誰が宴のどの部分を担当するのか、王子たちの間で調整をしなければならない。皆が同じことを企画しても、意味がないどころか、共倒れになるからだ。
具体的には、会場の設営や食事、音楽等の手配について、どの王子がそれぞれ担当するのか。それから、当日の指揮系統の確立が必要だった。
けれど、3人の王子たちはお世辞にも仲が良いとは言えないらしく、顔を合わせようともしない。おかげでクララは城内を駆けまわり、伝令役を務める羽目になった。
「で、結局俺たちは舞台担当になった、と」
「はい……スミマセン」
クララは唇をギザギザにしながら、勢いよく頭を下げる。コーエンは小さくため息を吐いた。
本当はフリードは、会場の設営を希望していた。そう他の王子にも意向を伝えたのだが。
****
「フリードのような軟弱ものに、会場設営の大役は務まらない。俺と俺の部下たちならば、完璧にその役割を果たせる。そうだな、シリウス!」
「はい、殿下」
質素堅実。城内とは思えない程、全く飾り気のない第1王子の執務室。
ピリピリと張り詰めた空気のこの部屋には、主であるカールと内侍イゾーレ、それからカールの側近である赤髪の騎士・シリウスがいて、直立不動の姿勢をとっている。
(相変わらず威圧的だなぁ)
クララは負けじと背筋を伸ばしながら、真っ直ぐにカールを見上げた。
「お言葉ですが、フリード殿下は決して軟弱な方ではございません。それに、実際に動くのはお二人ではないと存じますが」
本当はクララは、フリードの強さを知りはしない。けれど、王妃から幼い頃の彼のヤンチャ具合を聞いているので、軟弱とまでは言えないはずだ。
それに、会場設営の際に実務に当たるのは、騎士たちであって王子たちではない。ならば、どちらが担当をしても、差はないはずだ。
「ならば問おう。おまえは今、どうして姿勢を正している?そんなに身体を強張らせてこの場に立っているんだ?」
カールは小ばかにしたような笑みを浮かべながら、クララを見下ろした。すると蛇に睨まれた蛙の如く、身体が知らずビクビクと震えてしまう。
(くそぅ……己の身体が恨めしい)
悔し気に歯噛みしながら、クララはカールを睨みつけた。
「つまりはそういうことだ。俺が指揮官を務めれば、皆の士気が上がる。緊張感が増す。よって、スムーズかつ完璧に任務を遂行できる。これが俺とフリードとの差だ」
満足そうに笑っているカールがあまりにも憎たらしい。何か反論できる余地はないか考えあぐねていると、シリウスが何やら憐みの視線を送って来た。諦めろ、と表情が物語っている。
「スカイフォール様、異論はございませんね?」
「…………はい」
止めとばかりに降り注ぐ、イゾーレの氷のような視線。クララの心がポキッと音を立てて折れてしまった。
****
「なるほど、そんなことがあったんだね」
「それでお前は、スゴスゴと帰って来たと」
ソファに沈み込み、打ちひしがれているクララの隣にフリードが腰掛ける。コーエンの呆れたような声音が、クララの心を抉った。
「いえ、その後すぐにヨハネス様の元に赴きました。それで交渉を始めたんですが――――」
****
「饗宴における主役は、なんといっても食事だよね」
ヨハネスはニコリと微笑みながら、金色に光る扇で口元を覆い隠した。遠い異国からの伝来ものだろうか。風変わりな素材が用いられている。
執務室の様子も、カールとは打って変わって豪奢だ。家具も照明も、壁紙に至るまで、贅を凝らしているのが窺える。
「ですから、その……」
「当然、食事の手配は私たちが行いますわ」
ピシャリとそう言い放ったのはレイチェルだった。彼女が動くたびに漂う強めの花の香りに、クララは顔を顰める。
(お料理に香りが移ってしまいそう……)
とはいえここは、グッと言葉を呑み込む。どうせ食事の準備をするのは、彼女自身ではないのだ。伝えたところでそう反論されて終わりだろう。
「けれど、殿下はとても素晴らしいバイオリンの名手とお聞きしました。楽団の皆さまとの親交も深いとか。殿下が舞台の演出をなさったら、絶対に素晴らしい宴になると思うのです」
クララは微笑みながら、用意しておいた殺し文句を述べる。事前にコーエンから仕込まれた上目づかいも忘れてはいない。クララの心臓が緊張でドキドキと鳴った。
「フリードの奴、本当に君のことを手懐けてるんだなぁ」
クックッと楽し気に喉を鳴らしながら、ヨハネスは笑う。そして、クララの手をそっと握りながら、目を細めた。
「言いたいことは分かるよ。だけどごめんね。答えはノーだ」
頭の中でガーーンと何かが割れるような音が鳴り響く。残酷な笑みがクララの心に突き刺さった。
「これはね、僕が王太子になれるまたとないチャンスなんだ。他の課題がどんなものになるか分からない以上、これを逃すわけにはいかない」
答えはある程度予想できていたものの、やはりショックは大きい。
(どうしよう……殿下とコーエンになんて説明したら…………)
クララが呆然としている内に、手の甲に柔らかな感触が触れた。見ればヨハネスがクララを見上げながら、悪戯っぽく微笑んでいる。
「かっ、軽々しくそういうことをなさらないでください!」
クララは手を振り払いながら、頬を赤らめた。コーエンといいフリードといい、城の人間はどうしてこうもパーソナルスペースが狭いのだろう。そう思わずにはいられなかった。
(まぁ、フリード殿下とヨハネス殿下は血を分けた兄弟だものなぁ)
やはり血は争えない、ということなのかもしれない。
ヨハネスは楽し気に微笑むと、そっとクララの耳元に唇を寄せた。
「だって仲良くしておいた方が良いと思わない?もしも僕が王太子になったら、君は僕の妃になる可能性もあるんだし」
「…………えっ」
クララの心臓がザワザワと騒ぐ。ヨハネスの青い瞳が妖艶に光った。
(ヨハネス殿下は知っているんだ)
前回の王太子選抜で何が起こったのか。どうして国王――――自分の父親に3人の妃がいるのか。
そしてそれがクララの将来に起こりうることを明示している。なんとも残酷な笑顔で。
(もしかして、フリード殿下も御存じなのかしら?)
おいそれと口にすることは憚られる話題のため、フリードにもコーエンにも、王妃から聞いた過去については伝えていない。
けれど、既に知っている可能性が高いなら話は別だ。今後のためにも、クララのおかれた状況を改めて共有した方が良いのかもしれない。
「その様子なら、君は知っていたみたいだね」
耳元でなおもヨハネスの声が響く。ゴクリと唾を呑みながら、クララは眉間に皺を寄せた。
「そういうわけだから、悪く思わないでね」
気づけばクララはヨハネスの執務室を追われ、無機質な扉を見つめていた。
****
「と、いうわけでして」
最後の方のくだりだけを省略し、クララはフリードたちにヨハネスとのやり取りを説明する。
盛大なため息が自然、口から漏れた。
「まぁ、あの二人相手に頑張った方なんじゃない?」
コーエンはぶっきら棒に呟きながら、クララを見つめる。
ズタボロになっていた心が、ほんの少しだけ穏やかになった。
「うんうん。クララは良くやってくれたよ」
フリードはまるで犬でも撫でるかの如く、クララの頭を撫でてくれる。じわりと瞳に涙が溜まった。
「おっ、おい。クララ?」
コーエンは普段の不敵さは何処へやら、慌てたようにクララの方へ駆け寄る。
「っていうか、割振りは最初からほぼほぼ決まってたんだよ。おまえが気にする必要ないから、な?」
「……っ、ごめ、なさい」
己の無力さが、こんなことで涙を流してしまう自分の弱さが、クララには腹立たしくて堪らない。早く泣き止もうと思うのに、心も身体も言うことをきいてくれない。
そのとき、クララの身体がふわりと包み込まれた。微かに香る花の香り。フリードがクララのことを優しく抱き締めていた。
「大丈夫、大丈夫」
まるで子どもをあやすかのような声。ささくれだらけの心が安らいでいく。
(慰められたいわけでも、許されたいわけでもないはずなのになぁ)
それでも、ひとの温もりというものは抗いがたい。クララはフリードの胸に顔を埋めながら、そっと涙を流した。
0
お気に入りに追加
1,781
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
【番外編更新】死に戻り皇帝の契約妃〜契約妃の筈が溺愛されてます!?〜
鈴宮(すずみや)
恋愛
帝国唯一の皇族――――皇帝アーネストが殺された。
彼の暗殺者として処刑を受けていた宮女ミーナは、目を開けると、いつの間にか自身が働いていた金剛宮に立っていた。おまけに、死んだはずのアーネストが生きて目の前にいる。なんとミーナは、アーネストが皇帝として即位する前日へと死に戻っていたのだ。
戸惑う彼女にアーネストは、『自分にも殺された記憶がある』ことを打ち明ける。
『どうか、二度目の人生では殺されないで』
そう懇願し、拘束を受け入れようとするミーナだったが、アーネストの提案は思いもよらぬもので。
『俺の妃になってよ』
極端に減ってしまった皇族のために設けられた後宮。金剛宮の妃として、ミーナはアーネストを殺した真犯人を探すという密命を受ける。
けれど、彼女以外の三人の妃たちは皆個性的な上、平民出身のミーナへの当りは当然強い。おまけにアーネストは、契約妃である彼女の元を頻繁に訪れて。
『ちゃんと後宮に通ってる、って思わせないといけないからね』
事情を全て知るミーナの元が心地良いのだというアーネスト。けれど、ミーナの心境は複雑で。
(わたしはアーネスト様のことが本気で好きなのになぁ)
ミーナは現世でアーネストを守り切れるのか。そして、ミーナの恋の行方は――――?
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる