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冗談ですよね?(2)
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「それなんですけどね! 実は最近、隣国のカルロス殿下がどうにもきな臭い動きをしているらしいと、諜報員から情報が入ったんです。
隣国は今、カルロス殿下が追放した聖女を探しているんですが、どこを探しても見つからないらしくて。おまけに、その聖女のことを我が国が隠し立てしていると勘違いしていて、カルロス殿下はそれを理由にストラスベストの侵略を画策しているらしいんです」
「…………へ?」
驚いたのはヘレナだった。目を丸くし、大きく首を傾げて、ニックのことをまじまじと見つめる。
「冗談、ですよね?」
「冗談だったら、わざわざこんな所に出向きません。
カルロス殿下は今夜にも数人の騎士を連れて、この街を下見に来るようです。
なんでも隣国は、聖女が居なくなったことで王都が大変なことになっているらしくて。早く連れ帰らないと、かなりやばい状況らしいですよ?
そのきっかけを作ったのがカルロス殿下なもんだから、あちらの国王は相当お怒りみたいで。廃嫡はもちろん、どんな処罰が待っているか分からないらしいんです。
だから、名誉挽回のために手柄を立てたいんだろうなぁと」
「…………馬鹿ですね」
そう口にしたのはレイだった。盛大なため息を吐きつつ、眉間に皺を寄せている。
「元々あちらとストラスベストの兵力の差は明らかですし、国が大変な状況なのに、そんなことに人手を割けるわけがありません。国王が許可するとも思えませんが、あの馬鹿王子なら勝手に兵を動かしかねないですね。
因みに、あちらは今、どういう状況なのですか?」
「えっ? えーーと確か、聖女が居なくなるとともに大きな地震が起きて、怪我人と病人が多発して、何故だか植物の育ちも悪くなって、このままじゃ飢饉が起こるとかなんとか……」
「そんな――――――!」
ヘレナは思わず声を上げる。顔色が真っ青に変わっていた。レイはヘレナの背を擦ってやりつつ、ニックのことを見る。
「カルロス殿下は本当に、今夜この街に来るのですか?」
「えぇ、諜報員の情報が正しければそうなります。僕の役割は、カルロス殿下の見張りってやつですね。もしも今夜変な動きをするようなら、容赦なく切り捨てますけど!
……本当は事前に件の聖女を見つけられたら良かったんですけどね。隣国が困っているのは事実でしょうし、戦争も回避できる。おまけに盛大に恩を売れますから」
ニックはそう言って小さくため息を吐く。ヘレナは目をぱちくりさせると、そっと右手を上にあげた。
「あの……実はわたしが、件の聖女なんですけど…………」
「えっ…………えぇえ⁉」
驚愕に目を見開くニックに、ヘレナは小さくため息を吐いた。
隣国は今、カルロス殿下が追放した聖女を探しているんですが、どこを探しても見つからないらしくて。おまけに、その聖女のことを我が国が隠し立てしていると勘違いしていて、カルロス殿下はそれを理由にストラスベストの侵略を画策しているらしいんです」
「…………へ?」
驚いたのはヘレナだった。目を丸くし、大きく首を傾げて、ニックのことをまじまじと見つめる。
「冗談、ですよね?」
「冗談だったら、わざわざこんな所に出向きません。
カルロス殿下は今夜にも数人の騎士を連れて、この街を下見に来るようです。
なんでも隣国は、聖女が居なくなったことで王都が大変なことになっているらしくて。早く連れ帰らないと、かなりやばい状況らしいですよ?
そのきっかけを作ったのがカルロス殿下なもんだから、あちらの国王は相当お怒りみたいで。廃嫡はもちろん、どんな処罰が待っているか分からないらしいんです。
だから、名誉挽回のために手柄を立てたいんだろうなぁと」
「…………馬鹿ですね」
そう口にしたのはレイだった。盛大なため息を吐きつつ、眉間に皺を寄せている。
「元々あちらとストラスベストの兵力の差は明らかですし、国が大変な状況なのに、そんなことに人手を割けるわけがありません。国王が許可するとも思えませんが、あの馬鹿王子なら勝手に兵を動かしかねないですね。
因みに、あちらは今、どういう状況なのですか?」
「えっ? えーーと確か、聖女が居なくなるとともに大きな地震が起きて、怪我人と病人が多発して、何故だか植物の育ちも悪くなって、このままじゃ飢饉が起こるとかなんとか……」
「そんな――――――!」
ヘレナは思わず声を上げる。顔色が真っ青に変わっていた。レイはヘレナの背を擦ってやりつつ、ニックのことを見る。
「カルロス殿下は本当に、今夜この街に来るのですか?」
「えぇ、諜報員の情報が正しければそうなります。僕の役割は、カルロス殿下の見張りってやつですね。もしも今夜変な動きをするようなら、容赦なく切り捨てますけど!
……本当は事前に件の聖女を見つけられたら良かったんですけどね。隣国が困っているのは事実でしょうし、戦争も回避できる。おまけに盛大に恩を売れますから」
ニックはそう言って小さくため息を吐く。ヘレナは目をぱちくりさせると、そっと右手を上にあげた。
「あの……実はわたしが、件の聖女なんですけど…………」
「えっ…………えぇえ⁉」
驚愕に目を見開くニックに、ヘレナは小さくため息を吐いた。
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