英雄の条件

渡辺 佐倉

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めでたし、めでたしのその後で3

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「愛しています。」

今までに度々口にしていた言葉をもう一度言う。

「俺も好きだ。」

劉祜が耳元で囁く。
腰を深く打ち付けられながら、レオニードは与えられる感覚に声を上げる。

ぱちゅぱちゅという粘着質な音と腰が触れ合う鈍い音以外は二人の吐息と、それから時々レオニードの感じ入った嬌声だけが聞こえる。

二人とも言葉は無かった。
もう言葉にしなくてもよかった。

中を拓かれる快楽と一番近くでつながっているという多幸感。
もっととねだる様に腰をくねらせるレオニードに、劉祜の抽挿の速度が上がる。

深々と貫かれて、レオニードは思わずのけぞる。
足先から快感が駆け上がってきて弾けた。

ほぼ同時に劉祜も達したようで、ジワリと中に熱が広がる。

劉祜がそのまま、少しだけレオニードに体重をかけるようにのしかかる。
それが嬉しくて、レオニードは劉祜の背中に回した手でそっと劉祜の背中を撫でる。

「どこまでも、一緒にいさせてください。」

レオニードが劉祜に言う。
彼が暴虐王であっても、王でなくても、それこそ彼がまた国を作ると望むのであればレオニードは喜んで手を貸す。

劉祜は少しだけ困ったみたいに笑うと「レオニードがもう身代わりにならなければ。」と言う。

「もう石は無いですから。」

あれはもう置いてきてしまった。
レオニードはあっけらかんと笑った。

自分の腹にのこる大きな傷跡の事を忘れてしまった様に。

「じゃあ、その口調。」

劉祜はレオニードに指摘をする。

「目立たない様にするんだろう?」

丁寧な言葉はそんなに目立つだろうか。レオニードは考える。
元が付くとはいえ、レオニードは彼が王であったことを知っている。
砕けた口調で話しかけられるかと言われたら、慣れるまでに時間がかかりそうだ。

「まあ、先は長い。か……。」

レオニードは独り言のように呟いて、それから「少しずつ慣らしていきます。」と答えた。

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