58 / 101
58
しおりを挟む
学校の校門前で待ち合わせをして二人でぼんやりと歩く。
制服じゃないのが少しだけ新鮮だ。
それに百目鬼は妙にさっぱりしている気がする。
それに柔道部員の気配がない。
「あんた、一旦家に帰ったのか?」
俺が言うと、少し照れくさそうに汗が酷かったからと百目鬼が言う。
別にそんな事気にしやしないのにと思う。
そのままコンビニによって棒アイスを二つ買う。
俺がチョコレートのやつで、百目鬼はソーダ味。
どこに行こうか悩んでいつもの川辺の遊歩道へ向かう。
ランニングコースの中に川まで舗装されている部分があった筈だ。
じっとりと暑い日だけれど、二人きりになれる場所に行きたかった。
土手から川に向かってコンクリートの階段みたいなところに二人で並んで座る。
アイスを食べながら流れる川を見る。
視線だけ百目鬼の方に向けると、百目鬼はこちらを眺めている。
目があう。視線が絡む。
百目鬼の持っているアイスキャンディからしずくが手に伝わって落ちる。
それを舐めとりたいなんて思う。
「大会が終わったら――」
「ああ、勝負をつけるんだろ?」
俺の言葉に百目鬼が応える。
「まあ、それもそうなんだけど」
それも勿論ある。
勝ちたいと渇望する気持ちはあるし、彼と仕合いで対峙しても戦えないなんてメンタルとは違う。
だけどそれだけじゃない。
「一緒に鍛錬してみたいし、それに、夏休みらしい事なんかしたい」
別に夏休みらしくない事でもなんでもいいのが本音だ。
今日みたいにただ、アイス食べるだけでもいい。
自分でもうざくなっているのが分かる。
「ああ、そうだな。
俺も会いたい。」
別に寂しいとも毎日会いたいとも言っていない。
なのに、百目鬼はそう返した。
少し涙が出そうになった。
制服じゃないのが少しだけ新鮮だ。
それに百目鬼は妙にさっぱりしている気がする。
それに柔道部員の気配がない。
「あんた、一旦家に帰ったのか?」
俺が言うと、少し照れくさそうに汗が酷かったからと百目鬼が言う。
別にそんな事気にしやしないのにと思う。
そのままコンビニによって棒アイスを二つ買う。
俺がチョコレートのやつで、百目鬼はソーダ味。
どこに行こうか悩んでいつもの川辺の遊歩道へ向かう。
ランニングコースの中に川まで舗装されている部分があった筈だ。
じっとりと暑い日だけれど、二人きりになれる場所に行きたかった。
土手から川に向かってコンクリートの階段みたいなところに二人で並んで座る。
アイスを食べながら流れる川を見る。
視線だけ百目鬼の方に向けると、百目鬼はこちらを眺めている。
目があう。視線が絡む。
百目鬼の持っているアイスキャンディからしずくが手に伝わって落ちる。
それを舐めとりたいなんて思う。
「大会が終わったら――」
「ああ、勝負をつけるんだろ?」
俺の言葉に百目鬼が応える。
「まあ、それもそうなんだけど」
それも勿論ある。
勝ちたいと渇望する気持ちはあるし、彼と仕合いで対峙しても戦えないなんてメンタルとは違う。
だけどそれだけじゃない。
「一緒に鍛錬してみたいし、それに、夏休みらしい事なんかしたい」
別に夏休みらしくない事でもなんでもいいのが本音だ。
今日みたいにただ、アイス食べるだけでもいい。
自分でもうざくなっているのが分かる。
「ああ、そうだな。
俺も会いたい。」
別に寂しいとも毎日会いたいとも言っていない。
なのに、百目鬼はそう返した。
少し涙が出そうになった。
6
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
男の子たちの変態的な日常
M
BL
主人公の男の子が変態的な目に遭ったり、凌辱されたり、攻められたりするお話です。とにかくHな話が読みたい方向け。
※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる