一から百まで

渡辺 佐倉

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これが何回目の挿入かもよく覚えていない。

体力的に失神するように意識を手放すこともできない。
出しすぎた陰茎は薄くなった精液をダラダラとこぼすことしかできない。

百目鬼がここまで性欲旺盛なタイプだとは思わなかった。
いや、数々の言葉は明らかに旺盛だと物語っていたけれどここまでだとは思わなかった。
昼間から百目鬼が、自分が、もう何回達しているか分からない。

百目鬼がコンドーム越しの自分の陰茎にローションをまぶしてそのまま俺の中に入り込む。

快楽で体は支えきれず、上半身を布団に投げ出して尻だけを百目鬼に突き出している状態だ。

擦られすぎた孔の淵が腫れてジンジンとしている気がする。
だけど、やめて欲しいとは思わなかった。

声も枯れてきて、もう体を碌に動かすこともできないのに、官能を享受したい。

自分でも馬鹿だなと思う。

明日フラフラなんじゃないかと頭のどっかではちゃんと分かっている。

「考え事か? 余裕だな。」

ばちゅんと音がするくらい強くえぐられて、戦慄《わなな》く。

「ちが、あ゛、あ゛ッ、あ゛ー。」

ぬかるんで、軽々と抽挿を受け入れてしまう。
柔らかくなって、ねっとりと絡みついている部分が、百目鬼を悦んでいること位分かってるだろうに、そんなことを言う。

目の前がチカチカするような快楽と多幸感。
ずっとイキ続けている様な感覚さえする。

かすれた声で喘ぎ続けて、それでも中で百目鬼が達した感覚で体を震わせる。

ずるりと百目鬼が陰茎を引き抜く。

「ぁ、……は、んっ。」

抜かれる刺激だけで声がもれる。

お互い、息が荒い。

多分、もしかしなくても百目鬼はこのまま朝までしたいなら続けられるのだろう。

だけど、さすがに腰も、……それから尻ももう限界だった。

「ごめ、もう限界。……水飲ませて。」

振り返って見た百目鬼の顔は壮絶な色気を放っていて、思わず唾を飲み込む。

一瞬、固まった百目鬼は「あ、ああ……。無理、させすぎたか?」と言って手早く精液を溜めたコンドームを片付けると立ち上がる。

それを見てうつぶせのまま、ようやく体の力を抜いた。
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